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経験者は語……りたくない。
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銀竜が向かった先の、今必要と思われる情報を手に入れて。
とりあえず資料室を出たところで、受付におキツネ様を見つけた。
丁度良いや。
昨日の肉食系姉妹に絡まれた詫び……っつーか、何つーか……。
ちょっとした粗品を渡しておこう。
昨日作ったエビマヨとカニクリームコロッケとか。
……ちょっとミヤさんの視線がイタいけど気にしない。
あんたは昨夜山盛り食ったでしょーが。
まあ確かに?
ちょっと小腹が減るくらいの時間は経過してるけどさ。
《壺中天(笑)》に戻ってから、スズ達と何か食う方向で、OK ?
ミヤさんは、どこか不満そーだけど気にしない。
キリが無いからな。
などとごちゃごちゃやってたら、おキツネ様の方で俺らに気付いてくれたので、そっちに行った。
昨日はなんかとばっちりくわせたみたいで……と、エビカニ料理(袖の下?)をそっと差し出すと。
おキツネ様はそっと受け取りしまい込んだ。
そして、俺らの顔色を伺うよーに。
「……あの後、大丈夫でしたか?」
あ、心配かけちゃったのか。
俺らは特に何もなかったけど。
すると、おキツネ様は続けて。
「……朝方からあの姉妹の姿が見えないそうなんですが……。何か知って……は、いないですよね?」
姉妹の行方不明、予想以上に早く知られたな。
まあ、夕方には海沿いで見つかるさ。
俺とミヤさんは口々に。
「知らないですね」
「俺ら、昨日はとっとと拠点に戻って、その後出歩かなかったですし」
「……またどこかその辺で、こちらの様子を伺っているんじゃないですかね?」
「ウチのスズとリッカさん、またアイツらがギルドに居たらイヤだ~っつって、拠点に引き籠ってますしね~。アイツらの顔も見たくないっつってさ」
と、しれっと大ウソついた。
ついでに何かに気付いたっぽい、以前俺らにまとわりついてきてまんまとワナにはまった人族のチームを軽く睨みつけた。
てめえら、余計なコトしゃべんじゃねぇぞ?
微妙に顔をひきつらせたヤツらは。
さ~、何か良い依頼は無いか~? と、わざとらしい程大きな声で話しながら、依頼板に張り付いて動かなくなった。
よーし、そのまま黙ってろよ。
悪夢再び、が嫌なら、な?
日常生活をスムーズに送る為には、ウソの1つや2つや100や200、息をするよーにつけなきゃやってらんない。
そーゆーのが普通って現実に生きてた俺ら……つか、俺とミヤさん。
ぶっちゃけ上っ面を取りつくろうのはお手の物だ。
そのまましばらくおキツネ様と楽しく語り合い──主に料理の話を──ギルドを後にした。
戻ったらミヤさんのご機嫌取りしなきゃ、かな?
──とある経験者の述懐──
……行ったか?
…………。
…………………。
……よし、行ったな?
色男と赤いガキの2人がギルドを出て行って少しして。
全身の力が抜けて、その場にへたり込みそうになった。
ってゆーか。
ウチのメンバー、マジでへたり込んだり掲示板にすがり付いたりしてるじゃねえか。
受付の方から冷たい視線が飛んできてるぞ。
とりあえず、場所変えるか。
アイツらを見ると思い出す。
あの、悪夢としか言いようのない時間を。
面白半分やっかみ半分で尾行したおれ達が悪いんだけどな。
だからって、あんなコトになるなんて……思ってもみなかった。
防風林のあたりまでは、チーム全員で動いてたはずなんだよ。
その後……。
…………。
…………………。
…………………………。
世の中には、軽い気持ちでチョッカイ出しちゃいけないモノがあるんだな。
メンバーそれぞれ違うモノを見たらしいんだけどな。
自分が何をどうしたのか、誰も話さなかった。
誰も聞こうとしなかった。
話したくないし、聞きたくもなかった。
出来ることなら、すべて無かったことにしたい。
……無理な話だけどな。
あの姉妹も、多分おれ達と同じように……。
後悔って言葉の意味を、真剣に考えることになるだろうよ。
……やらかした後じゃ、もう遅いんだけどな。
とりあえず資料室を出たところで、受付におキツネ様を見つけた。
丁度良いや。
昨日の肉食系姉妹に絡まれた詫び……っつーか、何つーか……。
ちょっとした粗品を渡しておこう。
昨日作ったエビマヨとカニクリームコロッケとか。
……ちょっとミヤさんの視線がイタいけど気にしない。
あんたは昨夜山盛り食ったでしょーが。
まあ確かに?
