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翌日



「行ってきます。」



リクルートスーツに黒いパンプスを履き家の扉を開けた。
そして、しっかりとした足取りで家を出た後に家の近くにあるゴミ収集場所へ向かう。



そこの空き瓶用のカゴの中にゆっくりと置いた。



空になった“元気”の一升瓶を置いた。



昨日の夜に1人で一升瓶全てを飲んだ。
絶対に具合が悪くなると思ったけれど、不思議と具合は悪くならず二日酔いもない。
そんなにお酒は強くないはずなのに、最後まで美味しく飲むことも出来てしまった。



むしろもっと飲みたいと思うくらい美味しくて。
凄く凄く飲みやすくて、凄く凄く美味しくて。



そんなお酒が入っていた“元気”の一升瓶を私は捨てた。



今朝キッチンで水でゆすぎ、キッチンタオルで周りを拭いた“元気”の一升瓶 。



私は“元気”を捨てた。



忘れるでもなく、なかったことにするでもなく、私は捨てた。



一緒にご飯を食べて一緒に帰った。



それだけは約束を果たして貰えた。



会社の社飲食堂で3人で食べたご飯だけど。
会社の下まで一緒に帰っただけだけど。



その約束だけは果たして貰って、私は“元気”を捨てた。



一滴も残ることなく飲み込んで、私は“元気”を捨てた。



「バイバイ。」



最後に“元気”に笑いながらその言葉を伝え、私はしっかりと歩き始めた。



今日は“何か”がある予感を感じながら。
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