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-秘密-
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夜。
誰も居ないのを確認してその島に降りる。
衣類一覧からお気に入りの服を選んで着替える。
くるりと回るとふわりと広がるこの可愛い服が私は好きだ。
こっそり私にこれを勧めてくださったあの方には大変感謝しています。
「ん・・・ラ・・・ララーアー」
ここは水が豊富にあって声が良く通るのでお気に入りの島になった。
ひとしきり歌い、踊る。
「・・・ふぅ」
一息つくと水面がパチャパチャと揺れる。
「おねちゃーうたうまー」
「うまー」
「本当?ありがと」
水面に集まった十数体の水の精の子供が褒めてくれるのでお礼を言う。
「おわりー?」
「つぎもー」
「しょうがないな、もうちょっとだけね」
「やたー」
今日も子供達に囃し立てられてもう一曲歌うのだった。
私がこの趣味に目覚めたのは割と最近。
きっかけは自分の大失態だった。
しばらく恥ずかしくて立ち直れなかった。
でもそれが逆にいい方向に作用して私は一歩成長できた気がする。
そのおかげなのかな、あの時自分に起きた事と向き合えるようになった。
最初はやっぱり恥ずかしかった。
でもそれに快感を感じてる自分もいることに気がついた。
そこからは早かった。
秘密裏に情報を貰い、誰にも見つからないように自室でのみ楽しむ密かな趣味ができた。
ふふふ、日々の疲れなんてこれさえあればどうという事はない。
どうしよう、上司にばれた。
いや、ばれていた。
特に咎められることはなかったが恥ずかしい。
部下にばれでもしたら信頼が失墜してしまう。
悩んだ末、私は夜にこっそり外に出て趣味を楽しむ事にした。
最初は森の中で着替えてた。
でもダメだった、枝に服が引っかかってしまう。
次に草原で着替えてみた。
数日したらそこで怪しげな人影が浮かぶという噂話が出てしまった。
他にも色々なところを巡ったがなかなかいいところが見つからない。
そもそも人目が無くて所有者の居ない島というのが少ない。
そんな時出現したのがこの水の島。
どう扱うか会議になったが共有島になる事が決定。
その時私の心の中は大興奮だった。
あそこなら障害物も少ないし、声を出しても水の精と思われるだけ。趣味に興じる最高の場所だ。
それからというもの夜は水の島に来ては着替えるのが私の楽しみになった。
水の精の子供達とも仲良くなれたし、今私は凄く充実した毎日を過ごせている気がする。
「こら!たるんでるぞ!」
今日も鍛錬の監督をして新人を鍛える。
「今日も気合入ってるね」
「そうだね。ところであの噂は本当なのかな?」
「どうなんだろう。想像つかないけど」
「そこ!無駄口叩かない!」
「はーい」
部下の前じゃ厳しく。
鬼といわれようが構わない。
むしろその方がいい。
そうすれば噂は噂の域を出ない。
私は警備隊副隊長ルシエナ。
誰にも言えない秘密の趣味を持っている。
誰も居ないのを確認してその島に降りる。
衣類一覧からお気に入りの服を選んで着替える。
くるりと回るとふわりと広がるこの可愛い服が私は好きだ。
こっそり私にこれを勧めてくださったあの方には大変感謝しています。
「ん・・・ラ・・・ララーアー」
ここは水が豊富にあって声が良く通るのでお気に入りの島になった。
ひとしきり歌い、踊る。
「・・・ふぅ」
一息つくと水面がパチャパチャと揺れる。
「おねちゃーうたうまー」
「うまー」
「本当?ありがと」
水面に集まった十数体の水の精の子供が褒めてくれるのでお礼を言う。
「おわりー?」
「つぎもー」
「しょうがないな、もうちょっとだけね」
「やたー」
今日も子供達に囃し立てられてもう一曲歌うのだった。
私がこの趣味に目覚めたのは割と最近。
きっかけは自分の大失態だった。
しばらく恥ずかしくて立ち直れなかった。
でもそれが逆にいい方向に作用して私は一歩成長できた気がする。
そのおかげなのかな、あの時自分に起きた事と向き合えるようになった。
最初はやっぱり恥ずかしかった。
でもそれに快感を感じてる自分もいることに気がついた。
そこからは早かった。
秘密裏に情報を貰い、誰にも見つからないように自室でのみ楽しむ密かな趣味ができた。
ふふふ、日々の疲れなんてこれさえあればどうという事はない。
どうしよう、上司にばれた。
いや、ばれていた。
特に咎められることはなかったが恥ずかしい。
部下にばれでもしたら信頼が失墜してしまう。
悩んだ末、私は夜にこっそり外に出て趣味を楽しむ事にした。
最初は森の中で着替えてた。
でもダメだった、枝に服が引っかかってしまう。
次に草原で着替えてみた。
数日したらそこで怪しげな人影が浮かぶという噂話が出てしまった。
他にも色々なところを巡ったがなかなかいいところが見つからない。
そもそも人目が無くて所有者の居ない島というのが少ない。
そんな時出現したのがこの水の島。
どう扱うか会議になったが共有島になる事が決定。
その時私の心の中は大興奮だった。
あそこなら障害物も少ないし、声を出しても水の精と思われるだけ。趣味に興じる最高の場所だ。
それからというもの夜は水の島に来ては着替えるのが私の楽しみになった。
水の精の子供達とも仲良くなれたし、今私は凄く充実した毎日を過ごせている気がする。
「こら!たるんでるぞ!」
今日も鍛錬の監督をして新人を鍛える。
「今日も気合入ってるね」
「そうだね。ところであの噂は本当なのかな?」
「どうなんだろう。想像つかないけど」
「そこ!無駄口叩かない!」
「はーい」
部下の前じゃ厳しく。
鬼といわれようが構わない。
むしろその方がいい。
そうすれば噂は噂の域を出ない。
私は警備隊副隊長ルシエナ。
誰にも言えない秘密の趣味を持っている。
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