上 下
50 / 165
4

4-8

しおりを挟む
繁華街の明るい通りを抜けて、裏の道に入る。
暗くなった道にある、古びたビル。
そのビルの1階にあるお店、スナックだった。



私のママが“ママ”をやっているお店だった。



“スナック トキ”



私がホステスをしているお店、“CLUB Toki”は私のママが経営しているクラブ。



そんなママにお願いをして、定休日である日曜日の今日もスナックを開けてもらった。
拓実を連れていくことは言っている。



私の毒よりも、ママの毒の方が強いから。
拓実にもママの毒を吸い込んでもらいたかった。



「ここ、ママが・・・私の母が“ママ”をしているスナックなの。」



そう言って・・・握っていた手をゆっくりと離す。
拓実を見上げ、笑い掛ける。



「ママに変に期待させたくないから。」



笑った私を、拓実は眉間にシワを寄せ難しそうな顔をして見下ろしていた。
しおりを挟む

処理中です...