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この男と並び、カウンターの端の席に座る。



「君、何飲む?」



男に聞かれ酒が並ぶ棚を見ると確かに上等な酒が置かれていた。
こんな田舎町のボロボロのスナックに、こんなに上等な酒が置かれている。



その酒を驚きながら眺めていると、ウイスキーの“響”もあった。
私はそれに指を指しながら、“ママ”に言う。



「ウイスキーを。
ウイスキーの“響”を。」



「アンタはどうする?」



「俺も同じ物を。」



“ママ”が2つのグラスにウイスキーを注いでいく。
何も言っていないのにロックで。
それに思わず笑ってしまう。
酒の強い女なのだとバレているらしい。



静まり返っていた店内は、また少しずつ話し声が戻ってきた。
でもさっきのような大笑いではなくヒソヒソ声で。



こんな田舎町に良い女が現れて、他のお客様を困惑させたのかもしれない。
そう思いながら少し笑った時、“ママ”がカウンターに料理を何品が並べてくれた。
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