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47話 旅の中の初めての友達
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山脈の大石窟のノイシュ側出口で野宿する事になった俺達。
宿が無いものの、ノイシュ側にも兵士の駐屯地があって交代制で管理しているようだ。
近くで野営する事を伝えると快く了解してもらえた、更には困った事があればいつでも声を掛けてくれと言って貰えたので有難い。
4人入れる大きいテントを張り終わった所で、カリナさんに声を掛けられる。
「コウガさん、お1つ聞きたい事が」
「はい、何でしょう?」
「ノイシュに行く予定だったとお聞きしましたが、もしかして武闘会にご出場なさるのですか?」
「はい、その予定です」
「そうでしたか!実は私達、団体戦で出場受付したので、もしかしてと思いまして」
「そうだったんですか!組み合わせ次第では、敵として当たるかもしれませんね」
「ふふ、助けて貰った恩はありますが、手加減はしませんよ?」
カリナさんはウィンクしてこちらを見た、可愛らしい奥さんだな。
カリオンさんが惚れるのもわかる気がする。
「望むところです!」
カリナさんと握手を交わし、恩があるとか関係なく正々堂々戦うことを約束した。
しかし、カリナさん達が団体戦に出場してくるのか、これはなかなか厄介だ。
ダンジョン内で各個人の強さや連携を見ていたが、見事な物だった。
カリオンさんのタンク性能、恐らくジルさんに近い物を感じた、そしてその硬いタンクの後ろでサリーナさんの魔法による蹂躙……なかなかな威力をしていた、ミラさんには及ばないものの危険である事には変わらない。
ダンジョン内で見たサリーナさんの魔法は属性的に2種類、水魔法と火魔法だ、これはしっかり対策せねば……まだ見せていない魔法もあるかもしれないしな。
そしてカリナさん、彼女の支援魔法も多彩だ。
攻撃力を上げるシャープネス、守備力を上げるプロテクター、素早さを上げるブースト、知力を上げるインジェネーションと、基礎ステータスを上げる魔法を網羅しており、更にはエリアサークルという範囲回復まである。
かなりレベルの高いヒーラーなのだろう、俺もこういう支援魔法を覚えた方が良さそうだな……
「ところで、夕飯はどうするかお決まりですか?良ければ助けていただいたお礼として、夕飯をご馳走しようかと思っているのですけど、いかかですか?」
カリナさんが後ろを見るような仕草をするので見てみると、カリオンさんがバーベキューのセッティングをしていた。
焚き火台のような物を2つあり、サリーナさんが火魔法で焚き火を起こしている。
俺はみんなの顔を見ると全員頷いたので、有難く夕飯をご馳走になる事にした。
カエデ、気持ちは分かるが涎を垂らすんじゃないよ……
そして待ちに待った夕飯、焚き火台を全員で囲みバーベキューの開始だ。
「カリナさん、俺達も肉や野菜を提供するので、皆さんで食べてください!」
俺はブラックモウの肉やワイルドボア肉、ピグ肉や野菜等を取り出し提供。
「あら!サンビーク特産のブラックモウ肉ですね!ありがとうございますコウガさん、少し頂きますね」
「是非どうぞ!」
計7人+1匹のバーベキューはワイワイと騒がしく楽しく時間が過ぎていった。
カエデとサリーナさんが意気投合したのか楽しそうに会話している、そこに乱入するメイランとソルト、4人は終始笑顔ではしゃいで楽しんでいた。
こういうの良いね、武闘会では敵になるが、それ以外ではこうして仲良くしていきたいものだ。
お腹が膨れてきたので少し皆とは離れ、倒木に腰を下ろして食休みをしていると、カリオンさんがこちらに来た。
「隣、いいかな?」
「はいどうぞ」
カリオンさんが隣に座る、少しの間無言でバーベキューを楽しむ皆を眺めていたが、カリオンさんがゆっくりと口を開いた。
「サリーナは、姉のカリナよりだいぶ歳が離れていてね、君達と似たような年齢だ。こうして年代の近い子と遊ぶ機会が少ないから、こういう機会が有難いんだ」
「そうなんですね」
