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2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。
139話 久しぶりすぎて免疫が落ちてた
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「け、怪我はしていない! そう調節した!」
「はあ?」
「え……」
「理由もなく手だした時点でアウトだ馬鹿者。動物愛護に訴えるぞ」
「え? ちょ、」
彼は私の右手を見て目を見開いてぎょっとした。後ろに後ずさるもすぐに壁に到達する。逃げ場を与えないようゆっくり距離を縮めて追い詰める。
「や、やめてくれ!」
「テゾーロは辛い目に遭って、君は遭わなくていい理由は何?」
「所詮飼い犬だろう! 替えはいくらでもきくじゃないか!」
はい、地雷。
もうボコボコにする。徹底的にだ。
私の右手には風を起こす魔法が留まっている。あ、ちょっとこれ人気漫画であったやつに激似じゃん、私グッジョブ。いや、あの主人公はもっと威力あった。そしたら私はそれを見習わないと。
「ということで、倍の強さにする」
「はい?!」
「テゾーロに替えはきかない。私さ、私の大切な家族や友人に手出されるとダメなんだよね」
にっこり笑う。相手は青ざめてるだけで壁に張り付いて動けない。
迷わず振り抜いた。
はずだった。
「待て!」
「!」
振り抜いた右手を掴まれたせいで軌道がずれた。相手の左肩あたりを掠って壁にめり込み、校舎の外壁が抉れた。
壁は何も悪くないのに。あ、でもこれ新しい壁ドンなんじゃないの。そこに愛があれば新しく成立する気がする。まあドンというよりはボンとかボコな感じだけど。壁ボンに壁ボコだとギャグマンガみたいで、新しくていい感じ。
いや、そうじゃない。件の男性はボコボコになっていないというのに。
「待て、チアキ!」
「……」
それどころじゃないのに、感傷的になってしまうのは私を止めた彼のせいだ。
そんなに時間は経っていないのに、ひどく懐かしく感じた。心地のいい低い声がとても近いところで聴こえる。間違いない。
「ディエゴ」
「さすがにあれは大怪我ですまない」
久しぶりの再会は後ろから拘束されるという不思議さ。右手を掴まれ、逆の腕は後ろから私の腰に回されている。
けど、懐かしさを感じたものの、感動の再会なんてものはない。今はそれどころじゃないからだ。
「離して」
「駄目だ。離したら同じことするだろう!」
「奴は超えてはならない一線を越えた。テゾーロが受けた分、同じ報いを受けさせる」
あ、私今すごく中二感あった。なかなか痛くて格好いいな。いや、それよりも離してもらわないことには始まらない。私が力を入れて抵抗するのを感じたディエゴは顔を上げて、震えて立ち尽くす件の男性に訴えた。
「君、逃げろ!」
「はあ!?」
「俺が押さえてる間に早く!」
「ひっ」
その言葉に我に返った件の男性は全速力で逃げていく。なんてことだ、ボコボコタイムが失われた。
奴を庇うなんて、なんてことをしてくれる。どう考えたって許すまじきは奴だ、間違いない。今ならまだ間に合う、この拘束を解いてあの男を追いかけなければ。
けど、力を入れるとそれだけディエゴの拘束は強まった。何故行かせてくれないのか。
「左肩が掠っただけで充分だろう」
「解せぬ」
「頼むから落ち着いてくれ」
「テゾーロがされた分、ボコボコにしないと」
「そのテゾーロが俺をここに呼んだんだ」
「え?」
力を抜いた私に、やっとディエゴも安心したのか、そのままずるずる芝生の上に座りこんだ。拘束は解けてないから、私もそのまま一緒に座り込む。
「テゾーロが?」
「ああ。君を探してたら、ここまで連れてきてくれた」
私が奴と対時してる間にするっと場を離れ、ちょうどよくディエゴと遭遇し、ここへ導いたと。
そこにいた私がにわかブチ切れ状態で、明らかにやばい強さの魔法を放とうとしてたから止めに入った。そして今に至る。
「テゾーロ」
拘束された私に近づき、そのまま足の間に入ってお座りする。この子は本当頭いい子だな。オリアーナそっくりじゃんか。
ひとまず撫でよう。テゾーロからすれば、争いをディエゴを呼ぶことによって鎮めたみたいに思っているかもしれない。そしたら褒めてあげる。というか、自分がされたことはいいの?それすら許すの?そうだとしたらテゾーロの許容力が神がかってるよ。
「テゾーロはこれでいいの?」
黙って撫でられてる様子から、その通りなんだろうと判断する。私が完全に心内に落とし込むとテゾーロは立ち上がり去っていった。悟りすぎてないか、このわんこ。まあテゾーロがいいならいいか。
「よし」
さて、落ち着いたところで、いい加減離れてもらおう。私はもう暴れないし、件の見知らぬ男性を追う事もない。さっきからやたらいい匂いするから、もう離れてもらわないと結構きついし。
「分かったから、もう離して」
「駄目だ」
逆に力が強まった。苦しくはないけどやめてほしい。久しぶりすぎて免疫が落ちてた。これはいけない。抱きしめられるのに慣れたと思ったけど全然だめだ。無駄に掴まれたままの右手が、彼が触れているところだけがやたら熱くなって、じわじわ広がっていく。
