44 / 147
増える行方不明の王子
しおりを挟む
フェリシアは、ハッとすると、
「そうよ! デヴィッド様がいなくなったって」
「いなくなった!?」
「どういうことですか。連れ去られたんですか?」
レラがこちらをちらり。実際、私とジュドは連れ去られたが、デヴィッドも、となると意味が分からない。
「いなくなったって家出とか?」
まさかとは思うが、実際ジュドは家出していたようなもんで、グレンと名乗って街にいたのだから。
「それがよくわからなくて」
フェリシアは首を傾げた。
「公爵夫人のお使いが来て、デヴィッド様がいらしてないかって」
フェリシアの叔母がその使いとこそこそと話しているのを隠れて聞いたらしい。
デヴィッドは朝から姿が見えず、どこかに出かけたのかと思ったが、メイドも誰もデヴィッドの居所を知らなかった。とにかく行方がわからないというのだ。
「図書館とかお外の自然の中がお好きなようですけど、そういうとこは?」
レラが心配そうに眉を下げる。フェリシアも、
「そういうところはまっさきに探したみたい。第一、お供を連れずには行動しないでしょうしね」
フェリシアはふらふらと一人行動しがちだが。ついそんな顔して見てしまっていたのか、フェリシアは、
「私は街に出る用があったんです。それに今日は馬で来てるし」
と鼻を鳴らした。
お嬢様が馬を駆って行動するのはいかがなものかと思うが。
すると、レラが
「ご本を運んだのですか?」
と言い出した。フェリシアも「ええ」と答えると、
「レラ様、先日はありがとうございました。綺麗なご本で子どもたちがすごく喜んでたんですよ」
「よかったわ」
と嬉しそうに微笑むレラ。
話が分からず顔を交互に向けていた私にレラが、
「フェリシアさま、すごいんてすよお家で捨てるようなご本を町に運んで女の子や子供たちが読めるようにされたんですよ。私もご協力したくて、お友達にも話して皆さんのお家で不要のご本をいただいて運ぶようにしているんです」
そんなことを始めているとは知らなかった。
フェリシアは、
「レラ様が私の話をきちんと聞いて理解されてくださったから。ミーガンさんも、女の子や子供たちが読むように本を置く場所を作ったから行ってみて」
と言うとレラに顔を向け、
「レラ様ありがとう。本当に助かってます」
「場所はどうされました?」
「それがね」
と2人で話し込みはじめた。
きれいな2人が談笑している姿は絵になるなあ。
思わずにやついて二人を見ていたらしい。
「ミーガンさん、お顔が」「気持ち悪いわよ」「にゃあああ」
2人とクロに呆れられ、きなこを抱えると嫌がって逃げられた。
「あら、かわいい」
「もう一匹増えたの?」
きなこは逃げたまま、壁の向こうからこちらをうかがっている。
咳払いした私は、
「すみませんね。ところで、ジュドさまが王太子になるって本当なんですか?」
ローラには他言無用と言われたが、この2人なら既に話を聞いているだろう。
2人はお互いにちらちらと顔をうかがっていたが、
「ミーガンさんだから言うけど本当よ」
「もうこんなところまで知られているんですのね。まだ公式には発表されていないはずですのに」
フェリシアもレラも何だか微妙な顔してる。
「そうよ! デヴィッド様がいなくなったって」
「いなくなった!?」
「どういうことですか。連れ去られたんですか?」
レラがこちらをちらり。実際、私とジュドは連れ去られたが、デヴィッドも、となると意味が分からない。
「いなくなったって家出とか?」
まさかとは思うが、実際ジュドは家出していたようなもんで、グレンと名乗って街にいたのだから。
「それがよくわからなくて」
フェリシアは首を傾げた。
「公爵夫人のお使いが来て、デヴィッド様がいらしてないかって」
フェリシアの叔母がその使いとこそこそと話しているのを隠れて聞いたらしい。
デヴィッドは朝から姿が見えず、どこかに出かけたのかと思ったが、メイドも誰もデヴィッドの居所を知らなかった。とにかく行方がわからないというのだ。
「図書館とかお外の自然の中がお好きなようですけど、そういうとこは?」
レラが心配そうに眉を下げる。フェリシアも、
「そういうところはまっさきに探したみたい。第一、お供を連れずには行動しないでしょうしね」
フェリシアはふらふらと一人行動しがちだが。ついそんな顔して見てしまっていたのか、フェリシアは、
「私は街に出る用があったんです。それに今日は馬で来てるし」
と鼻を鳴らした。
お嬢様が馬を駆って行動するのはいかがなものかと思うが。
すると、レラが
「ご本を運んだのですか?」
と言い出した。フェリシアも「ええ」と答えると、
「レラ様、先日はありがとうございました。綺麗なご本で子どもたちがすごく喜んでたんですよ」
「よかったわ」
と嬉しそうに微笑むレラ。
話が分からず顔を交互に向けていた私にレラが、
「フェリシアさま、すごいんてすよお家で捨てるようなご本を町に運んで女の子や子供たちが読めるようにされたんですよ。私もご協力したくて、お友達にも話して皆さんのお家で不要のご本をいただいて運ぶようにしているんです」
そんなことを始めているとは知らなかった。
フェリシアは、
「レラ様が私の話をきちんと聞いて理解されてくださったから。ミーガンさんも、女の子や子供たちが読むように本を置く場所を作ったから行ってみて」
と言うとレラに顔を向け、
「レラ様ありがとう。本当に助かってます」
「場所はどうされました?」
「それがね」
と2人で話し込みはじめた。
きれいな2人が談笑している姿は絵になるなあ。
思わずにやついて二人を見ていたらしい。
「ミーガンさん、お顔が」「気持ち悪いわよ」「にゃあああ」
2人とクロに呆れられ、きなこを抱えると嫌がって逃げられた。
「あら、かわいい」
「もう一匹増えたの?」
きなこは逃げたまま、壁の向こうからこちらをうかがっている。
咳払いした私は、
「すみませんね。ところで、ジュドさまが王太子になるって本当なんですか?」
ローラには他言無用と言われたが、この2人なら既に話を聞いているだろう。
2人はお互いにちらちらと顔をうかがっていたが、
「ミーガンさんだから言うけど本当よ」
「もうこんなところまで知られているんですのね。まだ公式には発表されていないはずですのに」
フェリシアもレラも何だか微妙な顔してる。
18
お気に入りに追加
237
あなたにおすすめの小説
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
RD令嬢のまかないごはん
雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。
都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。
そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。
相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。
彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。
礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。
「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」
元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。
大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!
婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。
追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
婚約破棄は誰が為の
瀬織董李
ファンタジー
学園の卒業パーティーで起こった婚約破棄。
宣言した王太子は気付いていなかった。
この婚約破棄を誰よりも望んでいたのが、目の前の令嬢であることを……
10話程度の予定。1話約千文字です
10/9日HOTランキング5位
10/10HOTランキング1位になりました!
ありがとうございます!!
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる