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37話前編 恋愛レベル小学生(D)

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 やっぱりと言うべきか、いいタイミングでフィーとアンが戻ってきた。

「入って」
「……貴方、王女様に何したんですか」
「ちょっと癒しを補充しただけ」
「そんなにぐったりされて……可哀想に」

 入ってきて早々どやされるとは。
 僕の膝を枕にして寝てしまっているラウラを起こさないように抱き上げてベッドへ移した。

「疲れて寝ちゃった」
「疲れさせた原因は貴方でしょう」
「えー」

 過剰なスキンシップが原因って言えるけど、そもそも今までの流れを考えれば仕方のないことだと思うんだけどね。撃たれて飛んで、彼女だけの魔法まで使ったわけで。
 目の前の二人は溜息をついて、王女様可哀想だと嘆いている。

「もう王女様じゃないだろ」
「そうですが、どう呼んでもいいじゃないですか」
「嫌だ。ラウラは僕の奥さんだし」
「はあ、器量に乏しいようで」

 ラウラのために小さく話してくれているけど、僕への配慮は皆無だった。

「で? どうなの?」
「騎士の数は問題ありません。殿下の仰る行動予定範囲に充分足りますね」
「そう。で、兄さんの居場所は?」
「殿下の仰る通りでした。第一王太子殿下の潜伏先は第一王太子派ベゼッセンハイト公爵家です」
「あそこは小さい頃から兄さん一筋だったからね」

 あっさり知れたな。
 これで視野の狭い兄のこと、僕がのこのこ城下に出て、ベゼッセンハイト公爵家管轄区域にいれば、すぐに出てくるだろう。

「姉さん達には」
「伝えました。第一王太子殿下の件に目処がつきましたら、王女様と外出されたいそうです」
「諦めないな……」
「それぐらい許しても良いのでは」
「……」

 いくら僕が誰よりも先にラウラとデートしても、結局僕のいないところで僕以外の人間とデートされるのはな、と一瞬でも思ってしまう。ベッドで寝てるラウラを見て、もういっそ全部放り投げて領地戻ろうかと考える。

「格好いい所を見せたいのなら、余裕ぐらい見せたらどうです」
「うっさい」

 余裕なんて全然ない。格好いいとこみせたいけど。
 ラウラが傷つけば頭に血が上るし、他の連中と話してるだけでモヤモヤする。
 レベルが低すぎます、と呆れた声がかけられた。

「なんだよ、恋愛レベル小学生とか言うなよ」
「……まあいいです、それよりも」

 まあいいですってなんだ。

「王陛下からご連絡が」
「ええ……」
「夕餉を終えて一時間後に書斎室へと」
「分かった」

 ラウラとの時間を過ごす為にもさっさと終わらせよう。
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