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生みの親がいた“廃屋”から出て、そこの裏にある丘の上に今日も来た。
ここは“鼠の地”を見渡すことが出来て昔から好きな場所だった。
夜にここに来ると“鼠の地”は炎のような沢山の光りで光り輝く。
空に浮かぶ月よりも多く、光り輝く。



蒸し暑くなってきた空気を感じながら、その光りを纏う“鼠の地”の人間達を見下ろす。
夜の見回りを担当している“鼠”達は今日も魔獣が出てこないかを見て回っている。



日に日に魔獣の出現が多くなってきた。



私は右手に握った小さめの剣棒を見下ろし呟く。



「こんな物で魔獣を殺すのは難しい・・・。
王宮の人間が着ている“鎧”といわれる服、それと刃物で出来ているという“剣”か欲しい・・・。」



私が呟いた時・・・



「それなら女も武器を持って戦えるように訓練に加わらないといけないな。
この国に出てくる魔獣は鼠の魔獣だけだ、女でも武器があれば倒せる。」



そんな言葉にはこの胸が嫌な感じで震え、勢い良くその声の主に振り向いた。



「そもそもその武器がないんだよ!!
国から支給されているのはこの剣棒だけ!!
こんな剣棒で女が魔獣を倒すことは出来ない!!
王宮に忍び込んだ時に折れた剣とか槍が箱に放り込まれているを見付けたら持って帰るようにしてるけど、使えないってアント達に言われてる!!」



「たまに来る王宮の人間に言ってみればいいだろ、使える武器をくれって。」



「王宮の人間に余計なことを言うと鞭で打たれて傷を負う!!
傷自体はそんなに深くはないけどその数日後には大抵死んじゃう!!
ここには薬っていう物もないし、みんなの身体は痩せ細ってる!!
ここの人達は少しの怪我でも死んじゃうんだよ!!」



「1人でじゃなくてみんなで声を上げればいいだろ。
みんなに鳴いてみたか?」



「言えない・・・!!
そんなことをみんなには言えない・・・!!」



クレアンにそう叫んだ。
暗い服を身に纏い、目元の下から口元まで覆われていた布を取り真っ白な顔が出てきた、数日前に私の前に現れたクレアンにそう叫んだ。



“鼠”のみんなとは比べ物にならないくらいの大きな大きな炎のような光りの円を身体に纏っているクレアンに。
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