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11 癒える※
11-1 水の中で
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◆ ◆ ◆
淡い希望なんて一瞬でくじかれるほど冷たい水の中、オレとテルは落ちていく。
呼吸もできないまま、助けを求めることもなく、沈んでいく。
抱き合う互いの腕が水流に揉まれてほどけてしまいそうで、怖かった。
死ぬよりも離れるほうが怖いなんて、きっとテルに出逢わなければ一生味わえなかった感覚だろう。
もう手や足を動かす体力さえ残っていない俺は、目を開いた。濁った水のなかでもテルの白い髪は美しく揺れている。
もう一度、頭をなでてやりたかった──。
悔やんだ俺の視界に、細長い影が絡みついた。
その影は水面のほうから光とともに降り注ぐ。最初はたった一つだけに思えた影はいくつもあらわれ、オレとテルの体を絡めとった。
『大丈夫か、キイチ! よくやったな、テル!』
耳の中に押し寄せるゴボゴボという音のはざま、ツゲの凛々しい声が聞こえた気がした──。
淡い希望なんて一瞬でくじかれるほど冷たい水の中、オレとテルは落ちていく。
呼吸もできないまま、助けを求めることもなく、沈んでいく。
抱き合う互いの腕が水流に揉まれてほどけてしまいそうで、怖かった。
死ぬよりも離れるほうが怖いなんて、きっとテルに出逢わなければ一生味わえなかった感覚だろう。
もう手や足を動かす体力さえ残っていない俺は、目を開いた。濁った水のなかでもテルの白い髪は美しく揺れている。
もう一度、頭をなでてやりたかった──。
悔やんだ俺の視界に、細長い影が絡みついた。
その影は水面のほうから光とともに降り注ぐ。最初はたった一つだけに思えた影はいくつもあらわれ、オレとテルの体を絡めとった。
『大丈夫か、キイチ! よくやったな、テル!』
耳の中に押し寄せるゴボゴボという音のはざま、ツゲの凛々しい声が聞こえた気がした──。
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