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青さんはチラッとダイニングテーブルの空パックや箸を確認し、スーツのままテキパキと片付け出した。
それをソファーで寝転がりながら眺めていると、冷蔵庫からマヨネーズを取り出してきた青さんがペットボトルのミネラルウォーターと一緒にドンッと置き、青さん分のお惣菜やお弁当が置いてある所に座った。
どんな言葉が出てくるのか少しドキドキとしながら待っていると、青さんは普通の顔でお惣菜やお弁当にマヨネーズをかけながら口を開いた。
「俺のことを”好き"どころか”大好き"になると大変だからな。」
「女からだけじゃなくて男にもラブされちゃうもんね。」
「いや、そういうのじゃなくて。
・・・・そういうのもあるっちゃあるけど、それよりも大変になるからな。」
「何が?」
本気で分からずにまた起き上がると、お惣菜やお弁当ではなくマヨネーズを食べているように見える青さんが、いつもよりも勢い良くご飯を食べながら言ってきた。
「俺のことが大好きで俺の為に仕事ばっかりな人生にさせたら可哀想だろ。
俺の会社の奴らには、仕事だけではない楽しかったと思える人生にして貰いたい。」
そんな予想外の返事を聞き、でも青さんらしい言葉には自然と笑った。
「青さんは優しいね。」
「俺なんて全然優しくねーよ。
お前だって知ってるじゃん。」
「うん、知ってるよ。
青さんが凄く優しい人だって知ってる。
でも引くほど意地悪でもあって、なのにこんなに優しくもあって、なんか凄く心が振り回される。」
「俺なんて1ミリも優しくねーだろ。
めちゃくちゃムカつくことがあって、そのムカつきをお前の所のお嬢様で発散させて貰うという意地悪とも違う最悪なやつをやった。」
「え、あれそういうやつだったの?
それ最悪じゃん、青さんにムカつきながらも”優しい"とか思ってた私の気持ちを返してよ。」
「最悪なのはお前だろ、”友達"のことを俺に教えなかった。」
「増田生命と増田ホールディングスの人事異動のことを青さんにわざわざ報告しないでしょ。
そんなことでムカついてたの?」
笑いながら聞いた私に青さんはマヨネーズの塊に見えるご飯を食べ、モグモグと口を動かしながらも言ってきた。
普通の顔をしながらも私のことは見ることなく・・・
「"ソっちゃん”がそこまで格好良い奴だとは聞いてない。
それもソっちゃんの為にお前が譲社長に進言までしたとか、俺何も聞いてねーけど。」
そんなことを言われたけれど、私にはこれの何にムカつかれているのか全然分からない。
「え・・・・・ダメだった?」
「ダメとかじゃねーよ・・・、ダメとかじゃねーけど・・・。」
青さんはやっぱり私の方を見ることなく聞いてきた。
「彼氏が出来たばっかのあの2人がワーキャー騒ぎまくっててさ・・・。
お前さ・・・、お前も、ソっちゃんのこと好きだろ。」
「うん、だから、"友達”だから好きに決まってるじゃん。」
「・・・田代とどっちが好き?」
「えぇ~・・・」
めちゃくちゃ悩んだけれど・・・。
「ソっちゃんかな。」
答えた私に青さんはやっぱり私のことを見ない。
「理由は?」
「田代君は誰の前でもあのままの人だけど、ソっちゃんは私にだけ見せてくれる姿があるから。
あんなに格好良い見た目なのに中身は凄く可愛いんだよ。」
「ふ~ん・・・・・、俺とどっちが好き?」
それを聞かれ、青さんが何で怒っているのかやっっっと分かった。
「どっちも同じくらい好きだよ。」
「選ぶとしたら?」
「えぇ~・・・どっちも違う良さがあるからなぁ。」
男としての"好き”も"大好き”も"愛してる”も青さんだけど、ただの"好き”なら悩む。
最後のマヨネーズの塊を食べた青さんが空パックも箸もテキパキと片付け、ダイニングテーブルをテキパキと綺麗に拭いてからエアコンを見上げた。
「暑・・・。」
「うん、ムカついたから暖房代を上げてやろうと思って。」
「どんな仕返しだよ。」
青さんが小さく笑いながら暖房を切った。
「私の部屋も付けてるよ?」
「それはどっちでも良いけど、仕返しの仕方が可愛くてちょっとボ◯キした。」
「そんな理由でもそんな風になるの?」
面白くて笑った私に青さんは何処か遠くを眺めながら口を開いた。
