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ファイル.01 鏡に映る迷子の少女と帰れない駅
ファイル.01 鏡に映る迷子の少女と帰れない駅(13)
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しばらくして、ヒトガタを飛ばしていた九十九が何も喋らないことに痺れを切らしたゼロが九十九に話しかけた。
『どうだ? 何か掴んだか?』
『いや。だが一つ、わかったことがある。私たちの前にいた人間がいなくなっているってことがね』
『それは誰なんだ? もしかして、線路でくたばっていたあの男か?』
『いや、あの電車に乗っていた車掌だよ。ヒトガタでこれだけ駅の中を探しているんだが、どこにも見当たらないんだ』
九十九は電車の中にいた車掌がいなくなっていることに気づいたのだ。
『なるほど。どこかに隠れているのかもな。だが、制限時間までに見つけ出さないと、また時間がループしてしまうぞ』
『君も大分弱ってきているからな。それは避けたい。ここは、サキにダウジングをお願いして、車掌の居場所を見つけよう』
九十九は、駅のホームにいるサキと百華の元へ向かった。
「なるほど、さっきまで電車にいた車掌さんの現在の居場所を探ればいいんですねー」
「ああ、頼むよサキ。君だけが頼りなんだ」
「まかせてくださーい」
サキは、九十九が手帳に書いた見取図の上に、ダウジングペンデュラムをかざした。
ダウジングペンデュラムの先端の宝石は、駅の東側にあるポンプ室の上でくるくると回転した。
「なるほど、ポンプ室に隠れていたのか」
「ポンプ室ってなんですか?」
「これくらいの規模の駅ビルにはスプリンクラーといって、火事になると自動で水が出てくる消火設備があるんだ。そのスプリンクラーに水を送るポンプがある部屋がポンプ室だよ。普通の人はまず入らないから、隠れるにはうってつけの場所だ」
「なるほどー。そんな場所に隠れていたんですね」
九十九は、サキのダウジングの能力で、隠れていた車掌の居場所を突き止めることが出来た。
「君たちはここで待っていてくれ。私が行って決着をつけてくるよ」
「先生、無理はしないでくださいね」
サキは心配そうに九十九を見つめている。
「わかっている。必ず戻ってくるよ。百華さんを頼む」
「はい」
九十九はポンプ室へと向かった。
ポンプ室は通常人が立ち入らないように施錠されている。
だが、九十九がポンプ室の入口に着いた時、何故かドアが開いていた。
「車掌さん、ここにいるんだろう? 出てきなよ」
ポンプ室の奥から車掌が顔を出した。
「お前、どうして私がここにいるとわかった?」
「私ももうなりふり構っていられないのでね。悪いが、少しだけズルをさせてもらったよ」
「なるほどな。だが、私は時間をループさせることで、彼女を守っているんだ。悪いが、邪魔をしないでもらいたい!」
「お前が彼女を守っているだと? 何を言っているんだ?」
「もうお前も気づいてるだろう? 彼女はすでに……、亡くなっていることに」
『どうだ? 何か掴んだか?』
『いや。だが一つ、わかったことがある。私たちの前にいた人間がいなくなっているってことがね』
『それは誰なんだ? もしかして、線路でくたばっていたあの男か?』
『いや、あの電車に乗っていた車掌だよ。ヒトガタでこれだけ駅の中を探しているんだが、どこにも見当たらないんだ』
九十九は電車の中にいた車掌がいなくなっていることに気づいたのだ。
『なるほど。どこかに隠れているのかもな。だが、制限時間までに見つけ出さないと、また時間がループしてしまうぞ』
『君も大分弱ってきているからな。それは避けたい。ここは、サキにダウジングをお願いして、車掌の居場所を見つけよう』
九十九は、駅のホームにいるサキと百華の元へ向かった。
「なるほど、さっきまで電車にいた車掌さんの現在の居場所を探ればいいんですねー」
「ああ、頼むよサキ。君だけが頼りなんだ」
「まかせてくださーい」
サキは、九十九が手帳に書いた見取図の上に、ダウジングペンデュラムをかざした。
ダウジングペンデュラムの先端の宝石は、駅の東側にあるポンプ室の上でくるくると回転した。
「なるほど、ポンプ室に隠れていたのか」
「ポンプ室ってなんですか?」
「これくらいの規模の駅ビルにはスプリンクラーといって、火事になると自動で水が出てくる消火設備があるんだ。そのスプリンクラーに水を送るポンプがある部屋がポンプ室だよ。普通の人はまず入らないから、隠れるにはうってつけの場所だ」
「なるほどー。そんな場所に隠れていたんですね」
九十九は、サキのダウジングの能力で、隠れていた車掌の居場所を突き止めることが出来た。
「君たちはここで待っていてくれ。私が行って決着をつけてくるよ」
「先生、無理はしないでくださいね」
サキは心配そうに九十九を見つめている。
「わかっている。必ず戻ってくるよ。百華さんを頼む」
「はい」
九十九はポンプ室へと向かった。
ポンプ室は通常人が立ち入らないように施錠されている。
だが、九十九がポンプ室の入口に着いた時、何故かドアが開いていた。
「車掌さん、ここにいるんだろう? 出てきなよ」
ポンプ室の奥から車掌が顔を出した。
「お前、どうして私がここにいるとわかった?」
「私ももうなりふり構っていられないのでね。悪いが、少しだけズルをさせてもらったよ」
「なるほどな。だが、私は時間をループさせることで、彼女を守っているんだ。悪いが、邪魔をしないでもらいたい!」
「お前が彼女を守っているだと? 何を言っているんだ?」
「もうお前も気づいてるだろう? 彼女はすでに……、亡くなっていることに」
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