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「・・・・っ団長!!
そいつ、迷香薬が急に効かなくなりました・・・!!
鎖を上手く使って攻撃してきます!!!」



王座の間の扉が開き、数人の騎士が・・・夜に見張りをしていた騎士達が血塗れで入ってきた。



「だから早く殺そうって言ったのに!!」



私が文句を言いながらソソを見上げると、ソソが物凄く怒った顔でジルゴバートの方を見た。



「何にでも刻印を使って国王のお遊びをしているこいつに言え!!
次の魔獣を捕らえるまであのユンスを生かすと、殺した奴は刑に処すと明言している!!」



ソソがそう言いながらも、天井窓の縁に立ちこっちを見下ろしているユンスに剣を構えた。



「そんな明言ばかりをして、多くの王宮勤めの人間達を排除し続けていた!!」



「そんな簡単に奪われる刻印なら刻印制度とかソソの代には廃止しよう!!」



そう言ってから太ももに差していたナイフを右手で握った。



「あの刻印は古くからカンザル教会から与えられた物!!
使えるようにするには“血の刻印”が必要だ!!
国王と次に国を預かる者とが“血の刻印”で結ばれた時、次に国を預かる者が太陽の刻印の印を押せるようになる不思議な刻印だ!!」



「“血の刻印”って・・・!?」



「お互いの血を太陽の刻印に付け、お互いの名前の上に“血”で刻印を押す!!」



「そんなの血があれば誰にでも奪えちゃうけど!!」



「“血の刻印”に必要な言葉を国王が告げる必要がある!!
その言葉は国王になった者だけが教皇から教えられる!!」



「・・・迷香薬でクラスト陛下を惑わしてたから奪えたんだね。」



「そうとしか考えられないな。」



王座の間は人間達が逃げ惑う叫び声で反響している。



「おい・・・!!お前達まで逃げるな!!
俺を守れ!!俺の側近だろ!!」



ジルゴバートの重鎮や側近だと思われる男達が我先にと扉を目指し走っている。
でも、その扉からは第2騎士団やジルゴバートの私設警護団も続々と集まってきていて、王座の間には多くの人間達が集まる事態となっていた。



何故か天井窓の縁から動かないユンスを何度も確認しながら、ソソが騎士団に王族や貴族達を先に避難させるよう指示を出していく。



なのに、ジルゴバートの私設警護団がそれをバカにしたような顔で笑いながら止めていく。



「あの魔獣は大丈夫だ!!!
凄く大人しい魔獣で自ら俺達に近付いてきたくらいだぞ!?
念のため迷香薬を嗅がせたが、グースのように従えることが出来る魔獣を俺達が捕獲した!!!」



ジルゴバートの私設警護団、その中で1番身体が大きく良くないモノに見える男が大きな声でそう叫んだ。



それには思わずソソの方を見た。
同じタイミングでソソも私のことを見てきて・・・



ソソが更に大きな声で騎士団達に指示を出した。



「早く避難させろ!!!
知能の高いユンスだ!!!
自ら王宮の中まで入り込んできた!!!」



ソソの指示に騎士団達は動き出す。



なのに・・・



「ジルゴバート陛下!!
これは魔獣遣いが使用しているという魔獣用の笛です!!
これを吹きながら頭の中で指示を出すと、その通りに動かすことが出来るそうですよ!!」



ヤミレナスがそんな怪しげな笛をジルゴバートに渡し、虚ろな目をギラギラとさせながら笛を受け取ったジルゴバート。



「見ていろ、お前達!!!
俺はこの国の国王!!!
俺の魔獣が俺に従う所を見ていろ!!!
あの剣王、ロンタス王と同じ魔獣持ちの国王になる瞬間を、ここに集まるお前達が見届けろ!!!」
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