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癖の強い神々
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「相変わらず君は面白いね」
野次馬達から一通り声を掛けられて一息ついたところに聞いた声が聞こえてきた。
「そうか?」
声の方を向くと細目の神とお付きの三人の天使。
俺とサチが食えない神と称したご一行だ。
「ここまで色々な神に気に入られるのは割と珍しいことなんだよ」
「そうなのか」
気に入られてたのか。てっきりアルテミナと一緒に面白枠に入れられてるだけだと思ってたんだが。
「普通は君みたいに次から次へと挨拶は来ないものなんだよ。彼みたいに」
彼?
目線の先を追って横を向くと刀傷の神が立っていた。
「うおっ!?」
こんなん驚くっつの。
サチは少し後ろで顔を片手で覆ってうんざりしているお付きに挨拶してるな。三天使も集まって何か話してる。
「よう」
「お、おう。あのな、心臓に悪いから普通に来てくれ、頼むから」
余り表情が表に出ていないが満足そうな顔をしているので文句をぶつける。
「フフフ、君は彼を恐れないんだね」
「恐れる?なんで?そりゃこんな見た目で無愛想だが悪い奴じゃないだろ」
俺が刀傷の神を見て思った雰囲気をそのまま感想として伝えると、二人とも驚いたような表情をする。
何か俺変なこと言ったか?
「お前俺の事を知らないのか?普通皆ここで出会った者の素性を調べたりするんだぞ」
「え?そうなの?」
「うむ」
そうだったのか。名前を明かさないしそういうもんだと思ってた。
「じゃあ僕が恐れられてる理由を教えてあげるよ。彼は神も屠れる力を持っているんだよ」
「へー」
「へーってお前・・・」
刀傷の神が呆れたように俺を見る。
「いや、凄いとは思うけど別に怖いとは思わないな。無闇に使ってるなら神として存在できてないだろうし」
実際うちが無闇に使って破滅しそうになった例だからな。
「だってさ。よかったね、君を怖がらない神が一人増えたよ」
「そもそも増えないのはお前がいちいち他の連中に俺の力を吹聴したからだろ」
「いやーだって君無愛想だから僕が一肌脱いであげようと思って」
「余計なお世話だ。斬るぞ」
「まあまあ、二人とも。落ち着けって」
刀傷の神が腰に下げてる刀らしき武器を構えようとしたところで止めに入る。
なんで俺の周りにはこんな癖の強いやつばっかり集まるんだろうか。
「おい、主。ここで騒ぎを起こすなと何度言えばわかるんだ」
「神様、また他の神様を煽ったのですか?その悪い癖いい加減直して欲しいのですが」
お付きが気付いて来てくれたか。助かった。
二人はお付きにお叱りを受けた後去っていった。
「また会うのを楽しみにしてるよ」
「がんばれよ」
今度は別々に来て欲しい。モメるのは勘弁だ。
・・・助けて欲しい。
「ワンワンワンワン」
「ニャーニャーニャーニャー」
今俺は犬と猫に囲まれている。
事の発端は次々来る神の挨拶に若干疲れてしゃがんでた時のこと。
「お兄さん、癒しはいらんかえ?」
「兄貴、癒してやろうか?」
両サイドの腋の下からそれぞれ犬と猫が首を突っ込んできた。
この二匹、匹じゃ失礼だな、二神も以前会ったことがある。
「おぉ・・・これは至福・・・」
真っ白な猫神と真っ黒な犬神がそれぞれすりすりと俺に体を擦り付けてくる。
あーこのモフモフ感はいいな。疲れが飛んでいく。
「にゃふふ、今日こそお兄さんに猫派になってもらうぞな」
「兄貴にはやはり犬が似合う。犬派になるべきだ」
「いや、だから俺はどっちも同じぐらい好きだと前に言ったじゃないか」
前の会合でもやはりこのように犬派か猫派でもめて結局どっちも選ばなかったんだが、そもそもこれは選ぶ必要があるのかすら俺にはわからん。
「そんなことが」
「許されるとでも」
派閥争いはしているが、やはり二神というだけあってこういうところは息がぴったり合っている。
前回はサチがこの時止めてくれたんだが、そのサチはというと。
「はあぁぁ・・・柔らかぁ・・・」
既に二神が連れて来た精鋭の犬と猫にモフモフされている。
くっ、退路を断つとは、やるな。
しかし、どうしたものかな、どっちか決めないと引き下がってくれなさそうなんだが。
俺が悩みながら撫で回してたら二神の雰囲気が変わってきた。
「あぁ、あかんわ、お兄さんの手は癖になる」
「わかる、兄貴は良いところを撫でてくれる」
あ、そうなの?もっとやろうか?
