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ミーガンの結婚行進曲
断罪イベント?!
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最初に書いたミーガンのその後のお話になります。
ハッピーエンドを迎えたミーガンですが、ミーガンはまだディーンに言っていないことがあり、日々悶々としています。そんなミーガンの前に以前の婚約者を略奪した女性、ドリアーヌが現れます。しかも、彼女は婚約を解消して王太子妃の座を狙っている様子。
今までの流れの続きなので、前のお話を読んでいないとわかりにくいと思います(すみません)
どうぞ、続きとしてお楽しみください。
※ ※ ※ ※ ※
「あの女は犯罪者です!」
着飾った貴族女性がこちらに向けて指を突き付けた。
夜会が開かれている大広間。
あちこちからやってきた貴族は、不審そうに見つめてる。
貴族女性は、やってきた王太子、ディーンにしなだれかかる。
「ルドク市で罪を犯し、貴族の身分をはく奪され、町を追放になったのです。そこで魔法使いのように森で密かに薬を密造して売っていたとか」
ありえないとでも言うように目をつぶり首を振る。
「そんな女は王太子にはふさわしくありません」
うっとりとした表情でディーンを見上げる。
これって、恋愛ゲームや漫画、小説でよく見る奴よね。
いわゆる悪役令嬢の断罪イベントってやつ。
ディーンと一緒になれるとは思っていなかったけど、まさかこんなシーンの悪役令嬢みたいな立場にいるなんて。
「この女は王太子様をだましていたんですよ!」
これには、周りにいた貴族も一様に眉を顰め、ざわめきが大きくなる。
「あの女は貴族に対して不敬罪もいとわない、そんな女なんです。そのうえ王太子を騙して、妃の地位を狙うなんて」
「そんなこと」
「考えていないとでもいうの!?」
考えていないと言えば嘘になるかも。できたら一緒に過ごしていけたらなんて。ほんの少しだけど夢見ていた。
「ほらね」
と勝ち誇った顔でこちらを見下ろす貴族女性はぴしりと私に指を突き付ける。
「さあ、もうこんな女を生かしておいてはいけません」
一瞬、しんっとなった広間が、波が起こるようにざわめき始める。
「王様、どうぞ罰をお与えください」
見ると、ディーンの後ろにいつ現れたのか、ルクルット王の姿が。
その王が大きくうなづいた。
「王太子をたぶらかす魔女は死刑が相当ですわ」
大きく腕を広げ宣言する貴族女性。
「そ、そんな」
「死刑だ!」
貴族の誰かが声を上げた。
「死刑よ」
それに合わせるように別の声が上がり次々に死刑コールがこだまする。
死刑!
死刑!
死刑!
嘘でしょ。私、何もしてない。
婚約破棄された瞬間、この世界に転生していた。
転生先でも婚約破棄されていて、しかも不敬罪に問われて町を追放になった。貴族の身分までなくなって。
だけど、追放されて、隣の市にある森の中でハーブを育てて生計を立ててきた。森で出会った黒猫と一緒に。
転生した私の立場は、悪役令嬢と一緒にヒロインを貶めようとする魔女で、なんとかそのルートから逃れようとしていたけど、ストーリーのほうが別の方向に突っ走っていってて。
色々あったけど、何とか、処罰されるルートからははずれて、みんな幸せになったと思っていた。
これから先はわからないけど、魔女として裁かれる運命からはまぬがれたと思っていたのに。
どうやっても基本のストーリーからは逃げられないってこと!?
