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13.臆病者/破壊者 ※
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快楽と苦痛。
がんじがらめになった身体は疼き、引き攣り、びくびくと震える。ほんの些細な刺激すら、今の状況では酷だというのに。
「……っ、ひ」
どうにかこの圧迫から逃れたくて、すがりつくような思いでケティを見上げる。
『たっくん?』
すると、彼の唇はゆっくりと、横に大きく広がった。
深い闇の中にぽっかりと浮かぶ紅い三日月のような笑み。
──地獄が、始まる。
「ぐ、あぅううんっ!」
腰を乱暴に叩きつけられ、そのまま前後左右に揺さぶられる。一定のリズムなど無く、ひたすら欲望のおもむくままに。
「……ツ……っは! ひぃっ、ん!」
『たっくん?』
何も知らない響の声が耳の奥へと流れ込んでくる。呆れるほど能天気なそれは、必死に耐えようとする理性の扉をこじ開けようとしてくる。
『どうしたの?』
「……っ、ンッ! ぐっ……ぅあんんんッ!!」
俺の上でケティは笑っている。あざ笑うように口端を歪めて。
嬌声が漏れる度、その歪みは深くなっていく。
「……んっ、……! ひぐっ!」
膝裏に彼の肩がガツガツとぶつかる。
さらに奥へ進もうと腰をねじられ、無理矢理に壁を擦られ、耐え難いほどの激痛が生まれる。
──もう、いやだ。
少しでも抵抗したくて彼の背にかかとをぶつけようとしたが、届かなかった。
余計な動きによる振動は、身体を伝わり、こちらへと返ってくる。
「……ンンッ!」
貫こうとする動きは止まらない。
イイところに当たる度、あられもない声が漏れかける。
──いやだ。
だが、いくら首を振って堪えても、頭には甘い誘惑が浮かんでいた。
いっそ理性など捨てて、感じるままによがり、喘いでしまえば──。
きっと楽になれる。
楽に、なれる。
誘惑に傾きかけた──そのとき、
『……ねぇ、たっくん。……今さ……、どこにいるの?』
彼の声が真剣なものへと変わった。明らかに様子がおかしいと気づいたのだろう。
『家?』
「……んっ、……っ、ぐ……」
『家なの?』
結合部から、ぶじゅ、と体液と粘膜の擦れる音が聞こえる。
「ふっ、ぅうんっ!」
腰を叩きつけられる度、激しい衝撃に耐え切れず、食いしばった歯の間から声が漏れていく。
二人分の体重を支えるベッドは壊れそうなほどの音を立てて軋む。
『ねぇ』
「……っ、は! ……っ、……ん、ひあっ……」
『たっくんってば!』
次第に頭の中がごちゃごちゃになってくる。
自分が今、どこにいるのか、誰と肌を重ねているのか、分からなくなっていく。
浅い呼吸を繰り返しながら、熱く猛るものを受け入れることしかできない──。
『……どこか、痛いの?』
──たすけて。
『ねぇ』
──たすけ、て。
『……ねぇって……ば……』
──たす、け、て。
『お願いだからなんか言ってよッ!』
がんじがらめになった身体は疼き、引き攣り、びくびくと震える。ほんの些細な刺激すら、今の状況では酷だというのに。
「……っ、ひ」
どうにかこの圧迫から逃れたくて、すがりつくような思いでケティを見上げる。
『たっくん?』
すると、彼の唇はゆっくりと、横に大きく広がった。
深い闇の中にぽっかりと浮かぶ紅い三日月のような笑み。
──地獄が、始まる。
「ぐ、あぅううんっ!」
腰を乱暴に叩きつけられ、そのまま前後左右に揺さぶられる。一定のリズムなど無く、ひたすら欲望のおもむくままに。
「……ツ……っは! ひぃっ、ん!」
『たっくん?』
何も知らない響の声が耳の奥へと流れ込んでくる。呆れるほど能天気なそれは、必死に耐えようとする理性の扉をこじ開けようとしてくる。
『どうしたの?』
「……っ、ンッ! ぐっ……ぅあんんんッ!!」
俺の上でケティは笑っている。あざ笑うように口端を歪めて。
嬌声が漏れる度、その歪みは深くなっていく。
「……んっ、……! ひぐっ!」
膝裏に彼の肩がガツガツとぶつかる。
さらに奥へ進もうと腰をねじられ、無理矢理に壁を擦られ、耐え難いほどの激痛が生まれる。
──もう、いやだ。
少しでも抵抗したくて彼の背にかかとをぶつけようとしたが、届かなかった。
余計な動きによる振動は、身体を伝わり、こちらへと返ってくる。
「……ンンッ!」
貫こうとする動きは止まらない。
イイところに当たる度、あられもない声が漏れかける。
──いやだ。
だが、いくら首を振って堪えても、頭には甘い誘惑が浮かんでいた。
いっそ理性など捨てて、感じるままによがり、喘いでしまえば──。
きっと楽になれる。
楽に、なれる。
誘惑に傾きかけた──そのとき、
『……ねぇ、たっくん。……今さ……、どこにいるの?』
彼の声が真剣なものへと変わった。明らかに様子がおかしいと気づいたのだろう。
『家?』
「……んっ、……っ、ぐ……」
『家なの?』
結合部から、ぶじゅ、と体液と粘膜の擦れる音が聞こえる。
「ふっ、ぅうんっ!」
腰を叩きつけられる度、激しい衝撃に耐え切れず、食いしばった歯の間から声が漏れていく。
二人分の体重を支えるベッドは壊れそうなほどの音を立てて軋む。
『ねぇ』
「……っ、は! ……っ、……ん、ひあっ……」
『たっくんってば!』
次第に頭の中がごちゃごちゃになってくる。
自分が今、どこにいるのか、誰と肌を重ねているのか、分からなくなっていく。
浅い呼吸を繰り返しながら、熱く猛るものを受け入れることしかできない──。
『……どこか、痛いの?』
──たすけて。
『ねぇ』
──たすけ、て。
『……ねぇって……ば……』
──たす、け、て。
『お願いだからなんか言ってよッ!』
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