「結婚して、冒険に出る時も私も付いて行く!と聞かなくてね。一緒に冒険に出たはいいが、同年代の友達がなかなか出来なくて……冒険者だから仕方ないと言えば仕方ないのだが……」
「ですね、冒険って事は街とかにも長居はしない、友達も作りにくいですよね」
ソルトやメイランは故郷に帰れたとしたら親しい仲の人も居るだろうが、カエデは故郷を失っている。
村と、ごくたまにトライデント王国にしか行ったことしかないカエデにとっては、メイランやソルトを除けば初めての友達になれるかもしれない存在かもしれない。
「なのでね、君達にお願いがあって……サリーナと友達になってもらえないか?仲良くしてやって欲しいんだ」
「それは、みんなも喜んで受け入れるとは思いますが……武闘会を終わった後、自分達は旅を続けなくちゃいけません、やらなきゃならない事があるので……その後はどうするんです?」
「少し考えがある、来てくれるか?」
「はい」
俺はカリオンさんに連れられて、4人がワイワイしている所に戻る。
サリーナさんがこちらに気付いたのか手を振ってきた。
「カリオン!見て見てこれ!みんなの好きな物の形を作ってみたよ!」
サリーナさんが興奮して作っていたのは、狼やドラゴンの翼、お肉のステーキ等、色々な物が魔法で形作られていた。
しかもその内1つ、狼が自立して動いていたのだ。
「これは……凄いですね」
「考えがあるとはこれだよ、コウガ君」
「どういう事です?」
「サリーナ、前に言っていた事と、その魔法の出来ることについて話してあげなさい」
「えっ!?カリオンいいの!?」
「あぁ、寂しい思いばかりさせてきたからな……サリーナのやりたいようにしなさい」
「うん!分かった!」
サリーナさんが立ち上がり、一息ついてこちらを見た。
「皆さん!良かったら……私と友達になってください!!」
「「「!!」」」
俺はカリオンさんから聞いていたので、素直に頷いた。
カエデ、メイラン、ソルトは、友達になって欲しいと言われると思っていなかったのか驚いていた。
しかし、カエデは直ぐに笑顔になりサリーナさんに抱きつきに行った。
「もちろんだよサリーナちゃん!」
「ええ、断る訳がないわ」
「そうっすね!これで旅を始めて初めての友達っす!」
「みんな……ありがとう!」
4人は手を繋ぎあって喜ぶ。
「でも、武闘会が終わったら私達はまた旅に出ると思うわ、何処かでまた出会えたら良いのだけれど……」
そう、俺もそこが気になっていた。
友達を作っても離れ離れになる、ほとんどの人は、また何処かで会えると信じてさよならするのが普通だが、それが嫌な人も少なからず居るだろう。
前世のようなスマホのような連絡手段は、この世界にはほとんどない。
強いて言うなら俺の持つ王国印くらいか?
「そうなの、それが嫌で友達を作る事を諦めてたんだけど……最近私が開発したこの魔法があれば連絡取り合えるの!」
「この魔法で??」
「そう!この魔法で鳥を作って、お手紙をつけて飛ばすの!魔力を覚えさせて、その魔力の元に届けてって命令すれば飛んでいってくれるの!」
ほう、それは凄いな。
前世でいう伝書鳩みたいなもんか!この世界だとかなり有用魔法な気がする。
サリーナが魔法を発動すると、魔法鳥が現れて周囲をクルクルと回りながら飛んでいる。
「じゃ、離れていても文通出来るから寂しくないって事!?」
「そうなの!カリオンとお姉ちゃんとで実験したから問題ないはず!」
「凄いね!いっぱい文通しよ!」
「うん!」
カエデとサリーナさんが手を取り合って喜んでいる、随分仲良くなったもんだ。
カエデにとっても初めての友達、よっぽど嬉しいのだろう。
「代表としてカエデ、この魔法陣の書いた紙に魔力込めてくれる?」
「魔力を注げばいいの?」
「うん、この魔法陣は魔力保存の効果があってね!この魔力を頼りにカエデの場所を探してもらうの!」
「なるほど!じゃ込めるね」
カエデが魔法陣に魔力を込めると、魔法陣がパァーっと光りだして消えていった。
「これで魔力保存完了!後、これをカエデに持っといて欲しいの、私の魔力を込めた魔法陣の紙ね。この魔法陣を発動して貰ったら、この魔法鳥が反応してそっちに向かうはずだから、それでお返事貰えたら嬉しいな」
