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まさかのそんな返事を聞き、俺は腰の動きを止めた。



「侍女を側室ではなく正室にだぞ・・・!?
そんなことをした王族が確かにいたことはあるが、国王陛下がそんなことをした前例は存在しない!!」



「正室だとしても侍女・・・。
それもパッとしない冴えない女。
あの女がどこの男の子どもを孕んだとしても、その子どもが王になるなんて有り得ない。
前例でも“正しい正室”の子どもが王になっているんでしょ?」



そう聞かれて・・・



「そうだな・・・。
正室が何人かいた代もあったが、そういう時は階級の高い貴族の女が産んだ子どもが王を継ぐよう毎回明言されていた。」



「やっぱり・・・!!
ミランダって本当に優秀な侍女。
私が悩んでいた時に声を掛けてきてくれて、そしたら思わず相談しちゃったのよ。」



マルチネス妃から侍女の1人であるミランダの名前が出てくるとは思わず驚いていると・・・



「今冷静になって考えてみたら、クラスト陛下の下半身が不能だって知られる行動を取っていた私のせいでもあるのかもしれないわ。
それでムキになって侍女に金を渡して自分の子どもだと言うように頼んだのかも。
わざわざ正室にするのも側室だとそういうことも怪しむ人もいるから。
・・・そういえば、その侍女と仲の良いミランダのことを侍女長にするともクラスト陛下が言っていたわ。
前例がないくらいに若い人選だけど、それは私も賛成ね・・・あ、なんかいつもよりもっと良い・・・っ」



四つん這いになっているマルチネス妃が自分から腰を動かし始めた。
俺はそのまま動かずに目を閉じる。



「ミランダ・・・っ」



小さく1度だけ呟き、いつもよりももっと熱い熱をマルチネス妃の中にだけど放出した。



少しだけ涙が出てきたような気がするけれど、きっと気のせいで。
父を追うように母が亡くなった日に少しだけ泣いただけで、それ以外で泣いた記憶はなかったくらいだから。



感情豊かな兄のように、俺は泣いたりするような男ではないから。



だから、きっと気のせいなのだと思う。



ミランダのことばかり考えていたから、この時はクラスト兄様の正室になるという侍女のことについてよく考えていられなかった。
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