14 / 36
1
1-14
しおりを挟む
走って、走って、走った。
外では常に美しくセットをしている髪の毛なんて一切気にすることなく、走った。
青よりは周りの目を気にすることが出来ているはずの俺が、周りの目なんて一切気にすることなく全力で走った。
でも・・・
でも、いなくて。
愛姉は見付からなくて。
全然、全然いなくて。
すぐ向こう側に見えてしまった駅を眺めながら、この足を止めてしまった。
新しい恋をすると言っていた。
俺のことを忘れて新しい恋をすると。
俺への気持ちを忘れて恋人を作ると。
愛姉はあの“結構良い男”と会うと言っていた。
本気の顔で、そう言っていた。
あの“結構良い男”と恋をするつもりでいる。
あの“結構良い男”と付き合うつもりでもいる。
あの“結構良い男”と結婚するつもりにもなり、子どもを作るつもりにもなるかもしれない。
どんな妄想をしていたんだろう。
愛姉は俺とどんな妄想をしていたんだろう。
愛姉がしていた妄想なんてきっと可愛いモノで。
可愛すぎるくらい、ガキがするような妄想なはずで。
そんなんじゃない。
俺はもっと凄いことが出来る。
俺は愛姉が泣いて喜ぶくらいの、もっと凄いことが出来る。
だから、行かないで・・・。
行かないで・・・。
上の2人のお姉様達なんて、マジで無理だけど・・・・ほんっっっっっとに無理だけど、愛姉の為なら義理の弟なんて余裕でなれるから。
そんな理由の為に俺から離れて行かないで。
そんな風に俺のことをもう守らないでいいから。
あんなに苦しそうに、泣きそうな顔をしながら、自分の気持ちを我慢なんてしなくていいから。
それを伝えたいのに、愛姉はもういなかった。
もう、いなくなってしまった後だった。
生まれ変わろうとしていたのに。
愛姉に自分の気持ちを伝えられる自分に生まれ変わろうとしていたはずなのに。
迎えに行けなかった・・・。
間に合わなかった・・・。
もう、終わった・・・。
終わってしまった・・・。
駅まで1人で走るだけで、終わってしまった。
少し先の駅を眺めながら、泣きながら、最後の最後に大きな口を開けた。
格好付けることなんて一切せず、最後の最後に大きな大きな口を開けて、叫んだ。
「愛花(あいか)・・・・!!!!!!」
俺のことをたまに”定光“と呼んでいた愛姉のことを、”愛花“と・・・。
2人きりの時にはたまに”愛花“と俺は呼んでいて、そして子ども達が俺達の所に来てからは、子ども達の親である”ほぼ夫婦“みたいな時には必ず呼んでいた呼び方である”愛花“と、そう叫んだ。
外では常に美しくセットをしている髪の毛なんて一切気にすることなく、走った。
青よりは周りの目を気にすることが出来ているはずの俺が、周りの目なんて一切気にすることなく全力で走った。
でも・・・
でも、いなくて。
愛姉は見付からなくて。
全然、全然いなくて。
すぐ向こう側に見えてしまった駅を眺めながら、この足を止めてしまった。
新しい恋をすると言っていた。
俺のことを忘れて新しい恋をすると。
俺への気持ちを忘れて恋人を作ると。
愛姉はあの“結構良い男”と会うと言っていた。
本気の顔で、そう言っていた。
あの“結構良い男”と恋をするつもりでいる。
あの“結構良い男”と付き合うつもりでもいる。
あの“結構良い男”と結婚するつもりにもなり、子どもを作るつもりにもなるかもしれない。
どんな妄想をしていたんだろう。
愛姉は俺とどんな妄想をしていたんだろう。
愛姉がしていた妄想なんてきっと可愛いモノで。
可愛すぎるくらい、ガキがするような妄想なはずで。
そんなんじゃない。
俺はもっと凄いことが出来る。
俺は愛姉が泣いて喜ぶくらいの、もっと凄いことが出来る。
だから、行かないで・・・。
行かないで・・・。
上の2人のお姉様達なんて、マジで無理だけど・・・・ほんっっっっっとに無理だけど、愛姉の為なら義理の弟なんて余裕でなれるから。
そんな理由の為に俺から離れて行かないで。
そんな風に俺のことをもう守らないでいいから。
あんなに苦しそうに、泣きそうな顔をしながら、自分の気持ちを我慢なんてしなくていいから。
それを伝えたいのに、愛姉はもういなかった。
もう、いなくなってしまった後だった。
生まれ変わろうとしていたのに。
愛姉に自分の気持ちを伝えられる自分に生まれ変わろうとしていたはずなのに。
迎えに行けなかった・・・。
間に合わなかった・・・。
もう、終わった・・・。
終わってしまった・・・。
駅まで1人で走るだけで、終わってしまった。
少し先の駅を眺めながら、泣きながら、最後の最後に大きな口を開けた。
格好付けることなんて一切せず、最後の最後に大きな大きな口を開けて、叫んだ。
「愛花(あいか)・・・・!!!!!!」
俺のことをたまに”定光“と呼んでいた愛姉のことを、”愛花“と・・・。
2人きりの時にはたまに”愛花“と俺は呼んでいて、そして子ども達が俺達の所に来てからは、子ども達の親である”ほぼ夫婦“みたいな時には必ず呼んでいた呼び方である”愛花“と、そう叫んだ。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
【完結】夫もメイドも嘘ばかり
横居花琉
恋愛
真夜中に使用人の部屋から男女の睦み合うような声が聞こえていた。
サブリナはそのことを気に留めないようにしたが、ふと夫が浮気していたのではないかという疑念に駆られる。
そしてメイドから衝撃的なことを打ち明けられた。
夫のアランが無理矢理関係を迫ったというものだった。
【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜
七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。
ある日突然、兄がそう言った。
魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。
しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。
そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。
ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。
前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。
これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。
※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
妻のち愛人。
ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。
「ねーねー、ロナぁー」
甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。
そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
さよなら私の愛しい人
ペン子
恋愛
由緒正しき大店の一人娘ミラは、結婚して3年となる夫エドモンに毛嫌いされている。二人は親によって決められた政略結婚だったが、ミラは彼を愛してしまったのだ。邪険に扱われる事に慣れてしまったある日、エドモンの口にした一言によって、崩壊寸前の心はいとも簡単に砕け散った。「お前のような役立たずは、死んでしまえ」そしてミラは、自らの最期に向けて動き出していく。
※5月30日無事完結しました。応援ありがとうございます!
※小説家になろう様にも別名義で掲載してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる