【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました！

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「何でですか？
三山社長からは、“奥さんに送ったメールのことは気にしなくて良い。それでも気になるようなら仕事で返してくれれば良い。”って言われてますよね？」



「社長も奥様も私のことを許してくれた。
でも、私は私のことが許せなかった。」



木下さんはキツめの美人な顔を歪めた。



「社長の奥様のことを傷付けたのは事実だから・・・。
あれが嘘でも本当のことでも、私が奥様のことを深く傷付けたことには変わらない。
そんな自分が許せなくて・・・めちゃくちゃ許せなくて、それで・・・逃げちゃった。」



苦しそうに笑いながら私のことを見た。



「苦しみ続けることから逃げちゃった。
私、こんな顔だけどそこまで強くはないんだよね。」



「知ってます。
だから奥様にメールを送ったんだろうなと思っていました。
でも、私のことを怒り続けていたあの演技はとても素晴らしかったです。
だから木下さんが責任感の強い人だということも私は知っています。」



「そう言ってくれてありがとう・・・。
社長もそう言ってくれて、ワンスターエージェントに私の転職活動の件を頼んでくれて。
加藤さんってワンスターエージェントの人だったんだね、星野さんっていう人が私の経歴を見て私にこの会社を勧めてくれたの。」



「青さんが・・・？」



青さんが私への応援に木下さんのことを連れてきたくれたのだと分かり、それには一気に心が元気になった。



なのに・・・



「社長さんの方じゃなくて、社長の従弟って言ってたかな。
スラッとした格好良い男の人の方。
社長さんって加藤さんが水族館でデートをした人でビックリしちゃった。
あんなに格好良い社長を掴まえるなんて案外やるじゃん。」



そう言われ、今度は私の方が顔を歪めた。



「デートでもなかったし、掴まえてもないよ。
あの人と私は何でもない。
何もない・・・。」



「そうなの？
じゃあ社長の片想いか。
すっっごい顔で加藤さんのことを見詰めてたし。」



あの日の青く光り輝く青さんのことを思い出し、私は木下さんにバレないように小さく泣いた。



でも・・・



「何泣いてるの？
給与計算なんてソフトを使えば簡単だから、このくらいの人数ならすぐに出来るから加藤さんでも大丈夫だよ、たぶん。
・・・・・・・・たぶんだからね？」



これから木下さんにまた怒られるのだと覚悟を決めながら、私に手を差し伸ばしてくれた木下さんが此処にいてくれることに少しだけ心が強くなったのを感じながら、木下さんに笑い返した。