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2ヶ月後   冬



「ねぇ・・・待って、こんな所で・・・っ」



王都の復興の為に第2騎士団達と一緒に力仕事をしている私。
その帰り道はいつもソソと抜け道である1番奥の小屋から王宮に帰っていて・・・。



小屋の扉から出ようとする時、毎回性行為の流れになる。
子作りではない性行為に。



「第2騎士団の奴ら、団長である俺の妻を口説いてくるとか・・・っ。
この抜け道を使うことで城の門にいる近衛騎士団達とは接点をなくし少し安心していたのに、今度は自分の部下達まで“ルル”と呼んで口説いてくるなんて俺は許せねーよ。」



「私が侍女の格好をしているし、ソソの妻である聖女のカルティーヌだって気付いてないんでしょ・・・っ」



「だから王都では怒らず我慢してるだろ・・・っ。」



そう怒りながら・・・



「ンー・・・ダメ、声出ちゃう・・・っ」



後ろから私の女の部分にソソのソレを貫かれ、それからゆっくりと腰を動かしてきた。



「部屋に戻ってから・・・すればいいのに・・・・っ」



「まだまだ部屋に戻る時間ではないからな・・・。
俺はこれから宮廷で政務の勉強がある・・・。
その前に少しだけ・・・。」



「・・・あんまり、激しくしないで・・・っカルベルがいるかも・・・っ」



「アイツ・・・、俺が国王になったら死ぬまでコック見習いにさせてやる・・・。
アイツがクレドに余計なことを言っていたから俺はルルが生きていたことも知らずに・・・っ。」



今日もこのことを言ってきて、私の弟となっていたカルベルが可哀想で笑えてきた。



「クレドがこの抜け道を使ってソソに会いに
来ていた時、毎回カルベルが居合わせてたって、凄いよね・・・っ」



「俺に国王になるようクレドが唆しに来ていると思っていた時な・・・。
俺が国王になればクレドが商売しやすくなるからだと思っていた・・・。
でも、クレドからはインソルドの話が聞けたからカルベルが呼びに来た時には必ず会っていた・・・。」



ソソが後ろから私のことを強く抱き締めてくる。



「クレドからインソルドの話を聞く度、俺は早くルルに会いたくなっていた・・・っ。
早く、早く、早く会いたくなって・・・そして、剣で・・・っ」



どんどん激しくなっていく腰の動き、必死に声を我慢しながら達していく。



「だから・・・っエリーはいつも血の匂いが、したのかな・・・っ
血の匂いがしたエリーがいつも言ってくれてた・・・っ」



「何て・・・?」



「ソソ、ルル・・・好き、大好き、愛しているって・・・っ」



私が答えると、急に私の身体を軽々と持ち上げ・・・



今度は向かい合ったまま私の女の中を一気に貫いてきた。



「クレドがいなくなった後、俺のことを抱き締めてくるエリーにいつも言っていた・・・っ。
エリーはインソルドの匂いがするから・・・っ。
インソルドの土で汚れたエリーの姿を通して、死んだと思っていたルルに伝えていた・・・。」



ソソが熱い熱を込めた目で私のことを見詰めてくる。



「好きで、大好きで、愛していると・・・。」



「うん・・・っ」



「ルルは・・・?
ルルの俺への想いは・・・っ?」



そう聞かれ・・・



「私は・・・ソソのことが男として好きとか、そういうのじゃなくて・・・っ」



「・・・分かった、もういい・・・もう、聞いた・・・それでも俺からの花を受け取ってくれたと・・・っ
10歳だった俺と結婚式を挙げてきたと・・・っ
その命も身体も俺にくれているのなら、もうそれでいい・・・っ」



「・・・ンッ」



私の唇を食べるように塞いでくる。
そんな中、ソソの動きがもっと激しくなり・・・私がまた達していく時、ソソのソレが私の女の部分の奥に押し付けられた。



切ないく歪むソソの顔を呼吸を整えながら見上げ、暗い小屋の中でも光っているソソに言う。



「でも、ソソが私ではない他の女のことを好きになっていると知った時は嫌だなと思った。
そしてそんな女がいたのに“カルティーヌ”のことをあんなに好きになっているのも嫌だなと思った。
次の人生では“ルル”に求婚すると言ってくれてたのに、“カルティーヌ”にも同じ言葉を掛けていて凄く嫌だった。」