「分かった!大事にするね!」
カエデが魔法陣の書いた紙を受け取る。
「改めてよろしくね、みんな!」
「「「「よろしく!」」」っす!」
バーベキューの火の番をしていたカリナさんも話は聞こえていたのか、涙袋に溜まった涙を拭いていた。
俺も皆にお願いしたい事がある、ダンジョン内で変身を見られているからな、みんな集まっているし折角だから話してしまおう。
「折角だからそのままみんな聞いて欲しい、俺もカリオンさんやカリナさん、サリーナさんにお願いがあるんです」
みんなの視線が俺に集まる、カリオンさんがこちらに来て頷く。
「コウガ君の頼みならいくらでも聞こう」
「ありがとうございます、ダンジョン内で見た俺のドラゴン族形態の事でお話が……」
「あぁ、助けて貰った時のあれだね。見たことも無い事象だったから、聞くのは不味いかと思って聞かなかったんだ。きっと特別な物なのだろう?」
「はい、緊急事態だったので仕方なく行使しましたが、普段は隠して旅をしているんです。出来れば誰にも話さず隠しといてもらえると助かります……」
カリオンさんはカリナさんとサリーナさんの顔を見て3人は頷いた。
「もちろんだ、コウガ君達は僕達3人の命の恩人だからな。隠し通すなら喜んで協力しよう」
「そうだよお兄さん!心配しなくても大丈夫!ね?お姉ちゃん!」
「えぇ、約束するわ」
「皆さん、ありがとうございます!」
こうして話し合いが終わった後、片付けを手伝った後に野営の火の番のローテーションを決めてから就寝した。
近くで駐屯地の兵士も居るので、何かあれば頼れるのも有難い。
ローテーションで火の番をして一夜を過ごす。
魔物が現れることなく時間も過ぎ、全員体調万全で朝を迎えたのだった。
宿が無いものの、ノイシュ側にも兵士の駐屯地があって交代制で管理しているようだ。
近くで野営する事を伝えると快く了解してもらえた、更には困った事があればいつでも声を掛けてくれと言って貰えたので有難い。
4人入れる大きいテントを張り終わった所で、カリナさんに声を掛けられる。
「コウガさん、お1つ聞きたい事が」
「はい、何でしょう?」
「ノイシュに行く予定だったとお聞きしましたが、もしかして武闘会にご出場なさるのですか?」
「はい、その予定です」
「そうでしたか!実は私達、団体戦で出場受付したので、もしかしてと思いまして」
「そうだったんですか!組み合わせ次第では、敵として当たるかもしれませんね」
「ふふ、助けて貰った恩はありますが、手加減はしませんよ?」
カリナさんはウィンクしてこちらを見た、可愛らしい奥さんだな。
カリオンさんが惚れるのもわかる気がする。
「望むところです!」
カリナさんと握手を交わし、恩があるとか関係なく正々堂々戦うことを約束した。
しかし、カリナさん達が団体戦に出場してくるのか、これはなかなか厄介だ。
ダンジョン内で各個人の強さや連携を見ていたが、見事な物だった。
カリオンさんのタンク性能、恐らくジルさんに近い物を感じた、そしてその硬いタンクの後ろでサリーナさんの魔法による蹂躙……なかなかな威力をしていた、ミラさんには及ばないものの危険である事には変わらない。
ダンジョン内で見たサリーナさんの魔法は属性的に2種類、水魔法と火魔法だ、これはしっかり対策せねば……まだ見せていない魔法もあるかもしれないしな。
そしてカリナさん、彼女の支援魔法も多彩だ。
攻撃力を上げるシャープネス、守備力を上げるプロテクター、素早さを上げるブースト、知力を上げるインジェネーションと、基礎ステータスを上げる魔法を網羅しており、更にはエリアサークルという範囲回復まである。
かなりレベルの高いヒーラーなのだろう、俺もこういう支援魔法を覚えた方が良さそうだな……
「ところで、夕飯はどうするかお決まりですか?良ければ助けていただいたお礼として、夕飯をご馳走しようかと思っているのですけど、いかかですか?」
カリナさんが後ろを見るような仕草をするので見てみると、カリオンさんがバーベキューのセッティングをしていた。
焚き火台のような物を2つあり、サリーナさんが火魔法で焚き火を起こしている。
