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第3の性
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人類は中性と女性と男性の3つの性から成っている。
太郎は男性で、花子は女性だ。
ふたりは家が隣同士の幼馴染で、小学生時代、よく近くの公園や河原で遊んだものだった。
思春期である中学生時代は妙に意識してしまって縁遠くなったが、高校1年生のとき、太郎は花子への恋心を自覚し、思い切って告白した。
花子も太郎のことを愛しいと想っていた。ふたりはつきあうことになった。
「さて、中性の恋人をつくりたいよね」
「そうよね。3人揃ってこそのカップルだものね」
「誰か好きな中性はいる?」
「うーん。太郎くんほど好きな人はいないけれど、サチさんは好きかも」
「サチか。いいかも」
太郎と花子は早速サチを校舎裏へ呼び出した。
サチは、頭部にトサカがあるという中性特有の特徴を持っている。中性にアピールするためには、求愛のダンスを踊らなければならない。
太郎と花子はサチの前でダンスを踊った。一生懸命に腰を振り、手足を振り回した。
「花子さんのダンスは好きだけれど、太郎くんのダンスはあんまり……。花子さんが別の踊りが上手な男性を連れてきてくれたら、つきあってもいい」とサチは言った。
太郎はうなだれた。
「太郎くん以外の男性は考えられないわ」
「じゃあ、つきあえないね」
サチは去った。
「おれ、ダンスの練習をするよ」
「わたしも協力するわ」
太郎と花子はダンスの猛練習をした。しかし太郎に踊りのセンスはなく、なかなか上達しなかった。
ふたりはネオ、テテ、タキなどにも求愛のダンスを見せたが、やはり太郎のダンスが劣っているという理由で、つきあってはもらえなかった。
「花子、おれとは別れた方がいい。もっとダンスが上手な恋人を見つけてくれ」
「太郎くん、そんなことを言わないで。もっとがんばろうよ!」
「うん。わかった。ありがとう」
ふたりはさらに求愛ダンスの練習に励んだ。
高校2年生のとき、太郎と花子はムーンの前で踊った。
「太郎くんのダンスが大好き!」とムーンは言った。
「やった! おれたちとつきあってくれるかい?」
「花子さんのダンスが好きじゃない。上手すぎる。私は太郎くんの不器用な踊りが好き」
うまくいかないものだった。ムーンともつきあえなかった。
太郎と花子はくじけなかった。雨の日も風の日もダンスの練習をした。勉強がおろそかになったが、恋愛の方が大事だった。
高校3年生のとき、サチがふたりの前にやってきた。
「ねえ、ずいぶんと練習をしているみたいだね。もう1度、私にダンスを見せてくれない?」
太郎と花子は顔を見合わせた。そしてうなずき合い、渾身の力を出して、求愛のダンスを踊った。そのダンスは息がぴったりと合っていた。
サチのピンクのトサカが真っ赤になった。
「いまさらと怒られるかもしれないけれど、太郎くんと花子さんとつきあいたい……」
太郎と花子は微笑んだ。
「怒るものか。おれたちとつきあってくれ」
「わたしたち、恋人になりましょう」
こうして太郎と花子とサチはカップルになった。
サチは大学に現役で合格したが、あまり勉強をしてこなかった太郎と花子は浪人生活を送り、1年遅れてサチが通っている大学に揃って合格した。
サチは校門に立ち、笑顔でふたりを迎えた。サチを真ん中にして、太郎と花子は手をつなぎ、キャンパスへと足を踏み入れた。
太郎は男性で、花子は女性だ。
ふたりは家が隣同士の幼馴染で、小学生時代、よく近くの公園や河原で遊んだものだった。
思春期である中学生時代は妙に意識してしまって縁遠くなったが、高校1年生のとき、太郎は花子への恋心を自覚し、思い切って告白した。
花子も太郎のことを愛しいと想っていた。ふたりはつきあうことになった。
「さて、中性の恋人をつくりたいよね」
「そうよね。3人揃ってこそのカップルだものね」
「誰か好きな中性はいる?」
「うーん。太郎くんほど好きな人はいないけれど、サチさんは好きかも」
「サチか。いいかも」
太郎と花子は早速サチを校舎裏へ呼び出した。
サチは、頭部にトサカがあるという中性特有の特徴を持っている。中性にアピールするためには、求愛のダンスを踊らなければならない。
太郎と花子はサチの前でダンスを踊った。一生懸命に腰を振り、手足を振り回した。
「花子さんのダンスは好きだけれど、太郎くんのダンスはあんまり……。花子さんが別の踊りが上手な男性を連れてきてくれたら、つきあってもいい」とサチは言った。
太郎はうなだれた。
「太郎くん以外の男性は考えられないわ」
「じゃあ、つきあえないね」
サチは去った。
「おれ、ダンスの練習をするよ」
「わたしも協力するわ」
太郎と花子はダンスの猛練習をした。しかし太郎に踊りのセンスはなく、なかなか上達しなかった。
ふたりはネオ、テテ、タキなどにも求愛のダンスを見せたが、やはり太郎のダンスが劣っているという理由で、つきあってはもらえなかった。
「花子、おれとは別れた方がいい。もっとダンスが上手な恋人を見つけてくれ」
「太郎くん、そんなことを言わないで。もっとがんばろうよ!」
「うん。わかった。ありがとう」
ふたりはさらに求愛ダンスの練習に励んだ。
高校2年生のとき、太郎と花子はムーンの前で踊った。
「太郎くんのダンスが大好き!」とムーンは言った。
「やった! おれたちとつきあってくれるかい?」
「花子さんのダンスが好きじゃない。上手すぎる。私は太郎くんの不器用な踊りが好き」
うまくいかないものだった。ムーンともつきあえなかった。
太郎と花子はくじけなかった。雨の日も風の日もダンスの練習をした。勉強がおろそかになったが、恋愛の方が大事だった。
高校3年生のとき、サチがふたりの前にやってきた。
「ねえ、ずいぶんと練習をしているみたいだね。もう1度、私にダンスを見せてくれない?」
太郎と花子は顔を見合わせた。そしてうなずき合い、渾身の力を出して、求愛のダンスを踊った。そのダンスは息がぴったりと合っていた。
サチのピンクのトサカが真っ赤になった。
「いまさらと怒られるかもしれないけれど、太郎くんと花子さんとつきあいたい……」
太郎と花子は微笑んだ。
「怒るものか。おれたちとつきあってくれ」
「わたしたち、恋人になりましょう」
こうして太郎と花子とサチはカップルになった。
サチは大学に現役で合格したが、あまり勉強をしてこなかった太郎と花子は浪人生活を送り、1年遅れてサチが通っている大学に揃って合格した。
サチは校門に立ち、笑顔でふたりを迎えた。サチを真ん中にして、太郎と花子は手をつなぎ、キャンパスへと足を踏み入れた。
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