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上等な布で作られた白いドレス、ナイトドレスよりも凝った作りになっているけれど、これが1番軽いドレスだった。
それをコルセットもしないでサラッと着た。
細い身体はコルセットがなくても問題なくこのドレスにおさまった。



「胸はスカスカ・・・っ」



自分で言って自分で笑ってしまった時、後ろから笑いを堪えたような声が聞こえてきた。
振り向いてみると扉の前で私の裸を見せてしまった若い騎手のうちの1人。
17歳だというケロルドが必死に笑いを堪えている。



「別に笑ってもいいよ、私とケロルドしかいないんだし。」



宮廷を歩いている私についるケロルドに言うと、ケロルドは顔を引き締めた。



「いえ!僕が1人でカルティーヌ姫をお守りすることになりましたから!!」



「殺しても死なない聖女に3人もついてる暇があるならしっかり訓練して欲しいからね。」



「僕だけラッキーです!!
こんなに見目麗しいカルティーヌ姫とご一緒出来て!!
それに裸も・・・!!!」



「こんな貧相な身体で申し訳ないよ。
半年前はもっと凄い身体してたからね?
絶対惚れてたよ?
私って聖女になる前は子どもが出来ない身体だったから求婚されなかったけど、村でモテてはいたからね!!」



「その時の姿絵とかありますか!?」



「インソルドに絵なんて描いてる暇がある人間なんて子どもでもいないから。
みんなが戦う人間でいられるように訓練してる。
戦う為だけに男だけじゃなく女も子どもも生きてる村だから。」



「“死の森”のすぐ傍の村なんですよね?
僕はインソルドとインラドルの手前にあるアデルの森までも行ったことがないくらいで。」



「アデルの砦には?」



「あります、魔獣の討伐で。
1年前ですね、魔獣が大群で押し寄せてきた時に。
その時の功績でステル団長・・・あ、ステル殿下は団長になったんですよ。」



「1年前の魔獣の大群には膨大な被害が出たよね。
アデルの砦も陥落寸前だったんでしょ?」



「はい、あと一歩のところで持ちこたえました。
ステル副団長が・・・あ、ステル団長が・・・いや、ステル殿下が重症を負った団長の代わりに指揮をとりながら自らも228体倒したと後で聞きました。」



「228体・・・?嘘でしょ・・・?
私でも174体だったんだけど。」



「え・・・?何がですか?」



「説明するのも面倒だから別にいいや。」



後ろでまだ話しているケロルドの声を聞きながらも、1年前に起きた魔獣の大群が押し寄せてきた出来事のことを思い出す。



インソルドでもインラドルでも数十人の死人を出した。
あそこまで人が死んでしまったのは初めてだった。



そして・・・アデルの森を魔獣が抜け、2つの小さな街と4つの小さな村をほぼ壊滅させ、その先にあるアデルの砦を陥落寸前になるまで入り込んできた。



第1騎士団が守っているアデルの砦をあと1歩のところまで・・・。



そして、ほぼ壊滅してしまった小さな街や村にはその規模以上に沢山の民が暮らしていた。
アデルの砦の向こう側で暮らすことが出来なかった民が多く流れてきていたから。
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