【完】この夏、人生で初めて海にいく(カットページ掲載済2023.5.30)

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「俺達の父親は、“アヤメ”に性的虐待をしてた。」



その日の帰り道、木葉君が彼女を送らずに俺を呼び止め近くの公園に入った。
木葉君はなんというか・・・あんまり彼女と一緒にいない人で。



彼女も少し不満そうにしていて、木葉君もそれに気付いている感じなのに結構放置していて。



また彼女ではなく俺を呼び止めるものだから、彼女は俺をあまり良く思っていない。
彼女よりも明らかに俺と一緒にいる時間の方が長い・・・。



そんな木葉君が俺を呼び止めてまで話した内容は、衝撃的な話だった。



美少女の“アヤメ”ちゃんは本当の父親から性的虐待をされていた。
そんな“アヤメ”ちゃんを木葉君のお姉さんとお兄さんが救いだした。



そして・・・



「明は小学校1年生の時から“アヤメ”を守ってる。
絶世の美少女みたいな“アヤメ”を、女の子の明は男になってでも守ってる。」



「男になってでも・・・？なんで・・・？」



女の子ではいけなかったのか・・・。
男になる必要があるのか・・・。
心の中はきっと凄い女の子なのに・・・。



そう思いながら、ベンチの隣に座っている木葉君を見る。



木葉君は俺を真剣な顔で見た後・・・



「“アヤメ”は、姉貴である紅葉と同じくらい絶世の美少女で。」



「そう・・・なんだ・・・。」



「そんな紅葉には雷(かみなり)が常に傍にいる。」



「雷・・・？」



「雷のような男、雷(らい)が常に傍にいた。
だからこんなに治安の悪い地域でも、絶世の美少女の紅葉も無事だった。」



木葉君がそう言ってから、俺を・・・俺を見て・・・。



その目は・・・初めて見る目で・・・。



動けなくなる・・・。



動けなくなりそうになる・・・。



でも・・・



でも・・・



「どうして俺にそんな話をしてくれたの？」



木葉君の目を見返しながら聞いた。



俺は知っている。



俺はこういう激しい目を知っている。



父さんも母さんも、小学6年生の妹のみかだってしている。



激しい目を・・・。



でも、真坂家の目とは違い・・・



熱くて激しい・・・熱のような目・・・。



これは・・・



これは・・・



「雷(かみなり)が、木葉君の心の中にあるんだ・・・？
その強い肉体の中に強い精神・・・強い雷があるんだ？」



父さんの言っていた言葉をやっと理解した。



そういう人が本当にいる。



そういう人が、本当にいた・・・。



俺を怖いくらい見ていた木葉君が、ニッと笑った・・・。



そして・・・



「真坂の親は素晴らしい親なんだろうな。
お前の中には海があるよ、デカくてどこまでも続いてて・・・激しくもある、海がある。」



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