「お前の所のお嬢様に文句を言いまくった後なんてギンギンにボ◯キしてた。」
それをソファーで寝転がりながら眺めていると、冷蔵庫からマヨネーズを取り出してきた青さんがペットボトルのミネラルウォーターと一緒にドンッと置き、青さん分のお惣菜やお弁当が置いてある所に座った。
どんな言葉が出てくるのか少しドキドキとしながら待っていると、青さんは普通の顔でお惣菜やお弁当にマヨネーズをかけながら口を開いた。
「俺のことを”好き"どころか”大好き"になると大変だからな。」
「女からだけじゃなくて男にもラブされちゃうもんね。」
「いや、そういうのじゃなくて。
・・・・そういうのもあるっちゃあるけど、それよりも大変になるからな。」
「何が?」
本気で分からずにまた起き上がると、お惣菜やお弁当ではなくマヨネーズを食べているように見える青さんが、いつもよりも勢い良くご飯を食べながら言ってきた。
「俺のことが大好きで俺の為に仕事ばっかりな人生にさせたら可哀想だろ。
俺の会社の奴らには、仕事だけではない楽しかったと思える人生にして貰いたい。」
そんな予想外の返事を聞き、でも青さんらしい言葉には自然と笑った。
「青さんは優しいね。」
「俺なんて全然優しくねーよ。
お前だって知ってるじゃん。」
「うん、知ってるよ。
青さんが凄く優しい人だって知ってる。
でも引くほど意地悪でもあって、なのにこんなに優しくもあって、なんか凄く心が振り回される。」
「俺なんて1ミリも優しくねーだろ。
めちゃくちゃムカつくことがあって、そのムカつきをお前の所のお嬢様で発散させて貰うという意地悪とも違う最悪なやつをやった。」
「え、あれそういうやつだったの?
それ最悪じゃん、青さんにムカつきながらも”優しい"とか思ってた私の気持ちを返してよ。」
「最悪なのはお前だろ、”友達"のことを俺に教えなかった。」
「増田生命と増田ホールディングスの人事異動のことを青さんにわざわざ報告しないでしょ。
そんなことでムカついてたの?」
笑いながら聞いた私に青さんはマヨネーズの塊に見えるご飯を食べ、モグモグと口を動かしながらも言ってきた。
普通の顔をしながらも私のことは見ることなく・・・
「"ソっちゃん”がそこまで格好良い奴だとは聞いてない。
それもソっちゃんの為にお前が譲社長に進言までしたとか、俺何も聞いてねーけど。」
そんなことを言われたけれど、私にはこれの何にムカつかれているのか全然分からない。
「え・・・・・ダメだった?」
「ダメとかじゃねーよ・・・、ダメとかじゃねーけど・・・。」
青さんはやっぱり私の方を見ることなく聞いてきた。
「彼氏が出来たばっかのあの2人がワーキャー騒ぎまくっててさ・・・。
お前さ・・・、お前も、ソっちゃんのこと好きだろ。」
「うん、だから、"友達”だから好きに決まってるじゃん。」
「・・・田代とどっちが好き?」
「えぇ~・・・」
めちゃくちゃ悩んだけれど・・・。
「ソっちゃんかな。」
答えた私に青さんはやっぱり私のことを見ない。
「理由は?」
「田代君は誰の前でもあのままの人だけど、ソっちゃんは私にだけ見せてくれる姿があるから。
あんなに格好良い見た目なのに中身は凄く可愛いんだよ。」
「ふ~ん・・・・・、俺とどっちが好き?」
それを聞かれ、青さんが何で怒っているのかやっっっと分かった。
「どっちも同じくらい好きだよ。」
「選ぶとしたら?」
「えぇ~・・・どっちも違う良さがあるからなぁ。」
男としての"好き”も"大好き”も"愛してる”も青さんだけど、ただの"好き”なら悩む。
最後のマヨネーズの塊を食べた青さんが空パックも箸もテキパキと片付け、ダイニングテーブルをテキパキと綺麗に拭いてからエアコンを見上げた。
「暑・・・。」
「うん、ムカついたから暖房代を上げてやろうと思って。」
「どんな仕返しだよ。」
青さんが小さく笑いながら暖房を切った。
「私の部屋も付けてるよ?」
「それはどっちでも良いけど、仕返しの仕方が可愛くてちょっとボ◯キした。」
「そんな理由でもそんな風になるの?」
面白くて笑った私に青さんは何処か遠くを眺めながら口を開いた。
「お前の所のお嬢様に文句を言いまくった後なんてギンギンにボ◯キしてた。」
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