「にゅあぁぁー・・・」
「わふぅぅぅ・・・」
気に入ってもらえてなによりだ。
ん?何か視線を感じるんだが。
気配の先を見ると先ほどまでサチにくっついてた犬と猫がこっちを凝視している。
「な、何かな?」
嫌な予感がする。
「姐さん!あちきらもやってもらいたいです!」
「ボス!ひとりだけズルイっすよ!」
それで今順番に皆を撫でてあげている。
なあ、俺が癒してもらう側じゃなかったっけ?
あー、一応色んな種類の犬猫を触れるという意味では俺も癒されてはいるけども。
「ボス!あの方凄いっすね!」
「そうだろそうだろ」
「姐さん!最高でした!」
「そうじゃろそうじゃろ」
何で二神がそんな自慢げにしてるんだ。
というかあんたらこれで三周目だろ。何回並び直してるんだ。
サチはというと犬猫の猛攻から解放されて今はパネルで俺の様子を映像に撮っている。何に使うんだろうか。
結局二神を五周回ぐらい撫でまわしたところでお開きになった。
あー腕が軽く腱鞘炎みたいになってる。
サチが二神にさっきの映像を見せながら何か言ってるな、なんだろ。
あ、こっち来た。
「あーお兄さんよ。先ほど犬の神と協議したんだが」
「兄貴には今後どっち派の問いはしない事になった」
お?そりゃ助かるがどういう風の吹き回しだ?
「それで・・その、代わりといっちゃなんだが・・・」
「次会った時も今回のように撫でてもらいたいのじゃ・・・」
二神がしおらしく俺に頼んできてる。後ろじゃ一緒に来た犬猫がずるい、横暴とか言ってるが気にしてないようだ。
「んーまぁそのぐらいならいいよ」
「本当かの!」
「さすが兄貴!話せる奴だ!」
俺も俺でそれなりに癒されてるからな。今回はちょっと多すぎてもう勘弁だけど。
「後ろの子達も厳選して一桁数ぐらいにしてくれれば一緒にやるぞ」
「本当?やったー!」
「イヤッホゥ!」
俺がそういうと二神の後ろの方で歓声が上がる。
「気を使ってもらってすまんの、では参るか犬の」
「あぁそうだな猫の。ではまたな、兄貴」
「うん、また」
去っていく二神とその連れの犬猫を見送りながらサチに聞く。
「なあ、さっき二神に何をしてたんだ?」
「これです」
映像を見せてくれると俺に撫でられて骨抜きにされている二神が映っている。
「うちの神様にこれ以上迫るようでしたらこれを他の神様達に見せびらかします、と」
「脅しじゃないか」
「そのぐらいでいいと判断しましたので」
確かにそのぐらいしないとあの二神は引かなさそうだな。
「良い判断だ。助かったよ」
「ありがとうございます。しかし、良かったのですか?あのような約束をしてしまって」
次からも撫でるという話か。
「いいんじゃないか?俺もあの二神とは仲良くしたいし。モフモフしたいし」
「良い判断だったと思います。助かります」
そういえばサチも骨抜きにされてたな。あれも映像に撮っておけばよかったな。惜しいことをした。
「あー・・・やっと帰れる」
「そうですね・・・」
俺もサチも大半の神々が帰った会場でぐったりしていた。
犬猫の二神の後も色んな神と挨拶を交わした。
人型の神は大体似た挨拶方法なのだが、それ以外の神になると挨拶の一つでも違ってくるから中々思考が追いつかなくて大変だった。
そういえば生理的に受け付けない奴って居なかったな。
日々の心構えのおかげだったら嬉しい。
「キ!」
お、案内鳥が迎えに来てくれた。
「キー・・・」
「あぁ、うん、大丈夫大丈夫。ちょっと疲れただけだから」
「キ!キェー!」
俺の様子を気にしてくれたが、大丈夫なのがわかったのが早々に転移してくれた。
「今日もありがとな。また頼むよ」
鳥は頭撫でられるの好きなのを思い出して人差し指で軽く案内鳥の頭を撫でてやる。
「キュインキュイン!」
喜んでる。可愛い。
「キ!」
満足したのか案内鳥はくるっとまわった後帰っていった。
「さて、俺らも家に帰ろうか」
「はい。そうしましょう」
サチがぎゅっとつかまって来る。
うーん、今日は余り接してなかったせいか凄く久しぶりに感じるな。
サチと触れ合っている事が日常になってたんだな。
夕飯後。いつものゆったり時間。
「ソウ、ちょっと手を見せてください」
「手?別にいいけど」
サチの前に手のひらを差し出す。
「・・・ふーむ・・・」
じっと俺の手を掴んで凝視する。
「どうしたんだ?」
「いえ、少し気になりまして」
ん?何がだ?
