上 下
88 / 109

88話 VS騎士団PT③

しおりを挟む
 コウガPTと騎士団PT、共に残り2人ずつになった。
 メイランが放ったエクスプロージョンノヴァのお陰で、騎士団1と言われたオルガーを仕留める事が出来た。
 しかし、メイランはその魔法により魔力を大半消費してしまい、ゴリスターによって場外へ。

「……メイランのおかげで1人減らせたな」
「っすね、ゴリスターもかなりのダメージ入ってるっす、メイランのおかげで勝ち筋が見えそうっす」

 俺とソルトは共に頷き……

「アクセルブースト!」
「瞬歩!」

 2人同時に加速スキルを発動、行き先はゴリスターだ。
 身体を見るにゴリスターは既にボロボロだ、今の内に速攻をかけて仕留める!

「……っ!まずい!フレイムアクセル!」

 ノシュタールも、コウガ達の向かう先がゴリスターなのに気付き、剣を地面から抜いて急いで援護に向かう。
 しかし、ノシュタールは脚が早い訳ではなく攻防に優れたステータスなので、加速スキルを持ってしても狼のコウガ達には追い付けない。

「シェミィ装纏!」

 コウガは四足歩行へ切り替え、シェミィ装纏させる。

「はぁぁぁぁぁ!」

 コウガより先に瞬歩でゴリスターに辿り着いたソルトは、側蹴でゴリスターの腹部を狙う。

「ぐぬっ!?」

 ゴリスターも腕をクロスにしてガードするが、瞬歩の加速が乗った側蹴により身体をよろめかせてしまう、エクスプロージョンノヴァによる身体的ダメージが大きく、耐え切れなかったようだ。

「てぃ!せいやっ!はぁぁぁぁ!!」
「ぐぼぁっ!!」

 よろけたゴリスターに3連撃を加えて、身体がくの字になる。
 そこへ最後に両手を地面につけ、両脚をゴリスターの腹部に蹴り上げ、ゴリスターを上空へ打ち上げる。

「ご主人!」
「ナイスソルト!」

 シェミィ装纏させてしっかり魔力を圧縮していき、身体に纏わせた魔力を身体にフィットさせる。
 これは、カエデの使うシェミィとの協力奥義……2人共、俺に力を貸してくれ!!

「装纏猫、疾風弾!!!」
「ぬおぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 カエデの奥義を、上空に浮いたゴリスターに喰らわせる。
 ゴリスターはダメージ上限により、場外へと弾き出された。

「はぁぁぁぁ!」
「……っす!」

 背後から迫っていたノシュタールにソルトが気付き、篭手で剣を受け止める。

「騎士団は定期的にこの武闘会に出ているけど、最後の一人になった事なんて……今までなかったね」
「そうっすか、自分達が初めてなんて光栄っすね」
「……少し、本気を出そうか」
「!?」

 ノシュタールの雰囲気が変わっていき、剣に炎が宿っていく。

「ソルト!下がれ!」
「っす!」

 ソルトはバックステップで俺の所まで下がる。

「ゴリスターもオルガーも完全な本気では無かった、でも倒されたのは事実……ここからは全てを解禁しようか!覇道、滅炎斬!!」

 炎を宿した剣……それが振られると身長より高い炎の塊がこちらに伸びてくる。

「避けろソルト!」
「うわぁ!」

 お互いに左右へ回避……しかし、ソルト側の方にもう1度技が放たれていた。

「うわぁぁぁぁぁ!」
「ソルト!!」

 ソルトに攻撃が命中、ダメージ上限によりステージ外へ弾き出される。

「くっ……何としても近付かないと……!」

 アクセルブーストを使ったままこれを避け続けるのは難しい、なので素の速度でノシュタールに迫る、その間にも炎の塊は放たれているが避け続ける。
 走っている間にナイフに風魔力を纏わせていく、もう魔力も少なくなってきているので気を付けないといけない。

「風刃!!」

 放たれた炎の塊が通り過ぎた瞬間を狙い、風刃を放つ。

「!」

 ノシュタールは剣を振りかざしかけていたが中断してガードをする。

「今だ!アクセルブースト!」

 その隙を狙いアクセルブーストで間を詰める。

「はぁぁぁ!」
「はっ!!」

 ナイフと剣が合わさると、互いに攻防しながらも刃を打ち付けあう。

「くっ……」
「ナイフ捌きがまだまだ甘いね」

 攻防してはいるが、やはりノシュタールには剣術で敵わない。

「ここだ!」
「ぐっ!?」

 防ぎ切れない攻撃が俺の身体を装纏ごと傷付けていく、炎を使われている以上アイスウォールなぞ役にも立たない。
 斬られた所が焼けるように熱い、ステータスを見る余裕はないが……恐らく状態異常のやけどが付いているかもしれない。
 こういう敵と戦う為に、今度ティナがやっていた土の盾的な物のやり方を聞いておいた方がいいかもしれないな……
 俺はなるべくナイフに魔力を溜めて、剣が当たる瞬間に弾けさせる。
 ノシュタール相手にはあまり聞かないが、一瞬離れる隙が生まれればそれでいい。

