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2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。
121話 ジョギング大会、ご褒美にデートを所望される
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「では開会に先駆けてネウトラーレ候爵夫人よりご挨拶を……」
「本当にやりおった……」
「ですから、開催すると話しました」
「うん、そうなんだけどね、オリアーナ」
規模だよ、問題は規模。
どこかの駅伝?いや、都市型で考えるならフルマラソン?
学園から王都へ真っ直ぐ進み、王都外周を一周して王城でゴールなんて、普段多くの人が馬車で移動している距離だ。おおよそ二十キロぐらいだろうか、それをジョギングもマラソンもない概念の人々がいきなり走れるというの?
「大丈夫なの?」
「チアキの懸念している事についてですが、提案が来た時からエドアルドと共に参加者用の運動計画を組み立て実践していました。そちら関しては王陛下の許可もおり、メディコも監修しています」
相変わらず私の言いたいことを分かってて凄いけど、え、ちょっと待って。どこでいつの間にそんな話が?
「チアキがオルネッラに会い、山を登り、勉強した後、ぷれぜんをしに行っていた間に」
「結構時間あったし」
まさかの怒涛期にそんな話きてたの。余裕なかったから全部オリアーナやってくれたのかな。本当いい子じゃん、もう事業については私隠居してもいいよね、ね!
その思いは敢えて無視してか、そのままオリアーナは説明に入った。
「今回、メディコを一定の距離を開けて配置しています」
「おお」
「道を違えないよう、王都の警備隊も同じく一定距離を開けて配置しています」
「おお」
「走行者をいくらかのグループにわけ、王都騎馬部隊に先導して頂きます」
見たことあるフルマラソンの図だよ。安全性も確保、テレビ中継してたら完璧。
「前知識ないのに、よくここまで辿り着けたね」
「有難う御座います」
すごいな、オリアーナ。やっぱ天才なんじゃん。
「てか私達走れないんだね」
「ジョギングの発案者ですので」
私が走ったら走ったで、スーパーマンスキルで一位をとってしまうかもしれないしね。
ここで待機しているのが妥当なのかもしれない。
王城ではトットとエステルがいて、メディコほどではないにしろ要所要所にトレーナー資格のある人達も配置しているとか。
久しぶりに純粋な観客として見られそう。もうオリンピックとか世界大会とかに縁がなくなったから、たんまり楽しもう。
「ではトレーナー代表、ソッリエーヴォ伯爵令息より……」
エドアルドがトレーナー代表でご挨拶してる。ハニーフェイスは相変わらず癒しだ。そして公共の場だと格好良さ割り増し。いいねえ、この普段見ないきりっとした感じ。すごくいい。
「かっこかわいいとか突き抜けてる」
「チアキ」
「か、顔は大丈夫でしょ?」
「危ういです」
「申し訳ございません」
こそこそ傍らでオリアーナからきくに、エドアルドはマラソン大会にトレーナーとして参加し、参加者と共に走るらしい。
もうそこまでいくとトレーナー極めつつあるよ。プロランナーと走るとかもあるんじゃないの。
そんなエドアルドのスピーチ中にいつも通りと言うのか、声をかけられる。もちろんディエゴだ。
「チアキ」
「ディエゴ、走るの?」
「ああ、急遽参加者として走ることになった」
「がんばれ」
無理なくね、と伝えると、ディエゴが少しだけ逡巡して、次にしっかり私を見た。
「一番をとれたら、でーとしてくれ」
「どこでその言葉を知った」
目線がすいと移動して私の隣を捉えた。またなの、オリアーナ。
私が顔を向けると無言ですいと私と反対側向いた。わざとだな。つい口にする私も不用心だけど、いいとこの令嬢令息が覚えてもと困る言葉もあるから、また今度きちんと言っておかないと。
私はディエゴに向き直ってお断りモードに入る。
「今度舞台行くじゃん」
「それ以外で行きたい」
ふとオリアーナが全く違うところを見て、次に席を外したのが目に入ったけど気にせず放置だ。ディエゴをどうにかしないことには始まらない。
「おばあちゃんのプレゼン近いんで難しいですね。てか、なんであえて大会一番を条件にしたの?」
「そういう約束の方が守ってもらえると」
いや私基本約束反古にしないから。ばっくれしないし。
「この大会が終わったらチアキとの時間がとれると思うとやる気がでる」
「その、この戦いが終わったら結婚するんだみたいな台詞は死亡フラグだから止めといた方がいいよ」
「結婚してくれるのか?」
「違う、そこ拾わないで」
かたやデートしたいディエゴ、かたやお断りな私で押し問答をしていると、戻ってきてこちらを向き直していたオリアーナが、ディエゴ許可しますとか言ってくる。
何度も言うけど、私の意思を確認しようよ。そしてもう私がこの世界に留まる事を知ってるのだから、無理にディエゴと私をどうにかする必要もないんだよ、オリアーナってば。
「オリアーナ、勝手に応えないでよ」
「あ、今一番とれた人への褒美が決まりました」
んん?と拡声魔法で公共放送してるエドアルドの声に首をぐるんと向ける。
嫌な予感しかしないぞ。
「一番に着いた参加者にはガラッシア公爵家令嬢、オリアーナ様との茶会をプレゼント~!」
「おおいエドアルドオオ!」
「本当にやりおった……」
「ですから、開催すると話しました」
「うん、そうなんだけどね、オリアーナ」
規模だよ、問題は規模。
どこかの駅伝?いや、都市型で考えるならフルマラソン?