「ソウが握手した人や撫でた人は総じて好印象を持っているので、この手に何か不思議な力でも宿っているのではないかと」
え?そうなの?
いや、しかしそれならあの会合での状況も理解できる。
「思ったのですが、気のせいでした」
気のせいかよ。違うのかよ。
「特に変わった事はなしか」
「そうですね、神様としての力は感じますがそれは全身からですし、手から特別何かを感じるという事はないです」
よくよく考えれば触れてない人からも挨拶貰ったりしてたしな。
俺がぼんやり今日の事を思い出している間もサチは俺の手を指でなぞったり頬ずりしたりしている。
「あむっ」
「・・・なにをしてんだ?」
ついには咥えられた。
「あひもみへほほふはほ」
味も見ておこうかと?しないだろそんなもの。
別の指を咥えても違いは無いだろ。
直ぐに飽きて離すだろうと思ってたらその後もサチは舐めたり吸ったり甘噛みしたりして堪能している。
「なぁサチ、楽しいか?それ」
「んー・・・うん」
そ、そうか。それならしょうがないな、飽きるまで付き合ってやるか。
結局俺の両手の指先が真っ白にふやけるまで咥えられ続けてしまった。
野次馬達から一通り声を掛けられて一息ついたところに聞いた声が聞こえてきた。
「そうか?」
声の方を向くと細目の神とお付きの三人の天使。
俺とサチが食えない神と称したご一行だ。
「ここまで色々な神に気に入られるのは割と珍しいことなんだよ」
「そうなのか」
気に入られてたのか。てっきりアルテミナと一緒に面白枠に入れられてるだけだと思ってたんだが。
「普通は君みたいに次から次へと挨拶は来ないものなんだよ。彼みたいに」
彼?
目線の先を追って横を向くと刀傷の神が立っていた。
「うおっ!?」
こんなん驚くっつの。
サチは少し後ろで顔を片手で覆ってうんざりしているお付きに挨拶してるな。三天使も集まって何か話してる。
「よう」
「お、おう。あのな、心臓に悪いから普通に来てくれ、頼むから」
余り表情が表に出ていないが満足そうな顔をしているので文句をぶつける。
「フフフ、君は彼を恐れないんだね」
「恐れる?なんで?そりゃこんな見た目で無愛想だが悪い奴じゃないだろ」
俺が刀傷の神を見て思った雰囲気をそのまま感想として伝えると、二人とも驚いたような表情をする。
何か俺変なこと言ったか?
