【完】約束したでしょ？忘れちゃった？(カットページ掲載済2023.4.30、詳細は内容欄に記載)

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「1人の男の人を匿う為だけにですか？」



ミコちゃんから聞かれて俺は頷いた。
それから信之君のことを思い浮かべながら答える。



「小さな頃から婚約者がいた男でさ。
結婚する直前にどうしても楽しく生きたくなったらしい。
他に好きな女の子もいたから逃げたくなったって。
それまで真面目過ぎるくらい真面目に生きてきて、最後の最後に逃げたくなったんだって。」



「それは逃げたんじゃないですよ。
次に進んだだけです。」



「そうなのかな！？」



「そうだと私は思っています。
生まれてしまったからには生きていかなければいけないから。
生き続ける為に次に進んでいるだけです。」



「そっか！！同僚に伝えておく！！
逃げたことに苦しんでもいるから！！」



真面目過ぎるくらいに真面目な信之君が少しでも苦しくなくなることを願いながら、向こうにいるみんなのことを考える。



「その男が永家生命っていう会社で働いてたんだよね。」



「大きな会社なので私も知っている会社です。」



「マジか、ミコちゃんも知ってるんだ。
その大きな会社に新卒で入社をして2年間トップの営業成績だった男で。
俺は向こうの大学を卒業したら友達とIT企業を立ち上げようかなんて話してたんだよね、課外活動でシステム開発とかやってたし。
でもその男を“ゆきのうえ商店街”の増田一家で匿うことにしたから保険会社を立ち上げることにして。
友達もみんなついてきてくれたから心強くはあったよ。」