くすぐりジャック

藍子

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くすぐりが弱い栗原さん

2人の面接官

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(緊張するな~面接うまくいくかな~)
【栗原由樹】は緊張していた。大学四年生の春、由樹は就職活動真っ只中にいた。
そして今日は大手メーカーの最終面接。これに受かれば晴れて来年からは社会人だ。
群馬の田舎から出てきた由樹の家は決して裕福とは言えずそれでも大学まで行かせてくれた両親の為にも給料の良い企業にどうしても入りたかった。
由樹の志望は【商品開発部】だ。大手企業ともあって部署別で面接を設けていた。
そして今日はその開発部の部長級の人達との面接であった。

胡蝶澤「初めまして。部長の胡蝶澤です。」

玖珠川「課長の玖珠川です。本日はよろしくお願いします。」

由樹「◯◯女子大学から来ました栗原由樹です。よろしくお願い致します!」

面接官は【胡蝶澤】と【玖珠川】という男2人であった。
志望理由や学生時代どのような活動をしてきたかを答える。数々の面接を行いそこらの準備を入念にしてきたが問われたのは全く別の所だった。

胡蝶澤「“苦手なこと”というところに【くすぐり】と書いてありますがくすぐりは苦手なんですか?」

由樹「へ?くすぐり?え、えぇ苦手というか弱いというか…」

動揺する由樹。他の面接では長所や志望理由を聞かれるのがほとんどだった。
まさかそんな所を聞かれるとは思ってもいなかった。
しかしその後も“くすぐり”に対する質問は続いた。

玖珠川「どこが1番弱いとかありますか?」

胡蝶澤「くすぐられると暴れちゃう?」

胡蝶澤「学生時代1番辛かったくすぐり体験を教えて下さい」

一つ一つ答える由樹。回答する度にニヤニヤとする面接官。しかし入りたい企業の面接だ。無下にする訳にはいかなかった。
暫くすると煮え切った由樹が逆に質問をした。

由樹「この質問何の意味があるのでしょうか?」

面接官の2人は顔を合わせニヤニヤとしながら答える。

胡蝶澤「うちの会社は多岐に渡って商品を扱っている。その中で会社として力を入れているのが“健康器具”なんだ。そのテストを自社で行うんだけどくすぐったい場面を多いからね~苦手な子は難しいかな~とね。」

由樹「そ、そんな!私くすぐり苦手なんですけど我慢出来ますから!耐えられます!」

由樹は必死に弁解した。理由はこの会社の給料体系。他の企業より倍近い給料なのだ。

由樹(これなら弟を大学に通わせる事が出来る…)

正に決意を持って臨んだ面接だった。

玖珠川「ほほぉ?ww」

胡蝶澤「実はこの面接ではその耐久性も見ているんだ。これから行うテストを受けてもらうけどいいかな?ww」

由樹「はい!よろしくお願いします!」

由樹はこの後地獄を体験する。





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