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1章 推しがデレを見せるまで。もしくは、推しが生きようと思えるまで。
58話 トレーナー育成ついでに皆と走る
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「では今日も気合いを入れつつリラックスして走りますか」
「なんで俺まで」
「そこにいたから」
今日の面子はいつぞやの、トット、エステル、エドアルド、ディエゴ、私とわんこなオリアーナだ。
不思議なもので、皆ジャージを馬車に用意していた。
やる気満々じゃん。
「チアキが強引に誘うことを考慮していたのでは」
「オリアーナ、それは皆が私に慣れてくれたということかな」
「そうともとれますね」
「良いことだよ」
「…チアキ」
フォームやら呼吸法、準備体操などを伝授し、颯爽と走り出してみる。
それを知るだけで、このジョギングの質がだいぶ変わるし、事実以前ただ走っただけとは全然違うのがわかる。
私の簡易的な冊子もあるけど、きちんとメモをとるエドアルドを見て感心した。
なんて勉強熱心なの。
やっぱりハニーフェイスは天使だ、神だ。
「うむ」
走り出して、オリアーナはエドアルドの傍を離れないので、幼馴染大変おいしい状況、ジャージを着ようとも輝きを放つヒーローヒロイン、そして右斜め前には視界に入った今日の犠牲者もとい参加者。
ああ視界が裕福ですねえ。
1番後ろで走ってて良かった。
背中だけでも充分贅沢できる視界ってどういうことだろう。
ここは地上じゃないんじゃない?天上なんじゃない?
すると斜め前の参加者がこちらを見返る。
「俺はオルネッラの見舞いさえ出来ればいいんだが」
「まあまあそう言わずに」
こちらのスピードにあわせて隣に並んできた。
告白の練習大事だものね。
にしても毎日とは言わないまでも、ここまで続いてるとは中々のものだ。
「その割にはジャージ用意してるし」
「そ、それは…」
「ジョギング続けてるでしょ?」
「いや、それは」
明らかに慣れている。
父に無理矢理走らされた時は戸惑いもあったから、息は少しあがっていたしフォームも崩れていた。
どこで研究したのか、さっき伝授した割にはバランスがとれてすぎている。
「フォームが綺麗すぎ」
「う…」
「持久力がつきすぎ」
「そ、それはだな」
「2回目走って持久力前の2倍になるわけないじゃん」
「ぐ…」
「どやどや」
どこか別の場所でジョギングを続けてるということだ。
走る姿は正直、馬車通りを横目に父と走っている手前、見られてる可能性はあるし、メイドさん達も時間帯は違えど走ってる者達もいる。
フォーム確認はいつでも見てすることができるということだ。
「ガ、ガラッシア公爵に誘われた時の為だ」
「律儀ですね」
あっさり肯定した。
また父親に誘われる可能性はゼロじゃない。
オルネッラの見舞いに来る以上、父親に会う確率はあがるから。
「オルネッラにかっこいーとか褒めてもらえますもんね」
「そんな下心はない」
「またまた」
断じて違うと主張するディエゴ。
純粋に運動が相性よかったのもあるだろうな。
父親みたくドはまりしてたら、それはそれで笑える。
「オルネッラが目覚めたら告白イベント(本番)かあ」
「何をにやついている」
「いえいえ、こちらの話です」
ディエゴも最初はオルネッラのことはオリアーナのせいとか言ってたな。
今やこんな風に一緒に走る事になろうとは考えもしなかった。
「そういえばディエゴは私と普通に話してくれるようになったけど、オリアーナの噂を信じてた系?」
「は?」
「いや気になって」
よくまあストレートにきくな的な顔をして、少しの間の後、落ち着いた様子で彼は話した。
「…俺はオリアーナがオルネッラの乗る馬車に魔法をかけるのを見ていた」
「おう…」
「そしてあの事故が起きた。だからオルネッラの眠りはオリアーナのせいだと思っていた」
「思っていた…?」
ああとディエゴが頷いた。
「あの日、俺は長期休暇に入る前にオルネッラに、その、贈り物をしようと思って直接ガラッシア家に行こうと思ったんだ。その時、魔法をかけるのを見て…社交界や事業での噂は後々加味した程度に過ぎない」
「そっか…」
そういった意味では自分の主観で物事を判断した人物になる。
てか見た現場よくなかった。
ついでにいうなら、オルネッラ好きすぎでしょ。
贈り物とか…小さいディエゴが大好きなオリアーナへ贈り物…見たかった…!
「けど今は考えを改めた」
「ん?」
「あの魔法は、オルネッラを守るためにしたものじゃないかと考えている」
「へえ」
ディエゴから見た時、その魔法が何だったか見えなかったのかな。
もっとも車輪が壊れる魔法がどうしたら時間差でくるのか検証していない。
こっちも地味に少しずつしてたけど、そろそろ本腰いれないとな。
「…応えてくれないか?」
「精査中ですね」
「ふん…そんなことだろうと思っていた」
お願いがあるとディエゴが言う。
イケメンのお願いなら喜んでききますが、と内心思って前のめりになると、ディエゴは少し引いた。
ええい、距離感。
「オルネッラの事が解決したら教えてくれ」
それがどんな結果であろうとも。
「わかった」
オリアーナのせいじゃないことを私は確信している。
だからディエゴには誤解なく正答を伝えられると思った。
「ああ、今の君は信用できる。期待してるぞ」
「任せて」
あれ、なんか推理ものの上司と部下みたいな感じ?
いやバディ組んでる相方的な?
