瞳を閉ざした兄の世界に見えているのはオレだけがいい！

・ピザがくるまで待ってられない（R18/超絶嫉妬）

優兄からのお願い

　




　お互いにやっと満足したけれど、まだ離れたくはなかった。
　余韻にひたるように抱き合ったまま軽くキスをしたり、おでこをくっつけたりしながら、愛しさと眠気のあいだでふわふわしていると、

「ねぇ、せんちゃん……」

　とても遠慮がちにぽそりと優兄はつぶやいた。
　もしオレが眠っていたら言い出さずに胸のうちに秘めてしまいそうな声色だった。

　すぐに「なに」と返すと、優兄はホッとしたように微笑んだ。

「あのね……、今度、ラジオでせんちゃんのこと話してもいいかな？」

「え？」

「ぼく、阿須崎くんよりお話上手じゃないから、なにか楽しいこと話さなきゃってずっと考えてるの。でも、考えても考えてもせんちゃんとのことしか思い浮かばないから……」

「優兄、辛くない？　せっかく始まった番組をあいつに奪われて」

「奪われたなんて思ってないよ。阿須崎くんはド素人のぼくにお手本を見せなきゃって一生懸命頑張ってるのに……」

　オレ的にはその頑張りが鼻について、むちゃくちゃ腹立つんだけどね。優兄はやっぱりやさしすぎる。