ああだめ。久しぶりすぎて過剰なスキンシップがきっつい。やめてよ。
「イケメンめええ」
「はあ?」
「え……」
「理由もなく手だした時点でアウトだ馬鹿者。動物愛護に訴えるぞ」
「え? ちょ、」
彼は私の右手を見て目を見開いてぎょっとした。後ろに後ずさるもすぐに壁に到達する。逃げ場を与えないようゆっくり距離を縮めて追い詰める。
「や、やめてくれ!」
「テゾーロは辛い目に遭って、君は遭わなくていい理由は何?」
「所詮飼い犬だろう! 替えはいくらでもきくじゃないか!」
はい、地雷。
もうボコボコにする。徹底的にだ。
私の右手には風を起こす魔法が留まっている。あ、ちょっとこれ人気漫画であったやつに激似じゃん、私グッジョブ。いや、あの主人公はもっと威力あった。そしたら私はそれを見習わないと。
「ということで、倍の強さにする」
「はい?!」
「テゾーロに替えはきかない。私さ、私の大切な家族や友人に手出されるとダメなんだよね」
にっこり笑う。相手は青ざめてるだけで壁に張り付いて動けない。
迷わず振り抜いた。
はずだった。
「待て!」
「!」
振り抜いた右手を掴まれたせいで軌道がずれた。相手の左肩あたりを掠って壁にめり込み、校舎の外壁が抉れた。
壁は何も悪くないのに。あ、でもこれ新しい壁ドンなんじゃないの。そこに愛があれば新しく成立する気がする。まあドンというよりはボンとかボコな感じだけど。壁ボンに壁ボコだとギャグマンガみたいで、新しくていい感じ。
いや、そうじゃない。件の男性はボコボコになっていないというのに。
「待て、チアキ!」
「……」
それどころじゃないのに、感傷的になってしまうのは私を止めた彼のせいだ。
そんなに時間は経っていないのに、ひどく懐かしく感じた。心地のいい低い声がとても近いところで聴こえる。間違いない。
「ディエゴ」
「さすがにあれは大怪我ですまない」
久しぶりの再会は後ろから拘束されるという不思議さ。右手を掴まれ、逆の腕は後ろから私の腰に回されている。
けど、懐かしさを感じたものの、感動の再会なんてものはない。今はそれどころじゃないからだ。
「離して」
「駄目だ。離したら同じことするだろう!」
「奴は超えてはならない一線を越えた。テゾーロが受けた分、同じ報いを受けさせる」
あ、私今すごく中二感あった。なかなか痛くて格好いいな。いや、それよりも離してもらわないことには始まらない。私が力を入れて抵抗するのを感じたディエゴは顔を上げて、震えて立ち尽くす件の男性に訴えた。
「君、逃げろ!」
「はあ!?」
「俺が押さえてる間に早く!」
「ひっ」
その言葉に我に返った件の男性は全速力で逃げていく。なんてことだ、ボコボコタイムが失われた。
奴を庇うなんて、なんてことをしてくれる。どう考えたって許すまじきは奴だ、間違いない。今ならまだ間に合う、この拘束を解いてあの男を追いかけなければ。
けど、力を入れるとそれだけディエゴの拘束は強まった。何故行かせてくれないのか。
「左肩が掠っただけで充分だろう」
「解せぬ」
「頼むから落ち着いてくれ」
「テゾーロがされた分、ボコボコにしないと」
「そのテゾーロが俺をここに呼んだんだ」
「え?」
力を抜いた私に、やっとディエゴも安心したのか、そのままずるずる芝生の上に座りこんだ。拘束は解けてないから、私もそのまま一緒に座り込む。
「テゾーロが?」
「ああ。君を探してたら、ここまで連れてきてくれた」
私が奴と対時してる間にするっと場を離れ、ちょうどよくディエゴと遭遇し、ここへ導いたと。
そこにいた私がにわかブチ切れ状態で、明らかにやばい強さの魔法を放とうとしてたから止めに入った。そして今に至る。
「テゾーロ」
拘束された私に近づき、そのまま足の間に入ってお座りする。この子は本当頭いい子だな。オリアーナそっくりじゃんか。
ひとまず撫でよう。テゾーロからすれば、争いをディエゴを呼ぶことによって鎮めたみたいに思っているかもしれない。そしたら褒めてあげる。というか、自分がされたことはいいの?それすら許すの?そうだとしたらテゾーロの許容力が神がかってるよ。
「テゾーロはこれでいいの?」
黙って撫でられてる様子から、その通りなんだろうと判断する。私が完全に心内に落とし込むとテゾーロは立ち上がり去っていった。悟りすぎてないか、このわんこ。まあテゾーロがいいならいいか。
「よし」
さて、落ち着いたところで、いい加減離れてもらおう。私はもう暴れないし、件の見知らぬ男性を追う事もない。さっきからやたらいい匂いするから、もう離れてもらわないと結構きついし。
「分かったから、もう離して」
「駄目だ」
逆に力が強まった。苦しくはないけどやめてほしい。久しぶりすぎて免疫が落ちてた。これはいけない。抱きしめられるのに慣れたと思ったけど全然だめだ。無駄に掴まれたままの右手が、彼が触れているところだけがやたら熱くなって、じわじわ広がっていく。
ああだめ。久しぶりすぎて過剰なスキンシップがきっつい。やめてよ。
「イケメンめええ」
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