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―― 天神様の御用人 ~心霊スポット連絡帳~ ――
【025】一番星
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「こわかった……っ」
トンネルの外に出たスミレは、思わずなみだをうかべた。
「ありがとうお兄ちゃん、もう立てるよ」
「おう」
それからスミレは龍樹に向きなおる。
「龍樹くんもありがとう」
「いいや、和成先ぱいがいなかったら、どうなっていたかわからない」
それを聞くと、和成が苦笑した。
「お前ら一年よりたよりにならなかったら、二年の俺の立場がないだろ」
じょうだんめかしてはいたが、和成はじっさいにたよりになるとスミレは思った。
その後、まだふるえは消えなかったけれど、三人で深珠神社へと向かった。
すると四番目のブランコに、夢の修行以外では久しぶりに見る天神様の姿があった。
「はい、これです」
スミレがそう言って人形をわたすと、ゆっくりと天神様がうなずいた。
「うむ。きちんと浄化するとしよう。スミレよ。よくぞがんばったな」
天神様はそう言って立ち上がると、いつものようにふっと消えてしまった。
それを見たら気がぬけてしまい、スミレは三番目のブランコに座りこむ。すると二番目のブランコに和成が、一番目に龍樹が座った。和成は立ちのりをしてこぎはじめる。龍樹はゆっくりとゆらしている。
「いやぁ、こわかったな」
空には一番星がかがやいている。
「お兄ちゃんもこわかったの?」
「当然。あんなのは……ああ、特に手みたいなのは、俺はいやだね」
「そうなんだ」
うなずいていると、龍樹がポケットからお札を取り出した。
「これ、和成先ぱいとスミレにもわたしておく」
「ん」
ブランコをこぐのをやめて、和成が飛びおりてから、龍樹の前に立つ。そして手を伸ばしてお札を受け取ると、半分ほどは自分のポケットにしまい、残りをスミレにわたした。
「たしかにこれがあれば、俺とスミレも少しは安全度がますな」
「もっと早くにそうしているべきでした」
「気にすんな。龍樹のおかげで助かったんだから」
和成はそう言ってから、空をあおいだ。つられてスミレも夜空を見る。
すでに秋もふかまっているから、日がくれるのが早い。
「次は日曜日だな。気合い入れるぞ!」
和成の声に、龍樹とスミレはそれぞれうなずいた。
こうしてその後は、和成と二人で家に帰った。
「最近は帰りが遅いらしいな?」
すると父が帰っていた。最近は残業続きだったようだが、水紀から話は聞いていたらしい。
「なにしてるんだ? 父さんにも教えてくれ」
「うっとうしいな」
和成はそう言う。この二人は血がつながっていないわけだが、とても気楽に話をする。和成のこういうたいども、親しさのあらわれだ。
「父さんにはヒミツだよ。な? スミレ」
「うん。ヒミツ」
「和成が一緒なら平気だとは思うが、スミレ……お前はお人好しだからちょっと心配だ。和成がスケボをするところに行ってるんだとしても、お兄ちゃんから離れないように」
完全に父の春馬は、兄の趣味のスケートボードにスミレがついていっていると思っている様子だった。かんちがいだが、つごうがよいので、スミレはだまっていた。
トンネルの外に出たスミレは、思わずなみだをうかべた。
「ありがとうお兄ちゃん、もう立てるよ」
「おう」
それからスミレは龍樹に向きなおる。
「龍樹くんもありがとう」
「いいや、和成先ぱいがいなかったら、どうなっていたかわからない」
それを聞くと、和成が苦笑した。
「お前ら一年よりたよりにならなかったら、二年の俺の立場がないだろ」
じょうだんめかしてはいたが、和成はじっさいにたよりになるとスミレは思った。
その後、まだふるえは消えなかったけれど、三人で深珠神社へと向かった。
すると四番目のブランコに、夢の修行以外では久しぶりに見る天神様の姿があった。
「はい、これです」
スミレがそう言って人形をわたすと、ゆっくりと天神様がうなずいた。
「うむ。きちんと浄化するとしよう。スミレよ。よくぞがんばったな」
天神様はそう言って立ち上がると、いつものようにふっと消えてしまった。
それを見たら気がぬけてしまい、スミレは三番目のブランコに座りこむ。すると二番目のブランコに和成が、一番目に龍樹が座った。和成は立ちのりをしてこぎはじめる。龍樹はゆっくりとゆらしている。
「いやぁ、こわかったな」
空には一番星がかがやいている。
「お兄ちゃんもこわかったの?」
「当然。あんなのは……ああ、特に手みたいなのは、俺はいやだね」
「そうなんだ」
うなずいていると、龍樹がポケットからお札を取り出した。
「これ、和成先ぱいとスミレにもわたしておく」
「ん」
ブランコをこぐのをやめて、和成が飛びおりてから、龍樹の前に立つ。そして手を伸ばしてお札を受け取ると、半分ほどは自分のポケットにしまい、残りをスミレにわたした。
「たしかにこれがあれば、俺とスミレも少しは安全度がますな」
「もっと早くにそうしているべきでした」
「気にすんな。龍樹のおかげで助かったんだから」
和成はそう言ってから、空をあおいだ。つられてスミレも夜空を見る。
すでに秋もふかまっているから、日がくれるのが早い。
「次は日曜日だな。気合い入れるぞ!」
和成の声に、龍樹とスミレはそれぞれうなずいた。
こうしてその後は、和成と二人で家に帰った。
「最近は帰りが遅いらしいな?」
すると父が帰っていた。最近は残業続きだったようだが、水紀から話は聞いていたらしい。
「なにしてるんだ? 父さんにも教えてくれ」
「うっとうしいな」
和成はそう言う。この二人は血がつながっていないわけだが、とても気楽に話をする。和成のこういうたいども、親しさのあらわれだ。
「父さんにはヒミツだよ。な? スミレ」
「うん。ヒミツ」
「和成が一緒なら平気だとは思うが、スミレ……お前はお人好しだからちょっと心配だ。和成がスケボをするところに行ってるんだとしても、お兄ちゃんから離れないように」
完全に父の春馬は、兄の趣味のスケートボードにスミレがついていっていると思っている様子だった。かんちがいだが、つごうがよいので、スミレはだまっていた。
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