「嘘よ!」
はっと気づいた私は、ぺろぺろと顔をなめてくる子猫を抱っこしながら起き上がった。
「ごめんね、夢見てたみたい」
抱っこした子猫が「みゃあ」とかわいらしい声で答えてくる。
「まさかの夢落ちだなんて。それにしても嫌な夢」
夢の中で、ディーンの顔がよくわからなかった。
いったいどんな顔で話を聞いていたんだろう。
まだ、不敬罪に問われたことも、婚約破棄されたことも話していない。
ディーンが元の姿に戻ってから、お互いに好意を持つようになってはいた。
なってはいたけど、私の身分を考えると事は簡単にいかない。
刑罰をうけて町を追放になり、貴族の身分も返上。まあ、これは父親が勝手にしたらしいが、それでも貴族でないことは確かだ。もう母親も父親も頼るところはどこもない。
そんな女と王太子が一緒になるなんておとぎ話でもない限り無理だろう。
この世界は私が知ってたゲーム、まんが、小説の世界みたいだか、すでに内容は全く違うものになってるし。別次元の世界なんだと認識してる。だから自分に都合よく行くわけがないのもわかっている。
今日こそはディーンにきちんと伝えないと。
その日もそう思いつつ、小屋にやってきたディーンにハーブティーを出していた。
ハッピーエンドを迎えたミーガンですが、ミーガンはまだディーンに言っていないことがあり、日々悶々としています。そんなミーガンの前に以前の婚約者を略奪した女性、ドリアーヌが現れます。しかも、彼女は婚約を解消して王太子妃の座を狙っている様子。
今までの流れの続きなので、前のお話を読んでいないとわかりにくいと思います(すみません)
どうぞ、続きとしてお楽しみください。
※ ※ ※ ※ ※
「あの女は犯罪者です!」
着飾った貴族女性がこちらに向けて指を突き付けた。
夜会が開かれている大広間。
あちこちからやってきた貴族は、不審そうに見つめてる。
貴族女性は、やってきた王太子、ディーンにしなだれかかる。
「ルドク市で罪を犯し、貴族の身分をはく奪され、町を追放になったのです。そこで魔法使いのように森で密かに薬を密造して売っていたとか」
ありえないとでも言うように目をつぶり首を振る。
「そんな女は王太子にはふさわしくありません」
うっとりとした表情でディーンを見上げる。
これって、恋愛ゲームや漫画、小説でよく見る奴よね。
いわゆる悪役令嬢の断罪イベントってやつ。
ディーンと一緒になれるとは思っていなかったけど、まさかこんなシーンの悪役令嬢みたいな立場にいるなんて。
「この女は王太子様をだましていたんですよ!」
これには、周りにいた貴族も一様に眉を顰め、ざわめきが大きくなる。
「あの女は貴族に対して不敬罪もいとわない、そんな女なんです。そのうえ王太子を騙して、妃の地位を狙うなんて」
「そんなこと」
「考えていないとでもいうの!?」
考えていないと言えば嘘になるかも。できたら一緒に過ごしていけたらなんて。ほんの少しだけど夢見ていた。
「ほらね」
と勝ち誇った顔でこちらを見下ろす貴族女性はぴしりと私に指を突き付ける。
「さあ、もうこんな女を生かしておいてはいけません」
一瞬、しんっとなった広間が、波が起こるようにざわめき始める。
「王様、どうぞ罰をお与えください」
見ると、ディーンの後ろにいつ現れたのか、ルクルット王の姿が。
その王が大きくうなづいた。
「王太子をたぶらかす魔女は死刑が相当ですわ」
大きく腕を広げ宣言する貴族女性。
「そ、そんな」
「死刑だ!」
貴族の誰かが声を上げた。
「死刑よ」
それに合わせるように別の声が上がり次々に死刑コールがこだまする。
死刑!
死刑!
死刑!
嘘でしょ。私、何もしてない。
婚約破棄された瞬間、この世界に転生していた。
転生先でも婚約破棄されていて、しかも不敬罪に問われて町を追放になった。貴族の身分までなくなって。
だけど、追放されて、隣の市にある森の中でハーブを育てて生計を立ててきた。森で出会った黒猫と一緒に。
転生した私の立場は、悪役令嬢と一緒にヒロインを貶めようとする魔女で、なんとかそのルートから逃れようとしていたけど、ストーリーのほうが別の方向に突っ走っていってて。
色々あったけど、何とか、処罰されるルートからははずれて、みんな幸せになったと思っていた。
これから先はわからないけど、魔女として裁かれる運命からはまぬがれたと思っていたのに。
どうやっても基本のストーリーからは逃げられないってこと!?
「嘘よ!」
はっと気づいた私は、ぺろぺろと顔をなめてくる子猫を抱っこしながら起き上がった。
「ごめんね、夢見てたみたい」
抱っこした子猫が「みゃあ」とかわいらしい声で答えてくる。
「まさかの夢落ちだなんて。それにしても嫌な夢」
夢の中で、ディーンの顔がよくわからなかった。
いったいどんな顔で話を聞いていたんだろう。
まだ、不敬罪に問われたことも、婚約破棄されたことも話していない。
ディーンが元の姿に戻ってから、お互いに好意を持つようになってはいた。
なってはいたけど、私の身分を考えると事は簡単にいかない。
刑罰をうけて町を追放になり、貴族の身分も返上。まあ、これは父親が勝手にしたらしいが、それでも貴族でないことは確かだ。もう母親も父親も頼るところはどこもない。
そんな女と王太子が一緒になるなんておとぎ話でもない限り無理だろう。
この世界は私が知ってたゲーム、まんが、小説の世界みたいだか、すでに内容は全く違うものになってるし。別次元の世界なんだと認識してる。だから自分に都合よく行くわけがないのもわかっている。
今日こそはディーンにきちんと伝えないと。
その日もそう思いつつ、小屋にやってきたディーンにハーブティーを出していた。
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