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日曜日



「美鼓~、神社の掃除してきてくれない?」



家のリビングのソファーに寝転がりテレビを見ているとお父さんが言ってきた。



「え~、正社員で働き始めたし私も疲れちゃったもん。
お母さんは?」



「女子会に行っちゃった。」



「ババ会の間違いじゃなくて?」



私が今回もそう言うとお父さんがヒーヒー言いながら笑っていて、私はそのタイミングで出てきたカヤを見る。



「カヤ、神社の掃除お願~い!」



「えー!?私これから友達と遊びに行くんだけど!!」



「その前にチャチャッとやってきてよ!
大学生だから夏休みだしょ!
家の手伝いしなさい、家の手伝い!!」



「正社員になったからって、お姉ちゃん手伝い全然しなくなったじゃん!!」



「なんかあの会社疲れる・・・。
もう疲れた~!!!」



「入る前から疲れてなかった?」



「うん、なんとなくね~。」



「はいはい、“なんとなく”ね。
じゃあ大学生で暇な私が奉仕してきますよ。」



「小さな神社だからすぐ終わるから~!」



お父さんが神主として最低限のことをしている小さな小さな神社。
そこの掃除奉仕にカヤが向かっていった。
神職資格を得る為に大学の専門学科にも通っているカヤ。
それでも我が家では毎日のようにこんなやり取りが行われる。
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