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退院日に……
しおりを挟む5日目、6日目とショウ兄に勉強を教えて貰ったり、学園経営の話や『柳』家の話を聞いたりして、あっという間に退院する日を迎えた。
「美遥さん、朔弥さん、それに先生。
お世話になりました!」
僕は笑顔で挨拶する。
「あぁ、また今度は青柳の家においでね。
翔、誠、今日と明日はゆっくり休みなさい。それとあの事も、この二日間で考えておきなさい。」
「「はい」」
兄さん達は朔弥さんを真っ直ぐ見つめて返事をした。
僕は何のことだかわからない。ムスッとしていると美遥さんが此方へやってきた。
ギュッ
「ヒカルちゃん。
辛くなったら私の所に電話をしても良いわ。家族だからこそ話せないこともあるはずだしね。だから何でも溜め込んじゃダメよ。私はあなたの『お母さん』なのだからね!」
美遥さんの温もりを感じながら僕も美遥さんの背中に手を回した。
「ヒカル、行こうか。」
「うん!
それじゃ!また、美遥さん!」
僕は声がしたショウ兄の元へ歩いて行った。
紫柳家の本家は初等部~女子中学高等部がある校舎と同じ敷地内にある。夏休みはみんなそこへ集まって食事会をするんだ。
「ヒカル、よく来たな。」
お祖父様は僕を見て優しい声で迎えてくれた。
本家はお祖父様が住んでいるところだ。お祖母様は僕が幼い頃に病気で亡くなっていているらしい。
「お久しぶりです、お祖父様!
元気そうでなによりです!」
お祖父様と挨拶していると、後ろから兄さん達に早く入る様にと言われてしまったのでリビングの方へみんなで向かった。
すると、父さんとあの柳楽湊がいた。
「あれ?父さんと…えっと…柳楽湊さん。
こんにちは。なぜ柳楽の方がこちらに?」
「あぁ、ちょっとな。湊、そういう事だから余計な事はするな。近づく事は許すがそれ以上の事は決して許さん。分かったか」
「あの……」
柳楽湊が僕の方へ近づいてきた。
この前の事もあって少し怖い。近くにいた兄さん達の背中に隠れると兄さん達は頭を撫でながら「大丈夫」と言ってくれた。
僕は兄さん達に庇われながら後ろから声をかけた。
「あの…何でしょうか?
この前の謝罪の件なら僕は大丈夫ですから。
それに会話の内容とかよく覚えてないので………」
「いや………つ…じゃなくて…ヒカル……
ヒカルは覚えてないのかもしれないけど、昔さ本当に俺と仲良くて……
それにヒカルの優しさに感謝した時もあったんだ。だから覚えてないって言われて、知らないって言われてついカッとしちゃって……
だからさ……
もう一度、友達になってもらえますか?
紫柳 ヒカルさん。」
柳楽 湊は一生懸命、僕が怖がらない様に話しかけてくれた。
その姿がなんか懐かしくて……??
「はい。もちろん!!
改めて、僕は紫柳 光。よろしく!
紫柳学園男子高等部の2年で生徒会副会長を務めているよ。」
僕は相手は知っているだろうけど、もう一度きちんと自己紹介をした。
すると父さんが話し始めた。
「ヒカル、湊はこの中期から学園男子高等部に編入される。
面倒を見ろとは言わんが、少し気にかけておいて欲しい。」
「わかりました。」
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