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19.夏の夢/躊躇い
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しおりを挟む「……なっ!?」
彼のキラキラした笑顔は俺に望みをくれる。ほんの微かな期待感が、もしかしたら――という胸の高鳴りへ変わっていく。
それでも、
「たっくんが一緒だとさ、何しても楽しいから、大好きっ!」
結局は、予想通り。
「……そうか」
分かり切ったことだ。
直接的すぎる言葉たちは、彼なりの“友情”表現でしかない。
ストレートにぶつけてくる想いと、俺が伝えようとしている想い。この二つはまったくの別物――。
嬉しくないわけがない。それなのに、虚しい。
膨らんだ淡い期待はみるみるうちに弾けて消えていく。泡みたいに。
「……響」
「ん?」
正直に打ち明けてしまえたら、どんなにいいだろう――。
もどかしさに唇を噛み締めてしまう。
あと少し、なのに。
一歩踏み出してしまえば、きっと楽になれる。
分かっている。
そのくせ、躊躇してしまう。
どうしても考えてしまうのだ。
もし、俺がここで思いの丈をぶつけて友情を壊してしまったら、来年の今日、響はどうするのだ。
ひとりぼっちで夏の思い出をつくりに、この神社へ来るのだろうか。
にぎやかで楽しげな空気の中、彼だけが孤独を噛みしめるのだろうか。
そんな思い、絶対にさせたくない――。
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