ちょっと小腹が減るくらいの時間は経過してるけどさ。
《壺中天(笑)》に戻ってから、スズ達と何か食う方向で、OK ?
ミヤさんは、どこか不満そーだけど気にしない。
キリが無いからな。
などとごちゃごちゃやってたら、おキツネ様の方で俺らに気付いてくれたので、そっちに行った。
昨日はなんかとばっちりくわせたみたいで……と、エビカニ料理(袖の下?)をそっと差し出すと。
おキツネ様はそっと受け取りしまい込んだ。
そして、俺らの顔色を伺うよーに。
「……あの後、大丈夫でしたか?」
あ、心配かけちゃったのか。
俺らは特に何もなかったけど。
すると、おキツネ様は続けて。
「……朝方からあの姉妹の姿が見えないそうなんですが……。何か知って……は、いないですよね?」
姉妹の行方不明、予想以上に早く知られたな。
まあ、夕方には海沿いで見つかるさ。
俺とミヤさんは口々に。
「知らないですね」
「俺ら、昨日はとっとと拠点に戻って、その後出歩かなかったですし」
「……またどこかその辺で、こちらの様子を伺っているんじゃないですかね?」
「ウチのスズとリッカさん、またアイツらがギルドに居たらイヤだ~っつって、拠点に引き籠ってますしね~。アイツらの顔も見たくないっつってさ」
と、しれっと大ウソついた。
ついでに何かに気付いたっぽい、以前俺らにまとわりついてきてまんまとワナにはまった人族のチームを軽く睨みつけた。
てめえら、余計なコトしゃべんじゃねぇぞ?
微妙に顔をひきつらせたヤツらは。
さ~、何か良い依頼は無いか~? と、わざとらしい程大きな声で話しながら、依頼板に張り付いて動かなくなった。
よーし、そのまま黙ってろよ。
悪夢再び、が嫌なら、な?
日常生活をスムーズに送る為には、ウソの1つや2つや100や200、息をするよーにつけなきゃやってらんない。
そーゆーのが普通って現実に生きてた俺ら……つか、俺とミヤさん。
ぶっちゃけ上っ面を取りつくろうのはお手の物だ。
そのまましばらくおキツネ様と楽しく語り合い──主に料理の話を──ギルドを後にした。
戻ったらミヤさんのご機嫌取りしなきゃ、かな?
──とある経験者の述懐──
……行ったか?
…………。
…………………。
……よし、行ったな?
色男と赤いガキの2人がギルドを出て行って少しして。
全身の力が抜けて、その場にへたり込みそうになった。
ってゆーか。
ウチのメンバー、マジでへたり込んだり掲示板にすがり付いたりしてるじゃねえか。
受付の方から冷たい視線が飛んできてるぞ。
とりあえず、場所変えるか。
アイツらを見ると思い出す。
あの、悪夢としか言いようのない時間を。
面白半分やっかみ半分で尾行したおれ達が悪いんだけどな。
だからって、あんなコトになるなんて……思ってもみなかった。
防風林のあたりまでは、チーム全員で動いてたはずなんだよ。
その後……。
…………。
…………………。
…………………………。
世の中には、軽い気持ちでチョッカイ出しちゃいけないモノがあるんだな。
メンバーそれぞれ違うモノを見たらしいんだけどな。
自分が何をどうしたのか、誰も話さなかった。
誰も聞こうとしなかった。
話したくないし、聞きたくもなかった。
出来ることなら、すべて無かったことにしたい。
……無理な話だけどな。
あの姉妹も、多分おれ達と同じように……。
後悔って言葉の意味を、真剣に考えることになるだろうよ。
……やらかした後じゃ、もう遅いんだけどな。
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