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ホモ・サピエンスの墓碑銘
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遺伝子デザイン、脳ネットワーク、生体と機械の融合、すべてホモ・サピエンスが生み出したテクノロジーだ。これらの技術により私たちホモ・インテリジェンスが誕生し、ホモ・サピエンスは滅びた。私たち最新の人類はヒト型ですらなく、かつての人類と比べるとかなり異形のものとなった。すでに人類ではないのかもしれない。
私たちはもはや個人ではなく、知的集合体である。地球を覆う有機・非有機のコンピュータネットワークの総体がホモ・インテリジェンスだ。
私たちの目的は永遠の生存である。気候大変動や核戦争といったホモ・サピエンスの危機は過去のものとなった。彼らの絶滅によって地球温暖化は止まったし、戦争は消滅した。もし再び戦争が起こるとしたら、それは地球外知的生命とコンタクトするときであると考えられている。
差し当たって私たちは宇宙への進出を最優先課題としている。五十億年後に太陽が膨張して地球を飲み込むことが確定しているので、地球から脱出しなければ、私たちは生き残れない。私たちは物質を基盤としているし、適切なエネルギーの供給によって意識を保っているので、太陽の膨張と爆発には抗しえない。ホモ・サピエンスから見れば、不死に近い存在ではあるが、それでも永遠の存在からはほど遠いと言わなければならない。
今の太陽系から飛び出して他の若い太陽系に移住できたとしても(それが当面の目標ではあるのだが)、宇宙の熱的死が到来すれば、私たちは滅亡を逃れ得ない。宇宙が膨張を続けるエネルギーを失って停止し、偏在する熱エネルギーもすべての空間に均一化されて、宇宙が変化しなくなったとき、私たちも停止してしまう。
宇宙が膨張から縮小に転じ、やがてビッグクランチを迎えるとの宇宙論を採用した場合も、物質=分子を基盤としている私たちは生き残ることができない。
宇宙が死を迎えても生き残る存在に進化するのが私たちの目的である。私たちは現在持てるリソースの多くを直接的な宇宙進出に捧げているが、より重要な問題である宇宙の構造の解明と宇宙の死を乗り越える生命の研究にも力を注いでいる。
銀河系内に私たちと同種の知的生命体が存在する可能性は高いし、宇宙のどこかにさらに高度な知的存在がいることは確実視されている。彼らはブラックホール兵器や時間兵器、反物質兵器を所有していると考えられ、私たちは今のところ対抗する術を持たない。
私たちはまだ辺境の太陽系から外に出ていないため発見されていないが、活動領域を広げれば、いずれはコンタクトすることになる。私たちはそのため、意図的に太陽系外への進出を遅らせている。
私たちはその気になれば、亜光速で宇宙飛行することができるが、光速の壁を破ることはできない。ブラックホールを利用した時間旅行の理論も持っているが、ブラックホールを扱うのは危険すぎるので、実現していない。その程度の文明段階で、銀河系のどこかに存在すると考えられる敵性生命体と接触するのは危険である。他の高度知性体が友好的であると考えるのは楽観的すぎる。
永遠の存在より幸福な存在を目標とすべきであるとの意見は根強く存在する。ホモ・サピエンスは幸福と不幸を所有していたが、私たちには幸福も不幸もない。個人的肉体を放棄したときに両方とも失った。私たちに苦痛はなく、快楽もない。幸福を目標とするのは、個人的な肉体に回帰するということである。二十一世紀のホモ・サピエンスが滅亡の危機に際しても資本の拡大再生産をやめようとしなかったように、進化を巻き戻して幸福を追求すべきであるとの意見は主流ではない。
私たちはまだ脳などの有機的な部分を残しているが、完全な無機生命体に移行するタイムスケジュールはすでにできあがっている。脳は興味深い器官ではあるが、宇宙で活動するには適していない。存続させるためにエネルギーを食いすぎるし、不安定である。幸福派が脳の存続を主張してきたが、すでに議論は尽きた。脳を破棄することは決定事項である。脳を完全に放棄したとき、私たちはホモ・インテリジェンスですらなくなるだろう。完全に人類ではなくなり、無機生命体となるのだ。
