上 下
51 / 168
3

3-12

しおりを挟む
そんな理由で触らないように言われたのだと知り、それには涙は引っ込み笑いが漏れてきた。



そして、今度は勢いよく両手を伸ばしてステル殿下の黒髪に思いっきり触れた。
私は黒髪が大好きだった。
私の血の繋がらない男、そして私に求婚してくれたソソも黒髪だった。
漆黒の髪の毛・・・。



インソルドではソソが黒髪だからと何か言う人間は誰もいなかった。
もしもそんなことを言う人間がいたら、そんな暇があるなら強くなる為に訓練をしろと叱られていたはずで。



勢い良く黒髪を触った私のことをステル殿下が驚いた顔で見下ろしている。
そんなステル殿下に笑い掛けながら伝える。



「私は黒髪が大好きなの。
漆黒の髪の色が1番好き。」



そう伝えた私にステル殿下は真剣な顔で私のことを見詰めてきた。



「ステル殿下は?
ステル殿下は何色の髪の毛が好き?
1番、好き?」



聞いた私にステル殿下は口を結び、しばらくしてから私の髪の毛の束を大きな手でゆっくりと持ち上げ、そこに口を付けてきた。



それから何も答えないまま私の身体を強く抱き締め、ステル殿下のソレをゆっくりと私の女の部分の中へと貫いてきた。



「・・・っ気持ち良すぎて・・・インソルドではどうやって子作りのコントロールをしてるんだろ・・・っ
出産するタイミングや子どもの人数とか・・・っ」



「手や口を使ってお互いに満たしてるんだろ?」



「口も・・・!?
そんなことしてないでしょ・・・っ見たことも聞いたこともない・・・!!」



「俺は見たことも聞いたこともある。」



ステル殿下が意地悪な顔で笑いながら、私の首筋に埋めていた顔を上げてきた。
それには驚き、聞く。



「見たことも聞いたこともあるって?
王宮で・・・?」



「いや、インソルドで。」



それには驚き過ぎて絶句してしまった時、ステル殿下が腰を引いた後にゆっくりと腰を打ち付け始めた。



すぐに頭の中がチカチカと白くなっていき、何も考えられなくなる。
“私の中が気持ち良い”、それしか考えられなくなる。



“もっと”、そんな風にも思ってしまう・・・。



思ってしまうだけではなく・・・



「もっと・・・ソ・・・っ」



“ソソ”と言ってしまいそうになり慌てて口を結んだ。
太陽の光りの中でステル殿下の黒髪を見ていたら、思わず“ソソ”と言ってしまいそうになったから。



顔も身体も全然違うのに、ステル殿下のことを“ソソ”と言ってしまいそうになった。



インソルドに置いてきたソソのことを思い浮かべながら、黒髪だけが同じステル殿下の顔を眺める。



ステル殿下は色っぽく顔を歪めながら私の顔を見詰め続け、何度も何度もソレを私の中に打ち付けている。



「カルティーヌ・・・っ」



何度も何度も私の名前を呼んでくる。



その目に熱を込めて、私の名前を呼んでくる。



マフィオス家の養子になった時に付けられた名前を・・・。



私の生まれ持った名前ではない名前を・・・。



私の本当の名前ではない名前を・・・。



6歳の時に名付けられた名前を・・・。



「カルティーヌ・・・出すぞ・・・っ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

壁の花令嬢の最高の結婚

晴 菜葉
恋愛
 壁の花とは、舞踏会で誰にも声を掛けてもらえず壁に立っている適齢期の女性を示す。  社交デビューして五年、一向に声を掛けられないヴィンセント伯爵の実妹であるアメリアは、兄ハリー・レノワーズの悪友であるブランシェット子爵エデュアルト・パウエルの心ない言葉に傷ついていた。  ある日、アメリアに縁談話がくる。相手は三十歳上の財産家で、妻に暴力を働いてこれまでに三回離縁を繰り返していると噂の男だった。  アメリアは自棄になって家出を決行する。  行く当てもなく彷徨いていると、たまたま賭博場に行く途中のエデュアルトに出会した。  そんなとき、彼が暴漢に襲われてしまう。  助けたアメリアは、背中に消えない傷を負ってしまった。  乙女に一生の傷を背負わせてしまったエデュアルトは、心底反省しているようだ。 「俺が出来ることなら何だってする」  そこでアメリアは考える。  暴力を振るう亭主より、女にだらしない放蕩者の方がずっとマシ。 「では、私と契約結婚してください」 R18には※をしています。    

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

殿下には既に奥様がいらっしゃる様なので私は消える事にします

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のアナスタシアは、毒を盛られて3年間眠り続けていた。そして3年後目を覚ますと、婚約者で王太子のルイスは親友のマルモットと結婚していた。さらに自分を毒殺した犯人は、家族以上に信頼していた、専属メイドのリーナだと聞かされる。 真実を知ったアナスタシアは、深いショックを受ける。追い打ちをかける様に、家族からは役立たずと罵られ、ルイスからは側室として迎える準備をしていると告げられた。 そして輿入れ前日、マルモットから恐ろしい真実を聞かされたアナスタシアは、生きる希望を失い、着の身着のまま屋敷から逃げ出したのだが… 7万文字くらいのお話です。 よろしくお願いいたしますm(__)m

気付いたら異世界の娼館に売られていたけど、なんだかんだ美男子に救われる話。

sorato
恋愛
20歳女、東京出身。親も彼氏もおらずブラック企業で働く日和は、ある日突然異世界へと転移していた。それも、気を失っている内に。 気付いたときには既に娼館に売られた後。娼館の店主にお薦め客候補の姿絵を見せられるが、どの客も生理的に受け付けない男ばかり。そんな中、日和が目をつけたのは絶世の美男子であるヨルクという男で――……。 ※男は太っていて脂ぎっている方がより素晴らしいとされ、女は細く印象の薄い方がより美しいとされる美醜逆転的な概念の異世界でのお話です。 !直接的な行為の描写はありませんが、そういうことを匂わす言葉はたくさん出てきますのでR15指定しています。苦手な方はバックしてください。 ※小説家になろうさんでも投稿しています。

婚約者の浮気現場を目撃したら、魔力が暴走した結果……

四馬㋟
恋愛
保有する膨大な魔力を制御できず、他者を傷つけまいと孤立する公爵家令嬢のエメリン。ある時、婚約者が自分以外の女性と抱き合う光景を目撃してしまい、ショックのあまり魔力を暴走させてしまう。

【R18】夫を奪おうとする愚かな女には最高の結末を

みちょこ
恋愛
前々から夫に色目を使っていた侍女が、事故に見せかけて夫の唇を奪った。その日を境に侍女の夫に対する行動はエスカレートしていく。 愛する夫は誰にも渡すつもりはない。 自分の立場も弁えない愚かな女には、最後に最高の結末を与えよう。 ※タグを確認した上でお読みください。 ※侍女のソフィアがヒーローに度の過ぎた行為をする回に関しては、△マークを入れさせて頂きます。 ※本編完結しました。後日番外編投稿したい(願望)。 ※ムーンライトノベル様でも公開させて頂きました!

処理中です...