最強の聖女は恋を知らない

三ツ矢

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魔法学園編

ウィンターベル~ライアン~

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 シャーロットが行ってしまうと私はポツンと一人になってしまった。

 近くのカナッペを摘まもうか悩んでいるとキャーっと歓声が近くに聞こえてきた。

 歩いて来たのは白い詰襟風の燕尾服を着たライアンだった。

「マヤ殿、もう誰かと踊られましたか?」

「いえ、今会場に来たところです」

 そうですかとライアンはほっとした顔を見せる。

「それでは一曲踊って頂けますか、美しい姫?」

 ライアンが腕を差し出すと黄色い悲鳴がそこかしこで上がった。

 断ったら断ったで後が怖いし、それならライアンに誠意をもって応えよう。

「喜んで、ライアン様」

 私がその腕を掴むと視線が棘の様に刺さるのを感じた。

 二人は会場の中心へと向かっていく。

「ライアン様、私舞踏会は初めてなんです。足踏んでしまったらごめんなさい。先に謝っておきます」

「そうでしたか。最初の相手になれて光栄です」

「ライアン様とはコンサートも初めてでした。あの時の演奏はまだ耳に残っています」

「それは何よりです。貴方の前だけでは、もう決して弱いところは見せませんよ」

「好敵手ですものね」

 私がくすりと笑うと、ライアンはちょっと目を見開いてそれから耳元で囁いた。

「いずれ俺のことしか見えないほどの存在になってみせます」

(それってどういう意味だろう?)

 私が考えているうちに曲が終わり、二人は離れる。

「それでは良い夜を」

「良い夜を」
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