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21.震える/道連れ ※
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しおりを挟む「いい加減、素直になりなさいって、言ってるでしょ……!」
「あぁ……、いっ……や……」
力尽きていくのは俺の方だった。関節が痺れるように痛み始め、少しずつ力が失われていく。ケティは勝ち誇ったように口角を歪める。
「……だっ……!」
強制的に開かされていく指の間で、銀色の光が揺れた。
それが視界に入った瞬間、
「――いやだぁああああああっ!!」
胸の奥から本当の俺があふれていた。
「いっ、嫌だっ! もぉ、許して、っ……、これだけはっ……、これだけは……いやだっ、誰にも……!」
自分でも驚くほど幼い面が姿をあらわし、泣き叫んでいる。建前も辛抱も、羞恥心すら捨て、嫌なものを嫌だと言い放っている。
「いやだっ! ……たす、け……、ひび……っ……」
自分の身体なのに暴走する感情を止められない。手足までもがケティからどうにか逃れようと抵抗し、動き始めた。
「大人しくしろッ!」
だが、ケティは舌打ちするなり、俺の手首を掴んだ。そのままあらぬ方向へとひねり上げられる。
「――ぐっ!」
骨に鋭い痛みが走り、痺れた指が意思とは無関係にほどけた。
銀の光は呆気なく滑り落ちていく。
あ、と思った時にはもう遅い。
手は届かず、転がったそれを追いかけることはできなかった。
「ふ、あぅんっ」
挙句、声は紅い唇に塞がれ、手足には彼の長い四肢が大蛇のように絡みついた。
身悶えすらできぬよう、きつく封じられる。
「……ぐ、うっ!」
そのまま強く強く締め付けられていく。
肋骨が軋み、鋭い痛みが脳天に刺さるほどに。
まともな呼吸ひとつ、許されず――。
体も、心も、壊れてゆく。
「龍広……、貴方はあたしだけのものよ……ずっと……!」
――たす、けて。
――助けて。
――響。
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