ずっと思っていたことを言うと、ソソは凄く驚いた顔になった。
でもすぐに色っぽく顔を歪め・・・



「え・・・また!?」



私の女の部分に腰を打ち付けてきた。



「そんな可愛いことを言われたら・・・っ。」



また必死に声を我慢しながら、溺れていく快感に目を閉じる。



「俺の顔を見て・・・ルル・・・っ。
俺の顔はそんなに変わってないだろ・・・っ。
何で分からなかったんだよ・・・っ。」



「全然・・・っ違うから・・・!!
ヨークだって驚いてたし・・・っ」



「ヨーク・・・。
てっきりルルはヨークと結婚式を挙げてきたと思ってた・・・。」



「ヨーク・・・?
ヨークならポポと結婚してるよ・・・?」



「ポポって?」



「エリーが“死の森”で育ててた女の子・・・っ」



「それも聞いてない・・・!!」



達していないはずのソソが急に私の女の部分からソレを抜き、ズボンを直した。



「政務の勉強まで少しだけ時間がある。
ルルの過ごした8年間を俺に教えて欲しい。
これから毎日、少しずつでも。」



「時間が勿体無いからお互いにそういう話はしてないね。
私もソソの過ごした8年間を知らないから教えて?」



2人で笑い合いながら小屋の扉を開け、外に出た。



そしたら・・・



「「「「あ。」」」」



4人の声が重なった。
向こうは向こうで驚いているけれど、これには私とソソの方がもっと驚く。



真ん中の小屋からナンフリーク殿下とメルサが出てきたから。
驚いている私とソソに2人は照れたように笑っていて・・・。



「結構前から、僕達こういう関係で。
でもメルサって侍女なうえに出身がちょっと訳ありで。
捨てられていた赤ちゃんだったメルサを、貧しく過ごしていた夫婦が拾ってくれたらしいんだけどその両親っていうのが・・・。」



ナンフリーク殿下がそう言うと、メルサは畏まったようにソソにお辞儀をした。



「改めてのご挨拶になりますが、私はメルサと申します。」



「ああ、その濃い水色の目は何となく覚えている。」



「はい、姉はもっと鮮やかな水色の瞳だったそうですが。
太陽の光りのような髪色を持つクラスト陛下から愛されたエリナエル。
空色の髪と瞳を持った、雲1つない空のように澄んだ女の子だった。
ミランダ侍女長からはそう聞きました。」



「俺の母親の妹なのか・・・?」



「血は繋がっていませんが、同じ両親から育てて貰った妹です。
姉の死と姉が生んだ黒髪持ちの子どものことを考え苦しんでいた両親の為、私は侍女となり姉が死んでしまった真相と姉が生んだ赤ちゃんの居場所を探していました。」



「そうだったのか。」



「そんな目的で来たのですが・・・。」



「僕が好きになっちゃって。
でも絶対にお母様には知られてはいけない相手だったからさ。」



「もういいだろ、マルチネス王妃もジルゴバートもカンザル教会が引き取ってくれた。
こんな所で隠れて会う必要などない。」



「未来の国王からそう言って貰えるなら良かった!」



ナンフリーク殿下が人懐っこい笑顔で笑い、ソソと私が使っていた隣の小屋の扉を閉めた。



「それにしても驚いたよね、クレバトル教皇には。
魔法みたいな力を使えるなんて僕も知らなかったよ。
王弟殿下が握り締めていた太陽の刻印が一瞬でクレバトル教皇の手の中に入ってて。
“預ける”ではなく“返す”だったらクレバトル教皇の刻印だけがあれば大丈夫だったのも本当に良かったよ。」



「あ!カルティーヌ姫!!
赤いドレスで良いですか!?」



ナンフリーク殿下が喋っているのにメルサが明るい声で私に話し掛けてきた。



「赤いドレスって?」



「ステル殿下がいつか国王陛下になる時に着るドレスです!!
ミランダ侍女長が絶対に赤にするって!!
私はカルティーヌ姫の好みも聞いた方が良いって言っているんですけど、“絶対に赤!!”って!!
赤いドレスでも良いですか?」



