【完】約束したでしょ？忘れちゃった？(カットページ掲載済2023.4.30、詳細は内容欄に記載)

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「5円の重さ？」



一平さんが元気さんに聞くと元気さんは優しく笑いながら頷き、それから皆の方を見渡した。



「ここの会社の人達は大学を出た中流階級以上の人間の集まりだからね。
5円の重さは知らないよね。」



「確かに、俺は知らないな。
元気君は小さな頃は大変だったと思うし、そっか・・・。
50万円は“大きくない金額”ではないね。」



「50万円だろうが5円だろうがお金の重さは変わらない。
形のない物の為にそのお金を投げ入れる時ほど、そのお金の重みをよく考えなければいけない。
大昔からある巨大な会社の中にいるから感覚が麻痺してるだろうけど、50万円の利益を生み出すのにどのくらいの労力が必要なのかを知っていなければいけない。」



元気さんはよく響く声でそう言ってから、一平さんのデスクから資料を持ち上げた。



「俺この会社から給料とか貰ってないから仕事するつもりなかったけど、聞こえちゃったからには確認してくる。」



そして困ったように笑いながら私のことを見下ろしてきた。



「国光ちゃんって声大きいよね。」



そんなことを言ってから元気さんは総務部のエリアから出ていき、どこかに歩いていった。