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「たっっっか・・・!!!」
この言葉を言ったのは朝人ではなく私。
朝人がよく言う言葉が思わず出してしまったくらい、カヤの彼氏の個展会場であるマンションの1室の中に飾られている絵が高い。
「予約もなしに営業時間外に来た奴が言う台詞かよ!!」
カヤの彼氏がスウェットのポケットに両手を入れながら凄んできて、慌てて若松さんの後ろに隠れた。
「副ちゃんってこいつには強く出ないよね?」
「だって・・・不良だから怖い。
うちの定食屋で夜にこういう人達がたまに乱闘になってたし。」
「大丈夫、こいつ乱闘になっても一瞬で全員を床に沈められる。」
「え・・・めっちゃ怖いんですけど。」
カヤの彼氏だとは分かっているけれど、私はこの男子のことが高校の時から怖かった。
何故だかこの男子の存在はずっと忘れていて、若松さんからこの絵の画像を見せられるまでは忘れていたけれど。
あの時のことを思い出しながら壁に飾られている沢山の絵を見る。
私の親友になったといっても過言ではないカヤ。
そのカヤが描かれている沢山の絵を。
「凄い綺麗な絵だけどさ~・・・。
やっぱり高すぎるって!!
絵1枚にこんなにお金出せないって!!」
「マジで何しに来たんだよお前。」
「すみません・・・。」
若松さんの後ろに隠れながら謝ると、リビングの扉が開いた。
そこからはカヤが入ってきてお盆に飲み物をのせている。
それを見て・・・
「クリームソーダだ!!」
大喜びしながらカヤに近付くと、カヤが嬉しそうに笑いながら小さなテーブルの上にクリームソーダを2つ置いた。
「若松さんもどうぞ。」
カヤがそう言うと、若松さんは苦笑いをしながら首を横に振った。
「俺炭酸のジュースは苦手なんだよな。」
さっきまであんなにビールを飲んでいた若松さん。
カヤは断った若松さんにクリームソーダを渡してきた。
「じゃあ、上のアイスだけでも。」
素顔のカヤが目を鋭く光らせてそう言うのを私はクリームソーダのアイスを食べながら眺めていた。
「私、やっぱり絵いらないや。
だって絵じゃなくて本物と友達だし。」
カヤの彼氏が描く絵は“普通”ではない。
この絵を飾ると“上手くいく”。
SNSでそれはもう話題になり、元々綺麗で印象深い絵なのもあり凄く売れているらしい。
カヤとこの男子を再会させた私。
でも、“先生”と私を再会させてくれたのはカヤだった。
私の普通ではない友達、カヤだった。
「副ちゃん、明日土曜日だしうちに泊まっていかない?」
「「え!!!?」」
カヤの彼氏とリアクションが重なると、カヤが楽しそうに笑った後に若松さんのことを見た。
「そっちの家に泊まらせてくれるかな?」
「俺はいいけど・・・。
何だよ、お前嫌なの?」
「嫌だろ。
何が楽しくて彼女と一緒に寝ないでお前と寝るんだよ。」
「じゃあ久しぶりにトランプでもするか!」
「この歳になってトランプかよ!!
あいつらも誘うか、2人でやってもつまんねーし!!」
カヤの彼氏が何だかんだ楽しそうに笑いながら個展会場となっているマンションの1室を出ていった。
この言葉を言ったのは朝人ではなく私。
朝人がよく言う言葉が思わず出してしまったくらい、カヤの彼氏の個展会場であるマンションの1室の中に飾られている絵が高い。
「予約もなしに営業時間外に来た奴が言う台詞かよ!!」
カヤの彼氏がスウェットのポケットに両手を入れながら凄んできて、慌てて若松さんの後ろに隠れた。
「副ちゃんってこいつには強く出ないよね?」
「だって・・・不良だから怖い。
うちの定食屋で夜にこういう人達がたまに乱闘になってたし。」
「大丈夫、こいつ乱闘になっても一瞬で全員を床に沈められる。」
「え・・・めっちゃ怖いんですけど。」
カヤの彼氏だとは分かっているけれど、私はこの男子のことが高校の時から怖かった。
何故だかこの男子の存在はずっと忘れていて、若松さんからこの絵の画像を見せられるまでは忘れていたけれど。
あの時のことを思い出しながら壁に飾られている沢山の絵を見る。
私の親友になったといっても過言ではないカヤ。
そのカヤが描かれている沢山の絵を。
「凄い綺麗な絵だけどさ~・・・。
やっぱり高すぎるって!!
絵1枚にこんなにお金出せないって!!」
「マジで何しに来たんだよお前。」
「すみません・・・。」
若松さんの後ろに隠れながら謝ると、リビングの扉が開いた。
そこからはカヤが入ってきてお盆に飲み物をのせている。
それを見て・・・
「クリームソーダだ!!」
大喜びしながらカヤに近付くと、カヤが嬉しそうに笑いながら小さなテーブルの上にクリームソーダを2つ置いた。
「若松さんもどうぞ。」
カヤがそう言うと、若松さんは苦笑いをしながら首を横に振った。
「俺炭酸のジュースは苦手なんだよな。」
さっきまであんなにビールを飲んでいた若松さん。
カヤは断った若松さんにクリームソーダを渡してきた。
「じゃあ、上のアイスだけでも。」
素顔のカヤが目を鋭く光らせてそう言うのを私はクリームソーダのアイスを食べながら眺めていた。
「私、やっぱり絵いらないや。
だって絵じゃなくて本物と友達だし。」
カヤの彼氏が描く絵は“普通”ではない。
この絵を飾ると“上手くいく”。
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でも、“先生”と私を再会させてくれたのはカヤだった。
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「「え!!!?」」
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何だよ、お前嫌なの?」
「嫌だろ。
何が楽しくて彼女と一緒に寝ないでお前と寝るんだよ。」
「じゃあ久しぶりにトランプでもするか!」
「この歳になってトランプかよ!!
あいつらも誘うか、2人でやってもつまんねーし!!」
カヤの彼氏が何だかんだ楽しそうに笑いながら個展会場となっているマンションの1室を出ていった。
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