「ウォーターボール!」

 離れた瞬間、ノシュタールの剣に向けてウォーターボールを繰り出す。
 ウォーターボールが炎を纏わせる剣に当たる……が。

 ジュッ

 炎を消すところか水が蒸発してしまい、炎は消えずに水蒸気が少し発生するだけに終わってしまう。
 ノシュタールは剣を地面に突き刺した。

「その程度の水では消せはしないよ、この通り地面ですら消せないのさ!フレイムアクセル!」

 ノシュタールは瞬間に開けた間を一瞬で詰めてくる。

「くそっ!」

 俺はアクセルブーストで間を詰められないように移動していく。

「ちょこまかと!」

 速度ではこちらが上だが、剣を避ける為に確認して避けながら動いているので、間が一向に開かない。

「……!そろそろ終わりにしよう!」
「!?」

 ノシュタールの剣が赤く光り出す、すると移動先の地面が急に赤く光出して魔法陣が浮かび出す。
 そこは、先程ノシュタールが地面に剣を突き刺した所だった。

「炎陣!!」
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 魔法陣より火柱が立ち上がる、俺はそれに飲み込まれ……身体中が燃えていく。
 あれは、恐らく設置型……相手が踏み入れた瞬間に発動させるタイプだろう……
 気付いた時にはステージの外へ弾き出されて倒れていた、要するに……負けてしまったのだ。

「……」

 天を見上げながらぼーっとしてしまう、俺達の武闘会は終わったのだと……
 サンビークで勧められた力試し……
 結果は、個人戦準決勝敗退の3位と、団体戦は準々決勝のベスト8となった。
 ステージ外には救護班が既に居たが、ミツキも既に近くにまで来ていた。

「お疲れ様です、コウガさん」
「ミツキか……すまんな、負けてしまった」
「いえ、騎士団相手にここまでやれたコウガ達は凄いですよ」
「……そうだといいけどな」
「取り敢えず魔力ポーションです、飲んでください」
「ありがとう」

 魔力ポーションをがぶ飲みする、正直そろそろ変身解けそうだったんだよ。
 飲んでいると、ノシュタールがこちらへやってくる。

「お見事だったよ、コウガ君」
「……いや、まだまだですよ……本気出した瞬間敵わなくなりましたから……」
「逆だよコウガ君、私に本気を出させたと評価するべきだよ」
「……」

 と、言うことは……そもそもは相手にならないと言われているような物だ、本気を出させたとはいえ……中々に複雑である。

「……嫌味ですね」
「事実なのだから、それは仕方ないのではないのかい?」
「……ごもっともで」
「ふふ、では後で集まる場所を話しましょうか、ではまた後で」

 ノシュタールが入場口より退場していく。

「では、俺達も戻りましょうか、みんな医務室に居ますよ」
「……だな、肩貸してくれるか?」
「お易い御用です」

 ミツキの肩を借りて、医務室へと歩いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

とある警察官の異世界への転移

狼猫 警斗
BL
警察官の狼猫 警斗(おおかみねこ けいと)が警察署と共に異世界へ転移させられる話。 その異世界は獣人の住む世界だった。 異世界には魔法があり、魔物もいるし奴隷もいる。 果たして世界はどう変わるのか? ※この話はフィクションです。

転生石に願って眠る夜はどっかの世界で僕は彼と愛しあう(転生石3)新章完結

ペッパーミントコーヒー
BL
++ 新章、リツが異世界で生活を始める所を書きたしました。 魔術師を助けたお礼に「転生石」と呼ばれる、おもちゃを貰った「僕」 眠る前に願い事を語りかけ、息を吹きかけて寝るとどこかの世界で受けた願いを叶える石。 僕は、初めて石を使った時に濃厚なキスをした、あの、誰かの息子が忘れられなかった。 パーティでミルクサーバー扱いされて目も見えなかった僕は、相手の顔も、名前も知らない。 同じ石を持っていると知った友達の緑に相談した僕は、一つのカケに出た。 あの、最初に降りた(憑依した)エリス族のオスに降りてみると。 だが、石は不実を許さない。 他の男とミナレスというセックスをしたら、同じ男としかセックス出来なくなる。 最初の男と違う男とセックスすると、現実の身体は石となる。 しかも、エリスのオスは、異世界最弱の生物。 男達にはレイプされ、時にペットのような性奴隷にされ、メスには子作りに搾り取られ、獣人達にその精液は珍味とされる。 あのエリスが今どう言う状況かもわからない。 2度とあの人と会えなくなるかもしれないと思いながら、僕は石に願ってあのエリスに降りてみた。 あの、名も知らぬ息子を求めて翻弄される、僕の、そして僕が降りるエリス族のオス、キキとの友情と波乱の物語。 あなたに会いたい、あなたとミナレスしたい。 あなたの声が聞きたい。 そんな僕の純愛っぽい物語。

