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25話 サンビークに到着

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 トーラン村から森を抜けるまでトラブルもなく進んだ。
 道中にメイランの実力を見る為、ウルフやゴブリンと戦ってもらって実力確認をする、途中でオークと初遭遇したがメイランが問題なく討伐。
 後に連携練習も兼ねてカエデとメイランのタッグや俺とメイランのタッグも試した。
 メイランは自分の翼で飛び上がり持ち前のパワーを振るう戦い方だ、狼人族変化した俺とカエデはスピードタイプなので、メイランの加入でバランスが良くなったと思う。

 一応メイランのステータスも確認しておこう

 レベル8 ドラゴン族
 スキル
 ブレス(ドラゴン族固有スキル)
 火魔法 ファイアーボール(初級)、バーンストライク(中級)

 STR D
 VIT D
 INT D
 DEX F
 AGI E

 ドラゴン族なだけあって攻防ステータスが高い。
 スピードは低めだが、飛んだ際はなかなかなスピードになる為、気にするほどでもないだろう。
 てか俺達よりレベルが高かったのには少し驚いた……ちなみに森を抜けるまでの際にカエデはLv7、俺はLv5になっていた。

 森を抜けると平原が広がっていた、正面と南方面を見ると、平原に小さな村や農場などが点在しているのが見える。
 やや北方向にサンビークが遠目に見えて、その更に北にはトライデント王国の北からずっと東に続く山脈が小さく見えた。

「あれがサンビークですか」
「はい、トライデント王国程大きくはないですが、かなり農業や畜産が栄えた街です。街外れにも村や農場が多くあり平原には魔物も少ない、比較的豊かな街と言えましょう!」

 歩きながらではあるが、ガルムさんがサンビークに関して色々情報を教えてくれる。
 牧場や畜産農場に行けばモウ……前世で言う牛だな、その乳搾りを体験出来るという。

「なるほど、農業や畜産が盛んなら食い物に期待出来そうですね!」
「えぇ、野菜の取りたてがすぐに市場に回るので新鮮ですよ、人が多くなりますが、朝に取れた野菜を買える朝市に行かれる事をオススメしますね」
「なるほど、情報ありがとうございます」

 俺とガルムさんとの会話を聞いていたのか、カエデとメイランは食事の話題で盛り上がっていた。

「メイランちゃん!サンビークに着いたら何食べたい?私ブラックモウのお肉食べたい!」
「あのお肉は柔らかくてジューシーで美味しいわよね、ブドゥから造るお酒と一緒に頂きたいわ」

 ちなみにメイランは17歳でカエデは16歳なのだが、この世界の成人は15歳らしく、お酒も15歳から飲めるらしい。
 ブドゥは前世でいうぶどうだ、ぶどうから造るお酒と言えば、恐らくワインだろう。
 歩きながら話していたので時間も掛からずサンビークに到着すると、何故か門番がビクビクしながらこちらに近付いてきた。

「み、身分証をお願いします……」

 何をビクビクしてるしているかと思えば視線がシェミィに向けられていた、テイムの証である首輪がある為大丈夫なのは分かってるだろうが……怖い物は怖い、仕方ないだろう。

「門番さん、この従魔は絶対襲わないので大丈夫ですよ」
「え、えぇ……テイムの証があるので理解はしてますが、初めて見たのでつい……申し訳ありません。身分証確認終わりました、荷台確認しても?」

 身分証を確認した門番が荷台確認の許可をガルムさんに取る。

「はいもちろんです、こちらの護衛として雇った冒険者コウガさん達のPTが盗賊を捕らえましたので、それも確認してもらえますか?」
「盗賊を捕らえたのですか!?わ、分かりました!隊長を呼んでくるのでお待ちを!」

 門番の1人が詰所に走っていき、5人の男がやってきて、隊長らしき風格の男がこちらに来た。
 かなり身長が高くてイケメンである。

「俺がサンビーク防衛隊隊長ゴルドだ。盗賊を確認させてもらっていいか?」
「はい、どうぞ」

 ガルムさんの許可をもらって、ゴルドさんが荷台に向かうと目を見開いて驚いていた。

「お、おお!?賞金首のヒューゴに森羅団じゃないか!?」
「はい、こちらのコウガさんPTが捕らえました」

 ゴルドさんが手に持っていた紙に何か書いた後に俺達へ近付いてきた。

「お前達が捕らえたんだな?良くやってくれた!こいつらの悪事には困ってたんだ、感謝するぞ!報酬もきっちり払うから、冒険者ギルドで待っててもらえるか?」
「分かりました、お願いします」
「おう、こいつらは俺達が引き取るぜ、これが証明書だ」

