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~ジュド・ロックナーの恋愛事情~
5歳の頃と言われても
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胸に手を当てたアンドリューズは、
「金色の巻き毛に赤いリボン。大きな青い瞳に長いまつ毛。サクランボのような唇に陶器のような肌。まるで天使のような愛らしい笑顔」
「は、はあ」
「俺は俺は、結婚するならこの子しかいない! と思ったんだ」
早い話が一目ぼれしたのか。だが、ステファニー? そんなかわいらしい女性なら忘れそうにないんだが。
「なあ、それは何歳の」
「覚えてないのか!」
「いや、その」
「5歳だ! 5歳!」
「5、さい?」
5歳と言えば、初めて貴族の子供同士で顔を合わせた頃じゃないか。勉強というより、親と一緒についてきて、親が仕事をしている間に顔合わせよろしく一緒に遊んだときのことか。
「あんな愛らしい娘は今も会ったことはない!」
「じゃあ、その子と付き合えばいいじゃないか」
何も色んな女性に手を出さないでも。と非難めいた声を出したが、ものすごい顔して睨まれた。
「付き合えるか! あの子は、ステファニーはお前が好きだったんだ」
「え? そうなの?」
かー! と声を上げたアンドリューズは、
「それも知らなかったのか、お前ってやつは」
そういわれても。あれ? だが、そんな名前は聞いたことがないんだが。
「あの、ステファニーさんは今は」
「いないよ。隣国に引っ越したんだ。父上がお亡くなりになって、母親の田舎にな。それも6歳になる前だった」
肩を落としつつ語るアンドリューズに、俺はかける言葉がみつからなかった。というか、どういえばいいんだよ。
ふっと気付いたように顔を上げたアンドリューズは、
「メリガレット嬢も隣国に行かれたそうじゃないか」
と髪をかき上げた。
いきなり彼女の名前が出て驚いた。
「ああ、まあそうだな」
「オペラではかっさらっていかれて腹も立ったが、もうそれもいいんだ」
にかっとしたアンドリューズは、
「つまり、お前も俺と同じってことだ」
「……」
開いた口がふさがらない。
凝視している俺に気づかないのか、うんうんとうなづきつつ、すっくと立ちあがったアンドリューズは、
「まあそういうわけだ。お邪魔したな」
颯爽とドアに向かいつつ「これで言われたことは済んだな」と言う声がかすかに聞こえた。
あいつ、新しい母親か父親に言われて来たに違いない。
にしても。
「失礼な奴! お前と一緒にするな!」
閉まってしまったドアに向かって本を投げつけようとした。
が。
あいつが言っていることも当たらずとも遠からずと言うべきか。
「金色の巻き毛に赤いリボン。大きな青い瞳に長いまつ毛。サクランボのような唇に陶器のような肌。まるで天使のような愛らしい笑顔」
「は、はあ」
「俺は俺は、結婚するならこの子しかいない! と思ったんだ」
早い話が一目ぼれしたのか。だが、ステファニー? そんなかわいらしい女性なら忘れそうにないんだが。
「なあ、それは何歳の」
「覚えてないのか!」
「いや、その」
「5歳だ! 5歳!」
「5、さい?」
5歳と言えば、初めて貴族の子供同士で顔を合わせた頃じゃないか。勉強というより、親と一緒についてきて、親が仕事をしている間に顔合わせよろしく一緒に遊んだときのことか。
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「付き合えるか! あの子は、ステファニーはお前が好きだったんだ」
「え? そうなの?」
かー! と声を上げたアンドリューズは、
「それも知らなかったのか、お前ってやつは」
そういわれても。あれ? だが、そんな名前は聞いたことがないんだが。
「あの、ステファニーさんは今は」
「いないよ。隣国に引っ越したんだ。父上がお亡くなりになって、母親の田舎にな。それも6歳になる前だった」
肩を落としつつ語るアンドリューズに、俺はかける言葉がみつからなかった。というか、どういえばいいんだよ。
ふっと気付いたように顔を上げたアンドリューズは、
「メリガレット嬢も隣国に行かれたそうじゃないか」
と髪をかき上げた。
いきなり彼女の名前が出て驚いた。
「ああ、まあそうだな」
「オペラではかっさらっていかれて腹も立ったが、もうそれもいいんだ」
にかっとしたアンドリューズは、
「つまり、お前も俺と同じってことだ」
「……」
開いた口がふさがらない。
凝視している俺に気づかないのか、うんうんとうなづきつつ、すっくと立ちあがったアンドリューズは、
「まあそういうわけだ。お邪魔したな」
颯爽とドアに向かいつつ「これで言われたことは済んだな」と言う声がかすかに聞こえた。
あいつ、新しい母親か父親に言われて来たに違いない。
にしても。
「失礼な奴! お前と一緒にするな!」
閉まってしまったドアに向かって本を投げつけようとした。
が。
あいつが言っていることも当たらずとも遠からずと言うべきか。
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