俺はみんなの顔を見ると全員頷いたので、有難く夕飯をご馳走になる事にした。
カエデ、気持ちは分かるが涎を垂らすんじゃないよ……
そして待ちに待った夕飯、焚き火台を全員で囲みバーベキューの開始だ。
「カリナさん、俺達も肉や野菜を提供するので、皆さんで食べてください!」
俺はブラックモウの肉やワイルドボア肉、ピグ肉や野菜等を取り出し提供。
「あら!サンビーク特産のブラックモウ肉ですね!ありがとうございますコウガさん、少し頂きますね」
「是非どうぞ!」
計7人+1匹のバーベキューはワイワイと騒がしく楽しく時間が過ぎていった。
カエデとサリーナさんが意気投合したのか楽しそうに会話している、そこに乱入するメイランとソルト、4人は終始笑顔ではしゃいで楽しんでいた。
こういうの良いね、武闘会では敵になるが、それ以外ではこうして仲良くしていきたいものだ。
お腹が膨れてきたので少し皆とは離れ、倒木に腰を下ろして食休みをしていると、カリオンさんがこちらに来た。
「隣、いいかな?」
「はいどうぞ」
カリオンさんが隣に座る、少しの間無言でバーベキューを楽しむ皆を眺めていたが、カリオンさんがゆっくりと口を開いた。
「サリーナは、姉のカリナよりだいぶ歳が離れていてね、君達と似たような年齢だ。こうして年代の近い子と遊ぶ機会が少ないから、こういう機会が有難いんだ」
「そうなんですね」
「結婚して、冒険に出る時も私も付いて行く!と聞かなくてね。一緒に冒険に出たはいいが、同年代の友達がなかなか出来なくて……冒険者だから仕方ないと言えば仕方ないのだが……」
「ですね、冒険って事は街とかにも長居はしない、友達も作りにくいですよね」
ソルトやメイランは故郷に帰れたとしたら親しい仲の人も居るだろうが、カエデは故郷を失っている。
村と、ごくたまにトライデント王国にしか行ったことしかないカエデにとっては、メイランやソルトを除けば初めての友達になれるかもしれない存在かもしれない。
「なのでね、君達にお願いがあって……サリーナと友達になってもらえないか?仲良くしてやって欲しいんだ」
「それは、みんなも喜んで受け入れるとは思いますが……武闘会を終わった後、自分達は旅を続けなくちゃいけません、やらなきゃならない事があるので……その後はどうするんです?」
「少し考えがある、来てくれるか?」
「はい」
俺はカリオンさんに連れられて、4人がワイワイしている所に戻る。
サリーナさんがこちらに気付いたのか手を振ってきた。
「カリオン!見て見てこれ!みんなの好きな物の形を作ってみたよ!」
サリーナさんが興奮して作っていたのは、狼やドラゴンの翼、お肉のステーキ等、色々な物が魔法で形作られていた。
しかもその内1つ、狼が自立して動いていたのだ。
「これは……凄いですね」
「考えがあるとはこれだよ、コウガ君」
「どういう事です?」
「サリーナ、前に言っていた事と、その魔法の出来ることについて話してあげなさい」
「えっ!?カリオンいいの!?」
「あぁ、寂しい思いばかりさせてきたからな……サリーナのやりたいようにしなさい」
「うん!分かった!」
サリーナさんが立ち上がり、一息ついてこちらを見た。
「皆さん!良かったら……私と友達になってください!!」
「「「!!」」」
俺はカリオンさんから聞いていたので、素直に頷いた。
カエデ、メイラン、ソルトは、友達になって欲しいと言われると思っていなかったのか驚いていた。
しかし、カエデは直ぐに笑顔になりサリーナさんに抱きつきに行った。
「もちろんだよサリーナちゃん!」
「ええ、断る訳がないわ」
「そうっすね!これで旅を始めて初めての友達っす!」
「みんな……ありがとう!」
4人は手を繋ぎあって喜ぶ。
「でも、武闘会が終わったら私達はまた旅に出ると思うわ、何処かでまた出会えたら良いのだけれど……」
そう、俺もそこが気になっていた。
友達を作っても離れ離れになる、ほとんどの人は、また何処かで会えると信じてさよならするのが普通だが、それが嫌な人も少なからず居るだろう。
前世のようなスマホのような連絡手段は、この世界にはほとんどない。
強いて言うなら俺の持つ王国印くらいか?
