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ファイル.08 サキとナージャの異世界冒険
ファイル.08 サキとナージャの異世界冒険(4)
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サキは、エレベーターに一人で乗り込むと、ナージャから説明を受けたとおりに異世界に行く方法を試してみた。
サキを乗せたエレベーターは、四階、二階、六階、二階、十階と順番に移動していった。
「十階まできました。問題はここからです。五階にいくんでしたね」
エレベーターが五階に到着すると、エルフのように長い耳をした女性がエレベーターに乗り込んできた。
(わーエルフさんです。サキ、ゲームでしか見たことないですよー。本当に異世界と繋がっているんですねー)
サキはエレベーターの一階のボタンを押す。
しかし、エレベーターは上へと上がっていった。
(上にあがっていったー。成功ですー)
サキがエレベーターを降りると、そこは幻想的な森の中だった。
エレベーターは巨大な木の中の空間とつながっていた。
「へえ、木の中にうまく隠れているんですねえ。これなら異世界の人にはエレベーターがあるってわからないですねー」
この森は木々が生い茂っていて薄暗く、淡く光る謎の物体が浮遊していた。
少し時間が経ってから、ナージャもエレベーターが隠れている大樹の中から出てきた。
「あ、なーちゃんも成功したんだねー。よかったー。それにしても、この幻想的な風景、最高ですー。間違いなくここは異世界ですねー」
「いやー、あんな方法で本当に異世界にこれるとは思いませんでした。実は意外と異世界に行ってる人って多くいたりするんですかねえ。あ、先輩、このまま私がカメラで撮影担当しますから、動画の進行は先輩にお任せします」
ビデオカメラを構えたナージャがサキに語りかけた。
「ありがとー。まかせてなーちゃん」
森の中を進むと人が腰を下ろせるくらいの高さの切り株があった。
二人はそこに座って、異世界で動画を撮影するための打ち合わせを始めた。
「それで、先輩、一つ質問なのですが?」
「ん? なーにー?」
「異世界、つまり今私たちがいるこの世界の人たちの言葉、わからないと思うんですけど、どうするんですか? 絶対言葉通じませんよね?」
「あーいい質問ですねー。実は、先行して異世界にいった旅行者たちが、こういう本を作ってくれているのですー。この本に書いてある言葉と絵を見せるだけで、かんたんなコミュニケーションはとれるのよー」
サキはナージャに、異世界指差し会話帳と書かれた本を見せた。
本の中には、様々な日常生活の一コマの絵と、見たことのない文字が書かれていた。
「おお、これが異世界の人と指差しで会話できる本ですか。こんなものまであるんですね。偉大な先人たちに感謝ですね」
「これがあれば基本的なコミュニケーションは取れるからなんとかなるよー。だから、がんばって撮影しようねー」
「ふふ、そうですね。がんばりましょう、先輩。それで、今回はどんな撮影をする予定なんですか?」
「やっぱり異世界の配信といえば、ダンジョンでしょ? 二人でダンジョン攻略して、そこを動画にしましょー」
「なるほど。ダンジョン配信は定番ですから、私もいいと思います。ダンジョン攻略中は私もこのアクションカメラを装着して撮影すればいいんですね?」
サキはカバンからDoProというアクションカメラを二つ取り出した。
「そうそう。なーちゃんもDoProで撮影に参加してねー。やっぱりダンジョン攻略は二人でやりたいからねー。それになーちゃんも画面に出てくれた方が、再生数も伸びる気がするの」
「了解です。それじゃあ今のうちに準備しておきましょう。今回は首から下げるタイプのアタッチメントを使います」
ナージャはDoProに首から下げるためのネックマウントというアタッチメントを装着して、サキに手渡した。
「これなら、首に下げておくだけで撮影できるので、ダンジョン探索の邪魔にならずにすみます」
「わあ、すごいねこれ。ありがとう、なーちゃん」
サキを乗せたエレベーターは、四階、二階、六階、二階、十階と順番に移動していった。
「十階まできました。問題はここからです。五階にいくんでしたね」
エレベーターが五階に到着すると、エルフのように長い耳をした女性がエレベーターに乗り込んできた。
(わーエルフさんです。サキ、ゲームでしか見たことないですよー。本当に異世界と繋がっているんですねー)
サキはエレベーターの一階のボタンを押す。
しかし、エレベーターは上へと上がっていった。
(上にあがっていったー。成功ですー)
サキがエレベーターを降りると、そこは幻想的な森の中だった。
エレベーターは巨大な木の中の空間とつながっていた。
「へえ、木の中にうまく隠れているんですねえ。これなら異世界の人にはエレベーターがあるってわからないですねー」
この森は木々が生い茂っていて薄暗く、淡く光る謎の物体が浮遊していた。
少し時間が経ってから、ナージャもエレベーターが隠れている大樹の中から出てきた。
「あ、なーちゃんも成功したんだねー。よかったー。それにしても、この幻想的な風景、最高ですー。間違いなくここは異世界ですねー」
「いやー、あんな方法で本当に異世界にこれるとは思いませんでした。実は意外と異世界に行ってる人って多くいたりするんですかねえ。あ、先輩、このまま私がカメラで撮影担当しますから、動画の進行は先輩にお任せします」
ビデオカメラを構えたナージャがサキに語りかけた。
「ありがとー。まかせてなーちゃん」
森の中を進むと人が腰を下ろせるくらいの高さの切り株があった。
二人はそこに座って、異世界で動画を撮影するための打ち合わせを始めた。
「それで、先輩、一つ質問なのですが?」
「ん? なーにー?」
「異世界、つまり今私たちがいるこの世界の人たちの言葉、わからないと思うんですけど、どうするんですか? 絶対言葉通じませんよね?」
「あーいい質問ですねー。実は、先行して異世界にいった旅行者たちが、こういう本を作ってくれているのですー。この本に書いてある言葉と絵を見せるだけで、かんたんなコミュニケーションはとれるのよー」
サキはナージャに、異世界指差し会話帳と書かれた本を見せた。
本の中には、様々な日常生活の一コマの絵と、見たことのない文字が書かれていた。
「おお、これが異世界の人と指差しで会話できる本ですか。こんなものまであるんですね。偉大な先人たちに感謝ですね」
「これがあれば基本的なコミュニケーションは取れるからなんとかなるよー。だから、がんばって撮影しようねー」
「ふふ、そうですね。がんばりましょう、先輩。それで、今回はどんな撮影をする予定なんですか?」
「やっぱり異世界の配信といえば、ダンジョンでしょ? 二人でダンジョン攻略して、そこを動画にしましょー」
「なるほど。ダンジョン配信は定番ですから、私もいいと思います。ダンジョン攻略中は私もこのアクションカメラを装着して撮影すればいいんですね?」
サキはカバンからDoProというアクションカメラを二つ取り出した。
「そうそう。なーちゃんもDoProで撮影に参加してねー。やっぱりダンジョン攻略は二人でやりたいからねー。それになーちゃんも画面に出てくれた方が、再生数も伸びる気がするの」
「了解です。それじゃあ今のうちに準備しておきましょう。今回は首から下げるタイプのアタッチメントを使います」
ナージャはDoProに首から下げるためのネックマウントというアタッチメントを装着して、サキに手渡した。
「これなら、首に下げておくだけで撮影できるので、ダンジョン探索の邪魔にならずにすみます」
「わあ、すごいねこれ。ありがとう、なーちゃん」
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