【完】この夏、人生で初めて海にいく(カットページ掲載済2023.5.30)

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「明ちゃん・・・。」



オーシャンが戸惑った空気であたしの名前を呼ぶ。
“明ちゃん”と呼ぶ。



「“明”でいいよ。
“友達”だから“明”でいいよ。」



そう言って笑ったけど、オーシャンは戸惑っている。
あたしが泣いてしまっているから。



物心がついてから涙を流しのは、初めてだった。
それくらいいつも笑っていたように思う。



「明ちゃんは女の子だよ。」



「女でごめんね？」



泣きながらでも笑いながら言った。



「お兄ちゃんの代わりになれなくてごめんね？」



あたしが“男”だったらお兄ちゃんの代わりになれた。
そして、こんなに死んでしまいそうなオーシャンをすぐにでも救えた。



大好きな大好きなオーシャンを、すぐにでも救えた。



大好きで大好きで、ずっとずっと恋い焦がれていたオーシャンを・・・



あたしはすぐにでも救えた・・・。



「ごめんね、また俺のミスだね。
明ちゃんをこんなに悲しませてるのは、俺のミスだね。」



「どれがミス？」



「全部が・・・。
絶対にミスをするわけにいかないのに。
小さなミスも俺には許されない。」



「そんなに・・・？」



「俺は絶対にミスをするわけにいかないのに、明ちゃんといると激しい感情が出てくる。」



オーシャンにそう言われ、昨日の夜に海でされたことを思い出す。
少し前まで神様に感謝していた全ても、今ではこの顔で“男”として創造してくれなかったことに怒りさえ出て来た。



「仲直りしたい。」



そう言われてしまい・・・あたしは空気を無理矢理にでも動かした。



「お兄ちゃんと？」



泣きながらオーシャンを見詰めると、オーシャンは真剣な顔で首を振った。



「明ちゃんと。
女友達の明ちゃんと仲直りがしたい。」