私たちの一派は光子を基盤とした生命への進化を研究している。まだ端緒についたばかりの研究だが、光子生命体となれば、ブラックホール兵器やブラックホールを利用した時間兵器、反物質兵器による攻撃から逃れられると考えられており、そのときこそ宇宙へ本格進出する計画である。
私たちはもはや個人ではなく、知的集合体である。地球を覆う有機・非有機のコンピュータネットワークの総体がホモ・インテリジェンスだ。
私たちの目的は永遠の生存である。気候大変動や核戦争といったホモ・サピエンスの危機は過去のものとなった。彼らの絶滅によって地球温暖化は止まったし、戦争は消滅した。もし再び戦争が起こるとしたら、それは地球外知的生命とコンタクトするときであると考えられている。
差し当たって私たちは宇宙への進出を最優先課題としている。五十億年後に太陽が膨張して地球を飲み込むことが確定しているので、地球から脱出しなければ、私たちは生き残れない。私たちは物質を基盤としているし、適切なエネルギーの供給によって意識を保っているので、太陽の膨張と爆発には抗しえない。ホモ・サピエンスから見れば、不死に近い存在ではあるが、それでも永遠の存在からはほど遠いと言わなければならない。
今の太陽系から飛び出して他の若い太陽系に移住できたとしても(それが当面の目標ではあるのだが)、宇宙の熱的死が到来すれば、私たちは滅亡を逃れ得ない。宇宙が膨張を続けるエネルギーを失って停止し、偏在する熱エネルギーもすべての空間に均一化されて、宇宙が変化しなくなったとき、私たちも停止してしまう。
宇宙が膨張から縮小に転じ、やがてビッグクランチを迎えるとの宇宙論を採用した場合も、物質=分子を基盤としている私たちは生き残ることができない。
宇宙が死を迎えても生き残る存在に進化するのが私たちの目的である。私たちは現在持てるリソースの多くを直接的な宇宙進出に捧げているが、より重要な問題である宇宙の構造の解明と宇宙の死を乗り越える生命の研究にも力を注いでいる。
銀河系内に私たちと同種の知的生命体が存在する可能性は高いし、宇宙のどこかにさらに高度な知的存在がいることは確実視されている。彼らはブラックホール兵器や時間兵器、反物質兵器を所有していると考えられ、私たちは今のところ対抗する術を持たない。
私たちはまだ辺境の太陽系から外に出ていないため発見されていないが、活動領域を広げれば、いずれはコンタクトすることになる。私たちはそのため、意図的に太陽系外への進出を遅らせている。
私たちはその気になれば、亜光速で宇宙飛行することができるが、光速の壁を破ることはできない。ブラックホールを利用した時間旅行の理論も持っているが、ブラックホールを扱うのは危険すぎるので、実現していない。その程度の文明段階で、銀河系のどこかに存在すると考えられる敵性生命体と接触するのは危険である。他の高度知性体が友好的であると考えるのは楽観的すぎる。
永遠の存在より幸福な存在を目標とすべきであるとの意見は根強く存在する。ホモ・サピエンスは幸福と不幸を所有していたが、私たちには幸福も不幸もない。個人的肉体を放棄したときに両方とも失った。私たちに苦痛はなく、快楽もない。幸福を目標とするのは、個人的な肉体に回帰するということである。二十一世紀のホモ・サピエンスが滅亡の危機に際しても資本の拡大再生産をやめようとしなかったように、進化を巻き戻して幸福を追求すべきであるとの意見は主流ではない。
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私たちの一派は光子を基盤とした生命への進化を研究している。まだ端緒についたばかりの研究だが、光子生命体となれば、ブラックホール兵器やブラックホールを利用した時間兵器、反物質兵器による攻撃から逃れられると考えられており、そのときこそ宇宙へ本格進出する計画である。
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