新しいイベント発生してたのに、今気づいた感。
この心の開きよう…脳内にきちんと保存しておこう。
「なんで俺まで」
「そこにいたから」
今日の面子はいつぞやの、トット、エステル、エドアルド、ディエゴ、私とわんこなオリアーナだ。
不思議なもので、皆ジャージを馬車に用意していた。
やる気満々じゃん。
「チアキが強引に誘うことを考慮していたのでは」
「オリアーナ、それは皆が私に慣れてくれたということかな」
「そうともとれますね」
「良いことだよ」
「…チアキ」
フォームやら呼吸法、準備体操などを伝授し、颯爽と走り出してみる。
それを知るだけで、このジョギングの質がだいぶ変わるし、事実以前ただ走っただけとは全然違うのがわかる。
私の簡易的な冊子もあるけど、きちんとメモをとるエドアルドを見て感心した。
なんて勉強熱心なの。
やっぱりハニーフェイスは天使だ、神だ。
「うむ」
走り出して、オリアーナはエドアルドの傍を離れないので、幼馴染大変おいしい状況、ジャージを着ようとも輝きを放つヒーローヒロイン、そして右斜め前には視界に入った今日の犠牲者もとい参加者。
ああ視界が裕福ですねえ。
1番後ろで走ってて良かった。
背中だけでも充分贅沢できる視界ってどういうことだろう。
ここは地上じゃないんじゃない?天上なんじゃない?
すると斜め前の参加者がこちらを見返る。
「俺はオルネッラの見舞いさえ出来ればいいんだが」
「まあまあそう言わずに」
こちらのスピードにあわせて隣に並んできた。
告白の練習大事だものね。
にしても毎日とは言わないまでも、ここまで続いてるとは中々のものだ。
「その割にはジャージ用意してるし」
「そ、それは…」
「ジョギング続けてるでしょ?」
「いや、それは」
明らかに慣れている。
父に無理矢理走らされた時は戸惑いもあったから、息は少しあがっていたしフォームも崩れていた。
どこで研究したのか、さっき伝授した割にはバランスがとれてすぎている。
「フォームが綺麗すぎ」
「う…」
「持久力がつきすぎ」
「そ、それはだな」
「2回目走って持久力前の2倍になるわけないじゃん」
「ぐ…」
「どやどや」
どこか別の場所でジョギングを続けてるということだ。
走る姿は正直、馬車通りを横目に父と走っている手前、見られてる可能性はあるし、メイドさん達も時間帯は違えど走ってる者達もいる。
フォーム確認はいつでも見てすることができるということだ。
「ガ、ガラッシア公爵に誘われた時の為だ」
「律儀ですね」
あっさり肯定した。
また父親に誘われる可能性はゼロじゃない。
オルネッラの見舞いに来る以上、父親に会う確率はあがるから。
「オルネッラにかっこいーとか褒めてもらえますもんね」
「そんな下心はない」
「またまた」
断じて違うと主張するディエゴ。
純粋に運動が相性よかったのもあるだろうな。
父親みたくドはまりしてたら、それはそれで笑える。
「オルネッラが目覚めたら告白イベント(本番)かあ」
「何をにやついている」
「いえいえ、こちらの話です」
ディエゴも最初はオルネッラのことはオリアーナのせいとか言ってたな。
今やこんな風に一緒に走る事になろうとは考えもしなかった。
「そういえばディエゴは私と普通に話してくれるようになったけど、オリアーナの噂を信じてた系?」
「は?」
「いや気になって」
よくまあストレートにきくな的な顔をして、少しの間の後、落ち着いた様子で彼は話した。
「…俺はオリアーナがオルネッラの乗る馬車に魔法をかけるのを見ていた」
「おう…」
「そしてあの事故が起きた。だからオルネッラの眠りはオリアーナのせいだと思っていた」
「思っていた…?」
ああとディエゴが頷いた。
「あの日、俺は長期休暇に入る前にオルネッラに、その、贈り物をしようと思って直接ガラッシア家に行こうと思ったんだ。その時、魔法をかけるのを見て…社交界や事業での噂は後々加味した程度に過ぎない」
「そっか…」
そういった意味では自分の主観で物事を判断した人物になる。
てか見た現場よくなかった。
ついでにいうなら、オルネッラ好きすぎでしょ。
贈り物とか…小さいディエゴが大好きなオリアーナへ贈り物…見たかった…!
「けど今は考えを改めた」
「ん?」
「あの魔法は、オルネッラを守るためにしたものじゃないかと考えている」
「へえ」
ディエゴから見た時、その魔法が何だったか見えなかったのかな。
もっとも車輪が壊れる魔法がどうしたら時間差でくるのか検証していない。
こっちも地味に少しずつしてたけど、そろそろ本腰いれないとな。
「…応えてくれないか?」
「精査中ですね」
「ふん…そんなことだろうと思っていた」
お願いがあるとディエゴが言う。
イケメンのお願いなら喜んでききますが、と内心思って前のめりになると、ディエゴは少し引いた。
ええい、距離感。
「オルネッラの事が解決したら教えてくれ」
それがどんな結果であろうとも。
「わかった」
オリアーナのせいじゃないことを私は確信している。
だからディエゴには誤解なく正答を伝えられると思った。
「ああ、今の君は信用できる。期待してるぞ」
「任せて」
あれ、なんか推理ものの上司と部下みたいな感じ?
いやバディ組んでる相方的な?
新しいイベント発生してたのに、今気づいた感。
この心の開きよう…脳内にきちんと保存しておこう。
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