学園から王都へ真っ直ぐ進み、王都外周を一周して王城でゴールなんて、普段多くの人が馬車で移動している距離だ。おおよそ二十キロぐらいだろうか、それをジョギングもマラソンもない概念の人々がいきなり走れるというの?
「大丈夫なの?」
「チアキの懸念している事についてですが、提案が来た時からエドアルドと共に参加者用の運動計画を組み立て実践していました。そちら関しては王陛下の許可もおり、メディコも監修しています」
相変わらず私の言いたいことを分かってて凄いけど、え、ちょっと待って。どこでいつの間にそんな話が?
「チアキがオルネッラに会い、山を登り、勉強した後、ぷれぜんをしに行っていた間に」
「結構時間あったし」
まさかの怒涛期にそんな話きてたの。余裕なかったから全部オリアーナやってくれたのかな。本当いい子じゃん、もう事業については私隠居してもいいよね、ね!
その思いは敢えて無視してか、そのままオリアーナは説明に入った。
「今回、メディコを一定の距離を開けて配置しています」
「おお」
「道を違えないよう、王都の警備隊も同じく一定距離を開けて配置しています」
「おお」
「走行者をいくらかのグループにわけ、王都騎馬部隊に先導して頂きます」
見たことあるフルマラソンの図だよ。安全性も確保、テレビ中継してたら完璧。
「前知識ないのに、よくここまで辿り着けたね」
「有難う御座います」
すごいな、オリアーナ。やっぱ天才なんじゃん。
「てか私達走れないんだね」
「ジョギングの発案者ですので」
私が走ったら走ったで、スーパーマンスキルで一位をとってしまうかもしれないしね。
ここで待機しているのが妥当なのかもしれない。
王城ではトットとエステルがいて、メディコほどではないにしろ要所要所にトレーナー資格のある人達も配置しているとか。
久しぶりに純粋な観客として見られそう。もうオリンピックとか世界大会とかに縁がなくなったから、たんまり楽しもう。
「ではトレーナー代表、ソッリエーヴォ伯爵令息より……」
エドアルドがトレーナー代表でご挨拶してる。ハニーフェイスは相変わらず癒しだ。そして公共の場だと格好良さ割り増し。いいねえ、この普段見ないきりっとした感じ。すごくいい。
「かっこかわいいとか突き抜けてる」
「チアキ」
「か、顔は大丈夫でしょ?」
「危ういです」
「申し訳ございません」
こそこそ傍らでオリアーナからきくに、エドアルドはマラソン大会にトレーナーとして参加し、参加者と共に走るらしい。
もうそこまでいくとトレーナー極めつつあるよ。プロランナーと走るとかもあるんじゃないの。
そんなエドアルドのスピーチ中にいつも通りと言うのか、声をかけられる。もちろんディエゴだ。
「チアキ」
「ディエゴ、走るの?」
「ああ、急遽参加者として走ることになった」
「がんばれ」
無理なくね、と伝えると、ディエゴが少しだけ逡巡して、次にしっかり私を見た。
「一番をとれたら、でーとしてくれ」
「どこでその言葉を知った」
目線がすいと移動して私の隣を捉えた。またなの、オリアーナ。
私が顔を向けると無言ですいと私と反対側向いた。わざとだな。つい口にする私も不用心だけど、いいとこの令嬢令息が覚えてもと困る言葉もあるから、また今度きちんと言っておかないと。
私はディエゴに向き直ってお断りモードに入る。
「今度舞台行くじゃん」
「それ以外で行きたい」
ふとオリアーナが全く違うところを見て、次に席を外したのが目に入ったけど気にせず放置だ。ディエゴをどうにかしないことには始まらない。
「おばあちゃんのプレゼン近いんで難しいですね。てか、なんであえて大会一番を条件にしたの?」
「そういう約束の方が守ってもらえると」
いや私基本約束反古にしないから。ばっくれしないし。
「この大会が終わったらチアキとの時間がとれると思うとやる気がでる」
「その、この戦いが終わったら結婚するんだみたいな台詞は死亡フラグだから止めといた方がいいよ」
「結婚してくれるのか?」
「違う、そこ拾わないで」
かたやデートしたいディエゴ、かたやお断りな私で押し問答をしていると、戻ってきてこちらを向き直していたオリアーナが、ディエゴ許可しますとか言ってくる。
何度も言うけど、私の意思を確認しようよ。そしてもう私がこの世界に留まる事を知ってるのだから、無理にディエゴと私をどうにかする必要もないんだよ、オリアーナってば。
「オリアーナ、勝手に応えないでよ」
「あ、今一番とれた人への褒美が決まりました」
んん?と拡声魔法で公共放送してるエドアルドの声に首をぐるんと向ける。
嫌な予感しかしないぞ。
「一番に着いた参加者にはガラッシア公爵家令嬢、オリアーナ様との茶会をプレゼント~!」
「おおいエドアルドオオ!」
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