 さっき書いてたのは盗賊引渡しの証明書だったみたいだ。
 ゴルドさんが盗賊を引き連れて連行していったのを見送って、インカース奴隷商館サンビーク支店に向かった。

「コウガさん、護衛お疲れ様でした。依頼完了書類がこれで、こちらが報酬になります」

 依頼完了書類と報酬の銀貨80枚を受け取った。

「確かに受け取りました」
「そしてメイランの本契約も今やってしまいましょう、この書類に署名と、メイランの首輪に血を1滴お願いしますね」
「分かりました」

 書類に署名し、メイランの首輪に血を1滴垂らした。

「ではいきますよ、2人とも良いですね?」
「「はい!」」
「では」

〖契約〗コントラクト

 メイランの奴隷の首輪に模様がついた、これでメイランは正式な俺の奴隷になった。

「これで私はコウガ様の物になったのね」
「あぁ、よろしくなメイラン」
「えぇ。コウガ様とカエデ、よろしくお願いするわ」
「うん!よろしくねメイランちゃん!」

 メイランがシェミィに近付き頭を撫でる。

「シェミィも、よろしくね」
「にゃーん」

 シェミィが気持ちよさそうに撫でられていた、懐くの早いな。
 俺達は奴隷商館から出て冒険者ギルドへ向かう、場所は事前にガルムさんから聞いていたので迷わず行けた。
 ギルドは王国に比べて小さめだが、立派な作りで中もかなり綺麗だった。
 俺は受付に向かう。

「いらっしゃいませ」
「依頼完了処理お願いします」

 俺は依頼完了書類とギルドカードを受付嬢に手渡すと、すぐに確認してギルドカードが返却される。

「確認しました、これで依頼終了ですね。コウガさん宛に防衛隊のゴルド様から盗賊の件で話があるとこちらに連絡が来ております、執務室へご案内しますね」
「お願いします」

 俺達は執務室に案内されてソファーに座り待っていると、5分後にゴルドさんと1人の女性が部屋に入ってきた。

「悪い、待たせたか?」
「いえいえ、そんなに待ってないので大丈夫ですよ、そちらの方は……?」
「そうか、助かったぜ。こちらはギルドマスターのゼミラだ」
「ゼミラだ、よろしく頼む」

 手を差し出してきたので立ち上がり握手をする。
 身長が低めでクールな女性で、無口な秘書が似合いそうな印象を受けた。

「初めまして、コウガです。狼人族の方がカエデ、ドラゴン族の方がメイラン、後ろのストームキャットがカエデの従魔シェミィです」
「「よろしくお願いします」わ」
「コウガにカエデ、メイランにシェミィだな、まぁ座ってくれ」

 ゴルドさんとゼミラが対面のソファーに座る。

「ゴルドからも言われたと思うが、改めて私からも言わせてもらう、森羅団とヒューゴの捕獲感謝する!厳重な監視の元、余罪を全て明らかにしてから処刑される予定だ」
「やはり処刑なんですね」
「あぁ、知ってると思うが盗賊は大罪人で討伐対象だからな、生きて捕獲したからには全ての罪を吐き出させて、被害にあった人達の救済に動きたい」
「なるほど、俺達も被害にあった側ですが、これ以上の被害から食い止められてよかったです」
「被害にあった側とは?」