「そうなの、それが嫌で友達を作る事を諦めてたんだけど……最近私が開発したこの魔法があれば連絡取り合えるの!」
「この魔法で??」
「そう!この魔法で鳥を作って、お手紙をつけて飛ばすの!魔力を覚えさせて、その魔力の元に届けてって命令すれば飛んでいってくれるの!」
ほう、それは凄いな。
前世でいう伝書鳩みたいなもんか!この世界だとかなり有用魔法な気がする。
サリーナが魔法を発動すると、魔法鳥が現れて周囲をクルクルと回りながら飛んでいる。
「じゃ、離れていても文通出来るから寂しくないって事!?」
「そうなの!カリオンとお姉ちゃんとで実験したから問題ないはず!」
「凄いね!いっぱい文通しよ!」
「うん!」
カエデとサリーナさんが手を取り合って喜んでいる、随分仲良くなったもんだ。
カエデにとっても初めての友達、よっぽど嬉しいのだろう。
「代表としてカエデ、この魔法陣の書いた紙に魔力込めてくれる?」
「魔力を注げばいいの?」
「うん、この魔法陣は魔力保存の効果があってね!この魔力を頼りにカエデの場所を探してもらうの!」
「なるほど!じゃ込めるね」
カエデが魔法陣に魔力を込めると、魔法陣がパァーっと光りだして消えていった。
「これで魔力保存完了!後、これをカエデに持っといて欲しいの、私の魔力を込めた魔法陣の紙ね。この魔法陣を発動して貰ったら、この魔法鳥が反応してそっちに向かうはずだから、それでお返事貰えたら嬉しいな」
「分かった!大事にするね!」
カエデが魔法陣の書いた紙を受け取る。
「改めてよろしくね、みんな!」
「「「「よろしく!」」」っす!」
バーベキューの火の番をしていたカリナさんも話は聞こえていたのか、涙袋に溜まった涙を拭いていた。
俺も皆にお願いしたい事がある、ダンジョン内で変身を見られているからな、みんな集まっているし折角だから話してしまおう。
「折角だからそのままみんな聞いて欲しい、俺もカリオンさんやカリナさん、サリーナさんにお願いがあるんです」
みんなの視線が俺に集まる、カリオンさんがこちらに来て頷く。
「コウガ君の頼みならいくらでも聞こう」
「ありがとうございます、ダンジョン内で見た俺のドラゴン族形態の事でお話が……」
「あぁ、助けて貰った時のあれだね。見たことも無い事象だったから、聞くのは不味いかと思って聞かなかったんだ。きっと特別な物なのだろう?」
「はい、緊急事態だったので仕方なく行使しましたが、普段は隠して旅をしているんです。出来れば誰にも話さず隠しといてもらえると助かります……」
カリオンさんはカリナさんとサリーナさんの顔を見て3人は頷いた。
「もちろんだ、コウガ君達は僕達3人の命の恩人だからな。隠し通すなら喜んで協力しよう」
「そうだよお兄さん!心配しなくても大丈夫!ね?お姉ちゃん!」
「えぇ、約束するわ」
「皆さん、ありがとうございます!」
こうして話し合いが終わった後、片付けを手伝った後に野営の火の番のローテーションを決めてから就寝した。
近くで駐屯地の兵士も居るので、何かあれば頼れるのも有難い。
ローテーションで火の番をして一夜を過ごす。
魔物が現れることなく時間も過ぎ、全員体調万全で朝を迎えたのだった。
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