「お前俺の事を知らないのか?普通皆ここで出会った者の素性を調べたりするんだぞ」
「え?そうなの?」
「うむ」
そうだったのか。名前を明かさないしそういうもんだと思ってた。
「じゃあ僕が恐れられてる理由を教えてあげるよ。彼は神も屠れる力を持っているんだよ」
「へー」
「へーってお前・・・」
刀傷の神が呆れたように俺を見る。
「いや、凄いとは思うけど別に怖いとは思わないな。無闇に使ってるなら神として存在できてないだろうし」
実際うちが無闇に使って破滅しそうになった例だからな。
「だってさ。よかったね、君を怖がらない神が一人増えたよ」
「そもそも増えないのはお前がいちいち他の連中に俺の力を吹聴したからだろ」
「いやーだって君無愛想だから僕が一肌脱いであげようと思って」
「余計なお世話だ。斬るぞ」
「まあまあ、二人とも。落ち着けって」
刀傷の神が腰に下げてる刀らしき武器を構えようとしたところで止めに入る。
なんで俺の周りにはこんな癖の強いやつばっかり集まるんだろうか。
「おい、主。ここで騒ぎを起こすなと何度言えばわかるんだ」
「神様、また他の神様を煽ったのですか?その悪い癖いい加減直して欲しいのですが」
お付きが気付いて来てくれたか。助かった。
二人はお付きにお叱りを受けた後去っていった。
「また会うのを楽しみにしてるよ」
「がんばれよ」
今度は別々に来て欲しい。モメるのは勘弁だ。
・・・助けて欲しい。
「ワンワンワンワン」
「ニャーニャーニャーニャー」
今俺は犬と猫に囲まれている。
事の発端は次々来る神の挨拶に若干疲れてしゃがんでた時のこと。
「お兄さん、癒しはいらんかえ?」
「兄貴、癒してやろうか?」
両サイドの腋の下からそれぞれ犬と猫が首を突っ込んできた。
この二匹、匹じゃ失礼だな、二神も以前会ったことがある。
「おぉ・・・これは至福・・・」
真っ白な猫神と真っ黒な犬神がそれぞれすりすりと俺に体を擦り付けてくる。
あーこのモフモフ感はいいな。疲れが飛んでいく。
「にゃふふ、今日こそお兄さんに猫派になってもらうぞな」
「兄貴にはやはり犬が似合う。犬派になるべきだ」
「いや、だから俺はどっちも同じぐらい好きだと前に言ったじゃないか」
前の会合でもやはりこのように犬派か猫派でもめて結局どっちも選ばなかったんだが、そもそもこれは選ぶ必要があるのかすら俺にはわからん。
「そんなことが」
「許されるとでも」
派閥争いはしているが、やはり二神というだけあってこういうところは息がぴったり合っている。
前回はサチがこの時止めてくれたんだが、そのサチはというと。
「はあぁぁ・・・柔らかぁ・・・」
既に二神が連れて来た精鋭の犬と猫にモフモフされている。
くっ、退路を断つとは、やるな。
しかし、どうしたものかな、どっちか決めないと引き下がってくれなさそうなんだが。
俺が悩みながら撫で回してたら二神の雰囲気が変わってきた。
「あぁ、あかんわ、お兄さんの手は癖になる」
「わかる、兄貴は良いところを撫でてくれる」
あ、そうなの?もっとやろうか?
「にゅあぁぁー・・・」
「わふぅぅぅ・・・」
気に入ってもらえてなによりだ。
ん?何か視線を感じるんだが。
気配の先を見ると先ほどまでサチにくっついてた犬と猫がこっちを凝視している。
「な、何かな?」
嫌な予感がする。
「姐さん!あちきらもやってもらいたいです!」
「ボス!ひとりだけズルイっすよ!」
それで今順番に皆を撫でてあげている。
なあ、俺が癒してもらう側じゃなかったっけ?
あー、一応色んな種類の犬猫を触れるという意味では俺も癒されてはいるけども。
「ボス!あの方凄いっすね!」
「そうだろそうだろ」
「姐さん!最高でした!」
「そうじゃろそうじゃろ」
何で二神がそんな自慢げにしてるんだ。
というかあんたらこれで三周目だろ。何回並び直してるんだ。
サチはというと犬猫の猛攻から解放されて今はパネルで俺の様子を映像に撮っている。何に使うんだろうか。
結局二神を五周回ぐらい撫でまわしたところでお開きになった。
あー腕が軽く腱鞘炎みたいになってる。
サチが二神にさっきの映像を見せながら何か言ってるな、なんだろ。
あ、こっち来た。
「あーお兄さんよ。先ほど犬の神と協議したんだが」
「兄貴には今後どっち派の問いはしない事になった」
お?そりゃ助かるがどういう風の吹き回しだ?