 俺はカエデとメイランが連れ去られて辱めを受けた事を話した。

「やはりそういう事もしていたか……お前達も辛い目にあったな」
「私達はご主人様が助けてくれましたから、大丈夫です!」
「……強いな、君達は」

 ゼミラさんが安堵の表情を浮かべた、同じ女性だから辛さが分かるのだろう、トラウマになってないと分かり安心したようだ。

「さて、話を戻そう。森羅団とヒューゴの捕獲報酬として金貨25枚用意する、現金でもいいし口座を持っているなら振込みも出来る、どうする?」

 口座を作る事も出来るのか、俺は空間魔法があるから現金を持ち歩いても問題ない、いつか必要になるなら口座作るのもありかもしれないが……まぁ今はいいだろう。

「なら現金でお願いします」
「分かった、今用意させよう」

 執務室にあるベルを鳴らすと、受付嬢が1人やってきて金貨25枚用意して持ってきてくれと頼んでいた、それ程時間掛からず受付嬢が戻ってきて金貨25枚を机に置かれる。

「報酬の金貨25枚だ、受け取ってくれ」
「ありがとうございます」

 俺は空間魔法で金貨を収納するとゼミラさんが食い付いてきた。

「それは空間魔法か?コウガは珍しい魔法を使うのだな」
「はい、珍しいといっても伝説級とかではないので、偉い方々の前でコソコソしたくもないですからね」
「なるほど、ただ悪用される可能性も考慮はしておけよ?」
「はい、心得ておきます」
「素直で結構、これで話は終了だ。これから先、もし困った事があればいつでも声掛けてくれ、力になろう」
「ありがとうございます!」

 ゼミラさんはクールで素っ気ないような雰囲気があったが、中身を見ればめちゃくちゃ良い人だった、もし困った事あれば頼る事にしよう。
 俺達は冒険者ギルドから出て奴隷商館に戻って、ガルムさんに金貨15枚を手渡した。
 奴隷商館から出た時にはもう夕方になっていた為、宿を探して街散策は明日する事にする。
 宿を取るも奴隷2人なのでやはり1部屋に通された、幸いなのはツインベッドな所か。

「また1部屋になった、やっぱり奴隷だと扱いがこうなるのか……」
「ご主人様、私達はずっと1部屋でもいいよ?」
「そうね、私もそれでいいわ」
「本当に?カエデは前からずっと一緒に寝てきたが、メイランはまだ知り合ってそんな長くないんだし……」
「私はコウガ様だから良いと言ってるのよ、なんなら身体も捧げてもいいわ」
「「ぶっ!!」」

 俺とカエデが盛大に吹き出してしまった、身体を捧げるって事は〇〇〇するって事だろ!?やばいって。

「いやいやいや、それは流石にもっと親しくなってから……っていやいやそれでも……」
「ふふふっ、コウガ様顔が真っ赤ですわよ?」
「メイランが爆弾発言するからだろ!!」
「ぶふっ!あはははは!メイランちゃん大胆過ぎて笑えてきちゃった!あはは!」

 カエデが出会った頃よりも年相応の喋り方や笑い方するようになってきたな、父と母が亡くなってしっかりしなきゃって思って背伸びしていたのかもな……

「全く……まぁ湯浴みの時は前と同じように頼む。カエデ、メイランにもちゃんと言っといてくれな」
「了解!」

 カエデがメイランに湯浴みの際のやることを話して説明してくれた。
 夕飯の時間になったので、宿の中にある食事処で食事し、湯浴みをして寝る事にした。
 湯浴みの際に前後から美女2人にゴシゴシされたのは最高に気持ちがよかったです、股間がピンチでしたが。
 逆にメイランの翼を拭かせてもらったが、結構すべすべしており若干ひんやりとしていた、尻尾がやはり気持ちがいいらしく、その辺は狼人族と感覚が似ているっぽいがそこまで敏感ではなく、心地がいいってレベルだとの事。
 そして恒例の俺とカエデの尻尾手入れになった、俺の櫛捌きでカエデがふにゃふにゃになる。

「カエデったら、いつもこんな風にふにゃふにゃになるの?」
「だって……んんっ、気持ちいいから……」
「ドラゴン族には分からない感覚ね、私の尻尾も気持ちいい感覚はあるけどそこまでならないわ」
「メイランちゃんも狼人族っんんっ……になれば分かるよ……」

 今日もキレイキレイにしてやった、満足だ!
 3人でベットをどう分けるか悩んでいたらメイランが……

「3人で寝たら不公平ないわよ?」

 って言って俺が真ん中で両方に可愛い美女2人が眠る体制になる、良い匂いがしてまたしてもピンチになるが気合いで眠ることにした。




 両腕が幸せご馳走様でした。
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