【R18・完】朝1番に福と富と寿を起こして(他サイトでのカットページも掲載しています)

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「風邪の具合はどうなの？」



呆然としながらも仕事の頭だけは動かし乗り切ろうとしていた時、隣のデスクの佐伯さんから意外にもそんな言葉を掛けられた。



「咳も鼻水も元々なくて、熱だけが39度まで上がっただけだから。
もう熱は下がった、昨日はお休みごめんね。」



同期でもある佐伯さん、昨日私がするべき仕事を佐伯さんがやってくれたことは朝報告を受けてお礼を伝えていた。



「熱だけが39度とか知恵熱じゃない？
知恵熱を出すとか子どもっぽいのは見た目だけにしてよ・・・っ」



佐伯さんが私のことをクスクスとバカにしたような顔で笑い、私は睨みながら佐伯さんのことを見る。



今日も紺色のブラウスを着ていて、首元はお洒落なデザインでキュッと閉じられている。
それなのに大きな胸だということはブラウスだけでもよく分かるし、ブラウスを仕舞っているスーツのスカートからはくびれも、良い形をしたお尻や太ももまでもが分かってしまう。



「歳を取ったらその胸もお尻もしぼんで垂れるとか今から可哀想。
私と同じ歳なのに私よりも老けてる顔をしてるのも可哀想に。
知恵熱を出したとしても“歳だから無理しないで”って言われるだけなのも可哀想。」



「それ誰から聞いたの？」



「さあ？」



別に誰からもそんな話は聞いていなかったけれど、急に佐伯さんがめちゃくちゃ怒った様子になったのでそう濁した。



そしたら・・・



「そっちこそ、まだ手を出されてないとか可哀想。
私なんて死ぬほどエッチしまくったけどね。
大量の避妊具がなくなって、“このまま入れたい”って言われるくらい。
あなたの身体が大人になるのを待ってたらそのまま大人にならずにおばあちゃんになっちゃうのにね。」



そんなことを言ってきて・・・



佐伯さんがそんなことを言ってきて・・・



私は震えてきた口を必死に開いた。



「エッチ、してたの・・・？」



「数えきれないくらいね。
毎日のようにしてた。」



「付き合ってたの・・・？」



「付き合ってはない。
私は誰とも付き合えないから。
結婚願望も出産願望もないし。」



それを聞いて・・・



それを聞いて・・・



「・・・ちょっと！！
泣くのはルール違反！！」



佐伯さんが泣いてしまった私のことを批判してきた。
佐伯さんとは口喧嘩ばかりしていた。
新卒の頃から毎日のように口喧嘩ばかりしていた。



お互いに過激なことは言っていたけど泣いたことなんてなかったのに。



「ごめんって・・・、流石に言い過ぎた・・・。」



意外にも佐伯さんが謝ってきて、私に箱ティッシュを渡してくれる。
それを受け取り私も謝る。



「私こそ泣いてごめん。
まだまだ全然喧嘩出来るから。」



そう言った私に佐伯さんがクスッとめちゃくちゃ可愛くて綺麗な顔で笑い、なのに困った顔になった。



「病み上がりだろうけど、金曜日飲みに行ける？」



初めて佐伯さんからそんな誘いがあり驚いた。
驚いたけれど・・・。



私は佐伯さんのことを何も知らないらしいので、そこは大きく頷いた。
それを見た佐伯さんは悲しそうに笑いながら頷き、反対側にいる羽鳥さんのことを見た。



「羽鳥さんも飲みに行きませんか？」



「え、私も？いいの・・・？」



社内の飲み会に絶対に参加しないで有名な羽鳥さんまで頷かせた佐伯さん。



勝てないと思った・・・。



佐伯さんには絶対に勝てないと思った・・・。