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それには何だか嫌な気持ちになった。
ザワザワとする胸の前に先生からもらった名刺をキュッと抱き締め続けたまま2人を眺める。
嫌なくらい絵になっている2人のことを。
「松戸・・・朝人、先生・・・。」
佐伯さんが先生を見詰めながらも小さく呟くと、先生は優しい優しい顔で佐伯さんに笑い掛ける。
「はい、松戸先生ですね。」
「松戸先生・・・。」
佐伯さんが静かに先生のことを見詰め続けながら“松戸先生”と繰り返すと、先生は優しい優しい顔で小さく何度も頷いていた。
そんな2人のやり取りを見て凄く凄く嫌な気持ちになりながらも羽鳥さんの隣に座り、羽鳥さんと先生の打合せを聞いていく。
羽鳥さんが作った素晴らしく分かりやすい資料を見下ろしながら、たまに先生の方を見て。
羽鳥さんと話ながら、羽鳥さんを挟んで反対側に座る佐伯さんの方ばかり見ている先生のことを見ながら。
「松戸会計さんへの顧問料の支払いですが、振込先の銀行口座はどちらの銀行ですか?」
羽鳥さんが聞くと先生は2つの銀行の口座を答えた。
そしてまたすぐに佐伯さんの方を見た。
「では、弊社からはこちらの銀行に振り込みますね。
同行宛てですので手数料が少しでも安くなりますので。」
「はい、分かりました。
振り込み手数料高いですよね~。
でも増田財閥の方がそこまで意識しているのには結構驚きました。」
「お金は湧いてくるものではありませんからね。
経理部への異動になったからにはお金を稼ぐ方は出来ませんので、1円でも大切にすることしか出来ませんから。」
「素晴らしい心掛けですね。
総務部に僕の従妹がいるので言ってやってくれませんか?
国光美鼓といいまして、僕の財布を何だと思ってるのか遊びに連れていくと散財してくるんですよ。」
「「え・・・!?」」
先生の話に羽鳥さんも佐伯さんも驚きの声を上げた。
「国光さんですか、それは驚きました。
どちらかと言えば福富さんが国光さんと親戚と言われた方が納得ですけどね。」
「・・・アナタ、色々な意味で無謀なことをしようとしてたんだ?
ちょっとは相手を考えなよ。」
佐伯さんが羽鳥さんの向こう側から顔を出してきて、意地悪な顔で私のことを見てくる。
「性格、悪っ。
先生、佐伯さんってぶりっ子してますけど本当はめちゃくちゃ性格悪いですからね?」
「アナタに言われたくないから!!
松戸先生の前でそんな話してくるアナタの方が性格悪いでしょ!!」
「さっきは私のこと褒めてたのにね~?」
「アナタがあまりにも無謀そうに見えたし、でも可能性はゼロではないかもと思って協力しようとしたんでしょ!?
アナタってその見た目でどんな人生歩んできたのか男のことになると疎いから!!」
「そっちは経験豊富過ぎておまたガバカバなんじゃないの?」
「・・・ガバカバじゃないから!!」
「とりあえず私よりはガバカバでしょ。
私処女だし。」
「そうなの・・・!?」
「2人とも、松戸先生の前でいつものやり取りしないで~!!」
羽鳥さんが慌てて止めに入り、先生は楽しそうに大笑いしていた。
私の方ではなく佐伯さんの方を見ながら。
先生はずっと佐伯さんのことを真っ直ぐと見ていた。
この打合せ中、先生は1度も私のことを見ることはなかった。
ザワザワとする胸の前に先生からもらった名刺をキュッと抱き締め続けたまま2人を眺める。
嫌なくらい絵になっている2人のことを。
「松戸・・・朝人、先生・・・。」
佐伯さんが先生を見詰めながらも小さく呟くと、先生は優しい優しい顔で佐伯さんに笑い掛ける。
「はい、松戸先生ですね。」
「松戸先生・・・。」
佐伯さんが静かに先生のことを見詰め続けながら“松戸先生”と繰り返すと、先生は優しい優しい顔で小さく何度も頷いていた。
そんな2人のやり取りを見て凄く凄く嫌な気持ちになりながらも羽鳥さんの隣に座り、羽鳥さんと先生の打合せを聞いていく。
羽鳥さんが作った素晴らしく分かりやすい資料を見下ろしながら、たまに先生の方を見て。
羽鳥さんと話ながら、羽鳥さんを挟んで反対側に座る佐伯さんの方ばかり見ている先生のことを見ながら。
「松戸会計さんへの顧問料の支払いですが、振込先の銀行口座はどちらの銀行ですか?」
羽鳥さんが聞くと先生は2つの銀行の口座を答えた。
そしてまたすぐに佐伯さんの方を見た。
「では、弊社からはこちらの銀行に振り込みますね。
同行宛てですので手数料が少しでも安くなりますので。」
「はい、分かりました。
振り込み手数料高いですよね~。
でも増田財閥の方がそこまで意識しているのには結構驚きました。」
「お金は湧いてくるものではありませんからね。
経理部への異動になったからにはお金を稼ぐ方は出来ませんので、1円でも大切にすることしか出来ませんから。」
「素晴らしい心掛けですね。
総務部に僕の従妹がいるので言ってやってくれませんか?
国光美鼓といいまして、僕の財布を何だと思ってるのか遊びに連れていくと散財してくるんですよ。」
「「え・・・!?」」
先生の話に羽鳥さんも佐伯さんも驚きの声を上げた。
「国光さんですか、それは驚きました。
どちらかと言えば福富さんが国光さんと親戚と言われた方が納得ですけどね。」
「・・・アナタ、色々な意味で無謀なことをしようとしてたんだ?
ちょっとは相手を考えなよ。」
佐伯さんが羽鳥さんの向こう側から顔を出してきて、意地悪な顔で私のことを見てくる。
「性格、悪っ。
先生、佐伯さんってぶりっ子してますけど本当はめちゃくちゃ性格悪いですからね?」
「アナタに言われたくないから!!
松戸先生の前でそんな話してくるアナタの方が性格悪いでしょ!!」
「さっきは私のこと褒めてたのにね~?」
「アナタがあまりにも無謀そうに見えたし、でも可能性はゼロではないかもと思って協力しようとしたんでしょ!?
アナタってその見た目でどんな人生歩んできたのか男のことになると疎いから!!」
「そっちは経験豊富過ぎておまたガバカバなんじゃないの?」
「・・・ガバカバじゃないから!!」
「とりあえず私よりはガバカバでしょ。
私処女だし。」
「そうなの・・・!?」
「2人とも、松戸先生の前でいつものやり取りしないで~!!」
羽鳥さんが慌てて止めに入り、先生は楽しそうに大笑いしていた。
私の方ではなく佐伯さんの方を見ながら。
先生はずっと佐伯さんのことを真っ直ぐと見ていた。
この打合せ中、先生は1度も私のことを見ることはなかった。
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