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ふりかけ作り

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久しぶりに下界の視野範囲に変化があった。

草原の街に滞在していた和人族のカップルが帰郷するようだ。

なんでも木剣のキーホルダーをオアシスの街から売りに来た行商人の前でばったり同郷同士で出会ってくっついたとか。

そんなことってあるんか!

ってサチの報告で叫んだのは先ほど。

ちなみに俺は何もしていない、しようがない。

でも結果木剣のおかげということで信者になってくれた。ありがたい。

二人は漁村で船が来るのを待った後、乗船。

そこから数日かけて対岸に向かうようだ。

俺はその様子を見ながら願い事の消化。

我ながら手馴れてきたものだ。

む、河の中腹ぐらいまで進んだところで船の上が慌しくなって武器を手にした人が一杯甲板の上に出てる。

「なんだ?」

「敵襲ですね。大量の魚影が向かっています」

え?魚が船襲うの?

そう思って見ていると魚が次々に船体に体当たりをしている。

最初は俺も馴染みのある大きさの魚が当たってたが、次第に人より大きな魚影が見えてくる。

下界の魚は隊列組むのか。油断ならないな。

しかし船上の人達も対応策があるようで、最初の小魚は無視し、船体を揺らす大きさの魚だけに狙いを定めて攻撃している。

魔法使いが詠唱終えて水面に雷撃が落ちると気絶した魚が一気に浮き上がってきて、ここぞとばかりに総攻撃している。

次第に魚の数が減ると船を諦めて魚影が去っていった。

戦闘が終わると船の人達は倒した魚を引き上げて仕分けした後、捌いて調理している。

うん、無駄にしない精神はいいな。

「うーむ、魚が船を襲うとは、なかなか激しい河だな」

「そうですか?自然な事だと思っていました」

自然な事。サチの言葉ではっとする。

確かに魚からすれば自分のテリトリー内に侵入するものがいれば攻撃するのは普通の事だ。

前の世界じゃ魚が群れで大きな船を襲うなんて事はなかったからな。常識の違いを感じる。

いや、こうやって少しずつこっちの世界の常識を学べばいいか。研鑽忘るべからずだ。

さて、和人も対岸の港に着くみたいだし、どう動くのかな?

「終わりですよー」

仕事の終わりの時間だった。しょうがない、明日の楽しみにしておこう。




今日はサチと二人でキッチンで料理。

料理と言っても俺もサチも今は調理器具を持っていない。

「そう、そんな感じで水分を飛ばすんだ」

「なかなか難しいですよこれ」

今は果物や野菜の水気を抜いてドライフードを作っている。

念が使えるようになったものの、結局サチには禁止されてしまったので俺自身は使わないが、一ついい事があった。

念で出来る事が大体だが分かるようになったのだ。

念を使うときの簡単な手順として、神力使用能力と接続、念で起こしたい事を想像、強く念じると発動という流れだ。

この二番目の起こしたい事象の想像の段階で何となくだがそれが可能か不可能かがわかるようになった。

おかげで俺はそれを利用してサチにやって欲しい念の行動を事細かに説明する事が可能になったというわけだ。

しかし、神と天使の差なのか俺とサチの差なのか、若干結果の食い違いが発生するので今はそれの調整をしているところ。

「ふぅ・・・」

「大丈夫か?」

「えぇ、なかなか集中力を使います」

やはり連続して念を使うと疲れるか。

「じゃあちょっと休憩してて。その間にやれる事をやってしまうから」

作ったドライフードを出来別に用途に分けておく。

作物との相性なのか性質なのかわからないが、ただ水分が抜けるものから、粉になってしまうものまで色々出来た。

これはこれで色々な用途に使えそうなので取っておく。

とりあえず細かくした野菜系のドライフードと塩を混ぜて基本ベースを作る。

そしてそれに追加で魚介系、肉類系、辛味系と分けてそれぞれ粗めの粉末を作る。

どれ、味見。

ふ、ふふふ。早くご飯にかけて食べたくなったぞ。

「ソウ、もう大丈夫です」

こっちの作業が一段落したところを見てサチが休憩の終わりを宣言してくる。

「うん、じゃあ続きをやろう」

「はい。がんばります」



夕飯時。

「これはなんですか?」

サチがさっき俺が作った粉末を指差して聞く。

「ふりかけだ。ご飯にかけて食べると美味いぞ。今日は他にも合いそうなものを用意したからそっちにかけてもいいぞ」

俺が実演してどの程度かければいいか見せる。

サチはそれを見て若干少なめにかけて手を合わせる。

「いただきます」

「いただきます」

ま、この後の展開はわかってたんだが、いくらなんでもご飯を三回もおかわりするのは食べすぎじゃないか?

「まらいけまふ」

そのぐらいにしときなさい。後で苦しくなるから。

これで少しは米の良さがわかってくれたかな?

他にもサラダや焼いた厚切り肉の実とかにも掛けると美味いぞ。

「ほまりまへん」

いや、止めなさい。

仕方ないのでサチの前からふりかけを取り上げることにした。もうほとんど残ってなかったが。

やれやれ、また追加で作らないとな。

今度は一回で使い切る量に分けてから出そう。そうしよう。
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