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ファイル.08 サキとナージャの異世界冒険

ファイル.08 サキとナージャの異世界冒険(2)

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「ふふ、ありがとうなーちゃん。あそこでさりげなくだめ押ししてくれたのがよかったです」
 
「先輩を助けられてよかったです。あ、一つ聞きたいんですが、向こうではカメラとか充電できないと思うんですけど、バッテリーは予備も持っていくんですか?」

 【いづなまい】という名前でブイチューバーとして活動しているナージャは、動画撮影の知識にも詳しく、サキに色々とアドバイスをしていた。

「あ、そうかー。予備が無いと長い時間撮影できないよねー。うん、持っていこう。あと、前に先生がソーラーパネルのついたモバイルバッテリーを買ってたから、それを借りようと思う。それなら、異世界でも充電できるでしょ。緊急時はそれで充電しよー」

「了解です。準備しておきますね」

 ナージャは旅行用のカバンを持ち出してきて、荷物の準備を始めた。

「あ、そういえば先輩、エレベーターで異世界に行くんですよね? あの方法って確か、十階以上の建物のエレベーターじゃないと無理だと思ったんですけど、どこかいい場所、知ってるんですか?」

 ナージャは異世界旅行の支度を続けながら、サキに問いかけた。

「心配しないで、なーちゃん。ちゃんとエレベーターのある場所は押さえてあるの」

 サキは商店街組合の理事長が高円寺に複数のテナントビルを所有していることを知っていた。
 そこで、理事長にお願いして、テナントビルのエレベーターの使用許可をもらっていたのだ。

「さすが先輩。ちゃんと許可もらってたんですね」
 
「えへへ、準備は入念にするのが九十九探偵事務所の方針だからねー。私たち、こないだここの商店街組合の理事長さんの依頼を解決したんだけど、そのお礼として、理事長さんの所有するテナントビルの使用許可をもらえたの。しかも、このビル、ぴったり十階建てなの。異世界にいくにはこれ以上ない最高の環境でしょー?」

「確かに、最高の場所ですね。それじゃ、先輩の準備が出来たら出発しましょう。あ、エレベーターでも撮影します?」

「そうだねー。理事長さんには九十九探偵事務所のPR動画を作るのに、エレベーターで撮影したいって言って許可をもらってあるから、撮影しても全然大丈夫だよー」

「了解です。先輩がエレベーターに乗るところから撮影しますね」
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