[完結]尾を切る理由

夏伐
ファンタジー
魔王が倒され勇者が支配する世界。 獣人族に伝わるお祭りの儀式には一つの秘密があった。 カクヨムさまとノベルアップさまにも投稿しております。

【完】泡姫ミナミくんの初恋 ~獣人店長さんと異世界人のソープ嬢(♂)

伊藤クロエ
BL
「男に挿れられたい」という願望を隠し続けたまま死んで異世界転生してしまい、どうせなら今世ではとことん自分に正直に生きようと思って男に抱かれるために手っ取り早く歓楽街のソープランドの泡姫♂の面接を受けに行ってしまった少々うっかり者の元キャバクラのボーイの南くんと、ソープ♂店のノンケ雇われ虎獣人店長の呉凱(ウーカイ)のお話。 顔は怖いけど面倒見のいい兄貴肌の虎の獣人店長さんが、素朴な性格の割りに無自覚ビッチなニンゲン・ミナミくんを一人前の泡姫にきっちり躾けようとするうちに色々あって最後はラブラブハピエンになります。 ■主人公(受)が店長(攻)以外のお客を取るシーンがあります(本番アリですが詳細な描写は出て来ません) ■最終的には獣人店長×人間泡姫くんの愛あるハッピーエンドになります。

虎は首輪を嵌められ発情に狂う

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

幸せにするので俺の○○になってください!

田舎
BL
異世界転生で盗賊団の頭になっちゃった主人公(攻)が 自分の部下に捕まった猫科の獣人君に一目惚れ! 無傷で彼を助けるため(もとい嫁にしたくて)奴隷にしてしまった…!? 一目惚れ執着攻め×強気受け(猫科獣人※ほぼヒト) 基本攻め目線です。 ※無理矢理(複数×受け含む)の性交有り。 受けが攻めに一目惚れされてから不憫に拍車がかかりますが愛はあります。(一方的な)

金貨三枚で買った性奴隷が俺を溺愛している ~平凡冒険者の迷宮スローライフ~

結城絡繰
ファンタジー
平凡な冒険者である俺は、手頃に抱きたい女が欲しいので獣人奴隷を買った。 ただ性欲が解消できればよかったのに、俺はその奴隷に溺愛されてしまう。 爛れた日々を送りながら俺達は迷宮に潜る。 二人で協力できるようになったことで、冒険者としての稼ぎは抜群に良くなった。 その金で贅沢をしつつ、やはり俺達は愛し合う。 大きな冒険はせず、楽な仕事と美味い酒と食事を満喫する。 主従ではなく恋人関係に近い俺達は毎日を楽しむ。 これは何の取り柄もない俺が、奴隷との出会いをきっかけに幸せを掴み取る物語である。

無職になった元騎士の適性は『教育者』〜奴隷を教育して男爵領を改革〜

馬渡黒秋
ファンタジー
【あらすじ】 長き時を戦い続けたセグナクト王国は、ナスリク帝国を打ち破ったことで、大陸の覇者となる悲願を達成した。 セグナクト王国の大陸統一により、世は戦乱の時代から平和な時代へと切り替わり、平凡な騎士であったルシアンは、十年勤め上げた騎士の任を解かれることとなった。 しかしそれは戦闘系の適性を持たなかったルシアンにとっては、ようやく訪れた人生の始まりの合図だった。 ルシアンは恩人であるエドワード——セグナクト王国ミーリス男爵家当主、エドワード・ミーリスの言葉に従い、世界を知り、知識を蓄えるために騎士になったのだった。 世界を知り『賢人』と呼べるほどに賢くなったルシアンは騎士時代に、数多の奴隷の姿を見て考えていたことがある。 『たった金貨数枚で売られているこの者達が、まともな教育を受けて、知性と教養を手にしたのならば、一体いくら稼ぐ人間になるのだろうか』と。 ——無職になった元騎士の本当の人生が、今始まる。      これは適性が『教育者』の元騎士が、奴隷を教育して男爵領を改革するお話。その過程で人生の真理に触れていきます。尚、自分が育てた奴隷にぐちゃぐちゃに愛される模様。 ※三人称視点です。いずれもふもふが出てきます。基本的にはラブコメ調ですが、伏線がそれなりにあるのでミステリっぽい要素があります。章末ではカタルシスを感じてくれると嬉しいです。  

処理中です...