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だって、元気さんは幻滅していた。
再会した日、元気さんは私に幻滅をしていた。



「美鼓ちゃんに幻滅なんてしない。
だからそんな顔で笑わないで。」



泣きながら笑っている私の頬を元気さんが右手で包み、親指で涙を拭ってくれた。
元気さんの温かい手を感じ、私は泣きながら、笑わずに声を出した。



「1年後、私が約束を忘れていなかったら付き合ってくれるって約束したのに・・・。
付き合ってくれなかった・・・。
元気さんは私と付き合ってくれなかった・・・。」



私の言葉に元気さんは苦しそうに顔を歪め、私の頬からゆっくりと右手を離した。



「ごめん、少し事情があって・・・。
本当にごめん・・・。」



「私こそごめんなさい・・・。
あの日赤い長靴と傘まで持ってて変でしたよね・・・。」



「長靴じゃないと歩けない時があることを俺は知ってるから変だなんて思わない。
あの日の大雨はあの格好じゃないと歩けない日だった。
“ゆきのうえ商店街”の大人達は必ず長靴を準備してるんだよね。
どこが道かも分からないくらいの雪の上でも、大切な人をおぶってでも歩けるように。」



元気さんがそう言った後、優しい優しい顔で私のことを見詰めた。



「美鼓ちゃんがいれば大雪の日も分かるだろうから、それに備えて色々と準備が出来そうだけどね。」



そう言われ、私は思わず固まってしまった。
でも、震える口を動かしながら聞いた。



「元気さんは、普通じゃない私の力を利用しようとしてるんですか?」



「いやいや!!
俺は家族の力にも神様の力にも頼らず乗り越えようとしてるくらいだから!!
あ・・・でも、増田ホールディングスとしては美鼓ちゃんの天気予報を頼ってるから微妙か・・・。」



元気さんが難しい顔で悩み始め、私は自然と笑顔になった。



「行ってらっしゃい。
上手くいきますよ。」



私の言葉に元気さんがパッと顔を輝かせ、「行ってきます!!」と元気にエレベーターに乗り込んでいった。




「これからどうなるんだろう・・・。」




元気さんと私の関係がどうなるのか、天気予報より天気予報の私でも分からなかった。
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