「ドレスなんて何色でも良い。
でも軽くて動きやすいのにして?
ナイフを持ってても動けないドレスだとダメだから。」



「分かりました!!」



可愛く笑うエルサに笑い返していると、今日もカルベルが大量の芋が入った入れ物を待って外に出てきた。



「カルベル!!」



私がカルベルに声を掛けると、カルベルは今日も申し訳ない顔で私のことを見上げてくる。



「すみません、僕がカルティーヌ姫の名前を取ってしまった形になってしまって・・・。」



「だからそんなことないって!!
カルベルっていう名前ではあったけど、“カルティー”って呼ばれてたんだってば!!」



「そうですけど・・・。」



「それに私は“ルル”!!
カルベルよりカルティーヌより、私は“ルル”なの!!
“ルル”って呼んでよ、私の弟でしょ!!!」



「はい・・・ルル・・・。」



カルベルが今日も控え目に“ルル”と呼び、それには満足して大きく頷いた。



それから少し怒った顔でカルベルのことを見下ろしているソソの方に視線を移し、言った。



「ソソも、もう1つの名前を付ければ?
ステル・エントルシア・ソソとか、ステル・エントルシア・ヒヒンソウとか。」



「“ソソ”は分かるが、“ヒヒンソウ”はないだろ。」



「何で?
インソルドでのソソの名前は“ヒヒンソウ”なのに。」



「は・・・?」



「私が付けた名前!!ヒヒンソウ!!
忘れちゃったの!?」



「いや・・・」



ソソが物凄く驚いた顔で私のことを見下ろしている。



「聞いてない・・・!!
俺の名前がヒヒンソウだったなんて聞いてないからな!?」



「あれ?言ったことないっけ?
ごめんごめん、みんな名前を省略して呼ぶのが一般的だったからね、インソルドでは。」



謝る私にソソは意地悪な顔で笑い・・・



「今晩も一晩中、だな。」



「え!?連日は無理だよ!!」



慌てて両手を横に振る私にソソは楽しそうに笑い、それからこの空間にも咲いているヒヒンソウの花を眺めた。



そして・・・



「強く強く強く、どこまでも強く生き抜く強い花・・・。」



そう呟き、嬉しそうに笑った。



でも・・・



「俺の名前、ヒヒンソウって可哀想だろ・・・!!!」



「うん、それは僕も可哀想だと思う。」



「そうですね、可哀想ですね。」



「はい、可哀想です。
ソソとルルの子どもの名前はソソに付けて貰ってくださいね?」



みんなから“可哀想”と言われてしまったソソ。



黒髪持ちで生まれ、国王である父親から棄てられ、そして“死の森”の隣にあるインソルドの村で育った皇太子殿下。



そんな“可哀想”な皇太子殿下と結婚をしたのは、今でも没落貴族のまま訂正をすることはしなかったマフィオス家の長女、カルティーヌ。



私がインソルド出身の聖女ということもあり、インソルドに興味を持つ人間も多くいて。
あんな危険な場所に民が集まってしまうのは良くないとミランダが判断し、没落貴族の領地で良くないモノが集まっている辺境の地、と噂を流すことで鎮めていた。



本当はダンドリー・ヒールズという公爵家の息子だったけれど、私は没落貴族の娘になった。



そして、ヒヒンソウの花の刻印が浮かび上がり聖女となった。



ソソと私の血が付いた花をこの胸に当て、ソソが伝えてくれた求婚の言葉を私の心が受け取り、そしてソソがキスをしてくれていたから。



それにより私の胸の真ん中には聖女の刻印が刻まれていた。



そしてその刻印は、ソソの心と私の心が結ばれた時に花が咲いた。



小さな小さな赤い花、どんな場所でも咲く強い花、ヒヒンソウの花の刻印が。



ソソの心と私の心が結ばれ続けている限り“血の刻印”は結ばれ、この胸の真ん中の花は咲き続ける。



ヒヒンソウの花は咲き続ける。



インソルドに置いてきた10歳の頃のソソ、そして枯れることなく咲き続けているヒヒンソウの花。



それを思い出しながら、大きく逞しく光る“ヒヒンソウ”を見上げる。



「あのもう1つの小屋の中は何だろう?」



「・・・開けてみるか。」



「うん、開けよう開けよう!!」




























「ルル!!!
これからお茶会の訓練って言ったでしょ!!
早く部屋に戻って・・・あ────っそこは開けちゃダメ!!!
23歳にもなって5歳の頃と全然変わらないじゃない・・・!!!
ルル!!!!」









end..............
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