【完】タバコの煙を吸い込んで

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5-7

駅前から歩いて20分。
雪は降っていないし除雪されていて、雪に慣れていない私でもそんなに苦労をせず歩くことが出来た。



そして、ボロボロのアパートへ・・・。
ボロボロのアパートを見て、泣きそうになった。
豪邸のような実家に住み、上等なマンションを借りて呑気に生きている自分が恥ずかしくなった。



そして、ママから聞いた番号の部屋へ。
1階で・・・この部屋。



少し緊張しながら扉の前に立つと・・・。



扉には、黄色く変色された紙に黒いマジックで字が書かれていた。



“保険代理店 小太郎”



そう、書かれていた。
ママは詳しく教えてくれなかったけど、保険代理店で個人事業主として保険の営業をしていたらしい。
複数の保険会社の商品を扱っていて、クソ親父の会社の保険もその中の1つだった。



80歳になる爺さんがまだ働いているのかと思い、泣きそうになった。
それに、この黄色く変色した紙・・・。
セロテープで貼られていて、そのセロテープも変色していた・・・。



それを見て、泣きそうになった。
裕福な家で生まれ育った私にはない色だった。



それを冷たくなってきた指先で少しだけ触れ、インターフォンを押した。