「それで・・その、代わりといっちゃなんだが・・・」
「次会った時も今回のように撫でてもらいたいのじゃ・・・」
二神がしおらしく俺に頼んできてる。後ろじゃ一緒に来た犬猫がずるい、横暴とか言ってるが気にしてないようだ。
「んーまぁそのぐらいならいいよ」
「本当かの!」
「さすが兄貴!話せる奴だ!」
俺も俺でそれなりに癒されてるからな。今回はちょっと多すぎてもう勘弁だけど。
「後ろの子達も厳選して一桁数ぐらいにしてくれれば一緒にやるぞ」
「本当?やったー!」
「イヤッホゥ!」
俺がそういうと二神の後ろの方で歓声が上がる。
「気を使ってもらってすまんの、では参るか犬の」
「あぁそうだな猫の。ではまたな、兄貴」
「うん、また」
去っていく二神とその連れの犬猫を見送りながらサチに聞く。
「なあ、さっき二神に何をしてたんだ?」
「これです」
映像を見せてくれると俺に撫でられて骨抜きにされている二神が映っている。
「うちの神様にこれ以上迫るようでしたらこれを他の神様達に見せびらかします、と」
「脅しじゃないか」
「そのぐらいでいいと判断しましたので」
確かにそのぐらいしないとあの二神は引かなさそうだな。
「良い判断だ。助かったよ」
「ありがとうございます。しかし、良かったのですか?あのような約束をしてしまって」
次からも撫でるという話か。
「いいんじゃないか?俺もあの二神とは仲良くしたいし。モフモフしたいし」
「良い判断だったと思います。助かります」
そういえばサチも骨抜きにされてたな。あれも映像に撮っておけばよかったな。惜しいことをした。
「あー・・・やっと帰れる」
「そうですね・・・」
俺もサチも大半の神々が帰った会場でぐったりしていた。
犬猫の二神の後も色んな神と挨拶を交わした。
人型の神は大体似た挨拶方法なのだが、それ以外の神になると挨拶の一つでも違ってくるから中々思考が追いつかなくて大変だった。
そういえば生理的に受け付けない奴って居なかったな。
日々の心構えのおかげだったら嬉しい。
「キ!」
お、案内鳥が迎えに来てくれた。
「キー・・・」
「あぁ、うん、大丈夫大丈夫。ちょっと疲れただけだから」
「キ!キェー!」
俺の様子を気にしてくれたが、大丈夫なのがわかったのが早々に転移してくれた。
「今日もありがとな。また頼むよ」
鳥は頭撫でられるの好きなのを思い出して人差し指で軽く案内鳥の頭を撫でてやる。
「キュインキュイン!」
喜んでる。可愛い。
「キ!」
満足したのか案内鳥はくるっとまわった後帰っていった。
「さて、俺らも家に帰ろうか」
「はい。そうしましょう」
サチがぎゅっとつかまって来る。
うーん、今日は余り接してなかったせいか凄く久しぶりに感じるな。
サチと触れ合っている事が日常になってたんだな。
夕飯後。いつものゆったり時間。
「ソウ、ちょっと手を見せてください」
「手?別にいいけど」
サチの前に手のひらを差し出す。
「・・・ふーむ・・・」
じっと俺の手を掴んで凝視する。
「どうしたんだ?」
「いえ、少し気になりまして」
ん?何がだ?
「ソウが握手した人や撫でた人は総じて好印象を持っているので、この手に何か不思議な力でも宿っているのではないかと」
え?そうなの?
いや、しかしそれならあの会合での状況も理解できる。
「思ったのですが、気のせいでした」
気のせいかよ。違うのかよ。
「特に変わった事はなしか」
「そうですね、神様としての力は感じますがそれは全身からですし、手から特別何かを感じるという事はないです」
よくよく考えれば触れてない人からも挨拶貰ったりしてたしな。
俺がぼんやり今日の事を思い出している間もサチは俺の手を指でなぞったり頬ずりしたりしている。
「あむっ」
「・・・なにをしてんだ?」
ついには咥えられた。
「あひもみへほほふはほ」
味も見ておこうかと?しないだろそんなもの。
別の指を咥えても違いは無いだろ。
直ぐに飽きて離すだろうと思ってたらその後もサチは舐めたり吸ったり甘噛みしたりして堪能している。
「なぁサチ、楽しいか?それ」
「んー・・・うん」
そ、そうか。それならしょうがないな、飽きるまで付き合ってやるか。
結局俺の両手の指先が真っ白にふやけるまで咥えられ続けてしまった。
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